東京地裁 令和5年8月10日判決後遺障害
脳外傷等から自賠責1級1号高次脳機能障害及び身体性機能障害等を残す50代主婦の将来入院費等を日額1万8000円で平均余命まで認め、既往症が治療等の長期化に影響を与えたと3割の素因減額を適用した
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日本全国の交通事故は年間53万6899件、死者数4177人、負傷者数66万6023人(平成27年・警察庁調べ)にも達しています。
福岡県内の交通事故に限っても年間3万9734件、死者数152人、傷者数5万2758人に達しています(平成27年・福岡県警調べ)。
このような多数の交通事故の発生に比例して、全国の簡易裁判所に提訴された損害賠償請求訴訟も急増しています。
2005年は5000件を下回る程度でしたが、2015年には1万9000件を越えています。
簡易裁判所の全ての裁判数が、2009年の65万8000件から2015年の32万1000件と半減していますので、交通事故訴訟の増加ぶりが分かるかと思います。
その背景は、弁護士費用特約保険(弁護士特約)の普及です。弁護士特約とは、年間2000円から3000円程度の保険料で、事故に合って損害賠償請求する場合には、紹介した弁護士、もしくは、自分が選任した弁護士に対して弁護士費用を支払ってくれる制度です。
そのため例えば、駐車場で接触して5万円の損害が発生したが過失割合が納得いかない、交差点でミラーが接触したが信号の色に食い違いがある・・・というように少額の紛争でこれまでは弁護士を選任すると費用倒れになったようなケースについて、弁護士を選任できるようになっているのです。
一方でその解決水準は自賠責保険基準、任意保険会社基準、裁判基準と分かれています。そのため被害者が十分な被害賠償を受ける、逆に加害者が不正な支払を行わないために、弁護士がその解決に関与していく必要性が極めて高い分野といえるでしょう。
実際、最高裁判所の司法研修所も、簡易裁判所の審理を迅速に進めるためのポイントを手引きにまとめて、福岡簡易裁判所を含めて全国の簡易裁判所に配付するほどです。
その中では、「交差点の衝突事故で双方が青信号と主張しているケース」、「バックで駐車場に駐車しようとしたら、横に停車していた車が動いて接触したケース」など10の事例を取り上げて、事実認定のポイントを解説しています。
そして交通事故の多さに比例して、裁判例もいわば星の数ほどあるのが実情です。
ここでは損害の公平な分担という不法行為制度(民法709条)の趣旨を実現するために参考になる裁判例について、弁護士古賀克重が随時解説していきたいと思います。
脳外傷等から自賠責1級1号高次脳機能障害及び身体性機能障害等を残す50代主婦の将来入院費等を日額1万8000円で平均余命まで認め、既往症が治療等の長期化に影響を与えたと3割の素因減額を適用した
自賠責12級6号左肩関節機能障害の他に10級10号右肩関節機能障害を残したとする原告の腱板断裂は本件事故によって拡大悪化し可動域制限等の症状を生じさせたと認め併合9級後遺障害を認定し3割の素因減額を適用した
原告主張の12級13号右肩関節痛は右肩に腱板断裂を生じる衝撃が加わったとは認め難く画像所見も認められない等から右肩腱板断裂を否認して本件事故による後遺障害の残存も否認した
30代男性原告主張の12級右足CRPSは骨委縮、皮膚変化の所見は認められない上、日本版CRPSの判断基準で原告ら主張の項目は客観的な所見に乏しい等からCRPSの発症を否認した上、14級9号右足関節痛を認定した
原告主張の12級13号頸椎椎間板ヘルニアは本件MRI画像において椎間板膨隆が外傷性であることを裏付ける出血や浮腫等の所見は窺われない等から本件事故による頸椎椎間板ヘルニアの発症を否認し2割の素因減額を適用した
