強制収容・監禁・堕胎の事実
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強制収容・強制隔離
国は、患者さん達に療養所への入所を強制しました。入所の際には、警官、県の職員などが来訪し、「1年で帰れる。」、「3年で帰れる。」などとの嘘を話して、強制収容を行いました。
そして、患者さんが入所した後、その実家は真っ白になるまで消毒されたため、その地域で家族までもが、息を潜めて暮らすことを余儀なくされました。
さらに、「らい患者専用」などと表示されたいわゆる「お召し列車」にて、患者さんは療養所まで収容されたのでした。
そして、いったん入所すると外出することは、ままなりませんでした。ある園は、まわりを高い塀で覆い、またある園は、海の中の孤島の中に設置されました。
塀の外には、巡視が見回ったのです。
以上の状況は、元患者さん達の訴えの中に、生々しく表現されています。
「予告もなく、家族一同朝食を摂っている最中、突然衛生課よりトラックを駆って係官が来訪し、「今から30分後に君を護送するから用意せよ」との命令で、自分も家族もその不意打ちに驚愕してしまい、何らの準備も今後の家事の話し合いも出来ず、まるで犬、ねこを追い立てるようにして私はトラックに押し込まれたのです。」(福岡県、男)
断種・堕胎の強制
ハンセン病は、伝染力の極めて弱い伝染病です。断種・堕胎が許容されるいわれは全くありません。それにもかかわらず、結婚の条件として断種が強要され、また女性が妊娠すると堕胎が強要されました。
しかも、その手術自体が、医師ではなく、看護士や看護婦によって行われた結果、手術ミスにより男性の機能を奪われたり、手術が失敗し再度の手術を強要された方もいます。
ハンセン病療養所・大島青松園の現役の医師である和泉眞蔵氏は、熊本地裁における証人尋問において、以下のとおり、断種・堕胎が全く医学的必要がなかったものであることを証言されました。
「患者から生まれた子どもが非常に高率に発症するということはなかったわけですし、・・・・・・更にフィリピンのデータですけれども、ハンセン病の患者から生まれた子どもの、仮に発病したとしても8割は自然治癒するというデーターがありましたので、これを根拠にしてハンセン病患者の断種ないしは妊娠中絶が行われるということは、医学的には正しくなかったと思います。」
ハンセン病患者さんに対するいわれのない差別、さらに強い優性思想に基づき、国は患者さんの絶滅政策をとり続けました。
その結果、人が人として子孫を残し、社会の中でおだやかに生活することが出来ず、患者さん達は未来を奪われてしまったのです。