横断歩道上をキックボードに乗って歩行中、乗用車が左折進入してきて咄嵯にハンドルから離した右手の甲が接触負傷したとする供述は信用できるとして、本件事故による原告の受傷を認定した
軽自動車の後部座席に同乗し信号待ち停止中に追突された50代男性主張の頸・胸部痛等は既往症の後縦靭帯骨化症及び黄色靱帯骨化症の症状が出現し12級13号後遺障害が残存したと認め5割の素因減額を適用した
右下肢切断から自賠責5級5号を残す女児の後遺障害逸失利益をセンサス男女計全年齢平均を基礎収入に算定し、中学卒業までの水泳用義足の必要性を認め、母親の固有慰謝料を150万円と認定した
犬の散歩中に自転車にリードを接触され右腕を引っ張られ転倒した原告の5級6号右上肢麻痺は右腕神経叢引抜き損傷ではなく非器質的要因によるものと認定し3割の素因減額を適用した
原告ワイドロングウイング冷凍車が被告貨物車に衝突された修理期間を約3ヶ月間認め、代車として同仕様冷凍車を賃借する必要性があったとし日額3万8000円・代車費用約355万円を認定した
ジョギング中に右母趾を自転車の前輪に衝突された原告の自賠責12級12号右母趾関節機能障害の認定を14級9号右母趾痛等とし、歯科医師の事故前年報酬の8割を基礎収入に10年間5%の労働能力喪失で後遺障害逸失利益を認定した
駅前ロータリー先の信号のない丁字路交差点を横断中の母子に衝突した右折車両の過失は相当に大きいと歩行者過失を5%のみとし、祖母の固有慰謝料含め2650万円と認定した
自賠責1級両下肢麻痺及び神経因性膀胱直腸障害等を残す10代女子の後遺障害逸失利益をセンサス男女計全年齢平均を基礎収入に認め、将来介護費を母親67歳以降は職業介護により日額1万5000円で平均余命まで認定した
7000万円超の収入ある2社代表取締役の基礎収入を2000万円と認定して休業損害・後遺障害逸失利益を算定した
自賠責1級1号遷延性意識障害を残す19歳男子の将来介護料を職業介護と近親者介護を併せ日額2万円平均余命まで認定した
信号待ち停車中に追突された男子主張の右第3、4中足骨頸部骨折と追突との因果関係を認め、自賠責非該当も12級13号右第3、4趾痛等及び14級8号右第4趾機能障害の併合12級後遺障害を認定した
12級7号右股関節機能障害を残す減収のない公務員(30代女性)の逸失利益を今後の職務や異動の範囲が制限される可能性等から事故前年収を基礎収入に34年間10%の労働能力喪失で認定した
原告スノーボードとスノーモービルの衝突について禁止コースを前方注視せずに滑走したとして6割の過失を認定
自賠責非該当の30歳女性の左足部痛について14級9号を認定した
開業医の尺骨神経障害を14級9号認定し役員報酬6割を基礎収入に5年5%の労働能力喪失で逸失利益を認めた
自賠責12級の顔面醜状の30代会社員の後遺障害逸失利益を67歳まで7%で認定した
自賠責14級肩痛を12級肩関節機能障害とし、減収ない公務員に23年間・14%労働能力喪失の5割の限度で後遺障害逸失利益を認めた
自賠責8級認定の脊柱変形障害を8級と11級の間と認め32%の労働能力喪失で後遺障害逸失利益を認めた
4歳児が市道を歩行横断中、大型貨物車両に衝突された結果、脳挫傷・びまん 性軸索損傷等から自賠責3級3号認定の高次脳機能障害を後遺した事案です
後遺障害1級1号を後遺する48歳男性の将来介護費用を65歳から平均余命まで日額1万円で認定し、自宅建設費用を1267万円認めた
59歳男子の歯牙障害を10級既存障害と認定し、事故による歯牙障害の発生・加重は認められないとして2割の素因減額した
3級高次脳機能障害の将来介護費について、67歳まで妻5000円、平均余命まで職業付添人8000円を認めた
54歳男子の四肢麻痺について後遺障害2級1号を認定し、職業介護人による将来介護費は日額8000円を認めた
合図せず車線変更後、後続車両にクラクションを鳴らされ意図的な急減速によって追突された車両の過失を6割認定した
高次脳機能障害について、4能力のいずれか1つ以上の能力の半分程度が失われているとして後遺障害7級を認定した
6年前の事故で椎間板ヘルニアに罹患する被害者について2割の素因減額した
重度意識障害による後遺障害1級の被害者について、入院雑費として日額1500円を平均余命まで認め、付添費用として隔日、日額6500円を平均余命まで認めた
男子医学部生の自賠責12級右頬部瘢痕の後遺障害逸失利益を否認し、後遺障害慰謝料320万円で考慮した
前回追突事故による腰椎椎間板ヘルニア既往の被害者について3割の素因減額を認めた
3級高次脳機能障害を残す4歳児の後遺障害逸失利益及び将来介護費用を定期金賠償で認定した
頭蓋底骨折の傷害により高次脳機能障害2級の後遺障害を後遺した女子高校生の損害について2億3000万円余りの賠償を命じた
8歳男児の高次脳機能障害について2級1号と認定した上、将来介護費用を日額9000円で認めた
事故後に意識障害が生じ情緒障害・行動障害が認められる15歳女子に高次脳機能障害を認め、労働能力20%喪失の逸失利益を認定した
歩行中に乗用車に衝突して右膝後十字靱帯損傷による後遺障害12級について、事故前の治療歴から4割素因減額した
高次脳機能障害7級の認定は、家族の補助なければ仕事不可能であるから十分信用できると判断した
12級右肩関節唇損傷はラケットボール全国大会に出場していることから否認した
自賠責14級認定を受けた32歳女性が事故1週間後から約1年9ケ月渡航していたこと等から後遺障害の残存を否認した
要介護3の50歳代男性が追突された症状は軽微で1か月程度で治癒と認定し、休業損害も否認した
後遺障害1級1号の四肢麻痺等を残す50歳男性の人身損害額として4億3328万円を認定した
追突事故によって12級13号後遺障害が残存したとの原告の主張に対し事故との因果関係を否認し、頸椎・腰椎の身体的素因から3割素因減額した
被害者の親族が被害者のエホバの証人としての信条に基づき輸血を拒否したことについて、輸血拒否がなく通常どおり手術が行われた場合には被害者が死亡しなかった可能性があることから、損害の公平な分担の観点から被害者に30%の過失を認めた
右上肢の神経症状等から後遺障害12級を請求した女子美容師の逸失利益について自賠責認定14級10年間5%の限度で労働能力喪失を認めた
無免許・飲酒・仮眠状態の車に衝突された死亡慰謝料3000万円、夫200万円の固有の慰謝料を認めた
1級1号遷延性意識障害を残し余命期間にわたって入院の30歳男子の将来医療費を年額840万円で認定した
1級四肢麻痺を残す47歳男子の将来介護費を職業付添人と近親者合わせて日額1万8000円で認定した
左大腿切断等から2級後遺障害を残す66歳男子の自宅付添費を日額3500円で認め、将来介護費は日額1000円で平均余命分認定した
研修医の事故1か月半後に弾発股が発生したとの主張について因果関係を否認して後遺障害の残存も認められないと否認した
第1事故で左膝痛12級を受ける28歳男子の第2事故による左膝可動域制限を10級認定し、加重部分を第2事故と因果関係のある後遺障害と認めた
損保会社従業員が同意なく診断書等を取得しプライバシー権を侵害したとする慰謝料請求につき、原審(福岡高裁)は、一括払同意の客観的裏付けがあるので、個人情報取扱いについての同意も得ているとして請求を棄却し、最高裁も上告を受理しなかった
中央線を越えた衝突は直前にくも膜下出血を発症して正常な運転ができない状態に陥っていたと認定し、被告車の運行によって生じたとはいえないとして自賠責保険金の請求を棄却した
81歳女子医師の労働内容は夫の監護として賃金センサス女子学歴計70歳以上を基礎収入と認定した
歯科開業医の休業損害を全日休業の7日間100%、短時間診療の2日間50%、1時間短縮営業の50日間15%で認めた
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