薬害肝炎救済法延長と九州弁護団相談窓口
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薬害肝炎九州弁護団による無料電話相談・無料FAX相談
薬害肝炎九州弁護団は2002年に立ち上がり、九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島)・沖縄・山口の弁護士60名が弁護団員です(代表弁護士 八尋光秀・浦田秀徳、事務局長弁護士 古賀克重)。
患者側弁護士として医療過誤を取り扱う弁護士や集団訴訟の経験のある弁護士らが、薬害肝炎被害者の被害回復のために結集したものです。
薬害肝炎九州弁護団は、東京弁護団・大阪弁護団・名古屋弁護団・仙台弁護団とともに「全国弁護団」を構成しています。訴訟当初から全国1つの弁護団として共同して活動してきています。
そして、薬害肝炎九州弁護団は、毎年4回の全国弁護団会議、年1回の厚生労働大臣との協議会、厚生労働省各部署との作業部会、各地での講演会、行政と共催の説明会開催など現在も、救済のための各活動を継続しています。
薬害九州弁護団では2002年以来、常設で無料電話相談窓口を設置しています。ただ薬害肝炎救済法の延長を受けてかなり繋がりにくくなっていますので、FAX相談も活用頂くのがよろしいと思います。
なお薬害肝炎被害者であることが判明した場合、国及び製薬企業から所定の給付金を得るためには法律上、裁判を起こす必要がありますが、裁判を起こす際に弁護士着手金や訴訟実費(裁判所に納める印紙代金等)は一切不要です(薬害肝炎九州弁護団は、事案に鑑みて2002年以来、訴訟提起時には被害者の経済的負担がない形で処理しています)。
電話相談窓口 | 092-735-1193(月・水・金 13~15時) |
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FAX相談窓口 | 092-735-1196※数日以内に折り返しの連絡を致しますので、「事案の概要」とともに「連絡先電話番号」と「住所」を明記してください |
以下、今回の薬害肝炎救済法延長の経緯とポイントについて解説します。
改正薬害肝炎救済特別措置法が成立
いわゆる薬害肝炎の被害の救済を定めた改正薬害肝炎救済特別措置法(以下「薬害肝炎救済法」)は2017年12月8日、参議院本会議において全会一致で可決・成立しました(投票総数234 賛成票234 反対票0)。
来年2018年1月15日に提訴期限を迎えるため、薬害肝炎原告団弁護団が法延長を与野党に働きかけていたもの。
衆議院解散もあり国会日程もタイトでしたが、事案の緊急性に鑑みて与野党が優先して成立させたものになります。
(法案提出)理由
特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第Ⅸ因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法に基づく給付金の支給の請求の状況に鑑み、給付金の請求期限を延長する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
薬害肝炎救済法改正の経緯
薬害肝炎全国弁護団は、2002年から2007年まで福岡地裁・大阪地裁・東京地裁・名古屋地裁・仙台地裁の5地裁にて国・製薬企業の責任を追及し、5地裁判決を得ました。
それを受けて2007年12月に当時の福田総理大臣の政治決断を引き出し、2008年1月16日の薬害肝炎救済法(特別措置法)が公布・施行されて、全面解決への道筋が整ったものです。
つまり、薬害肝炎弁護団が全国で提訴していた薬害肝炎問題を解決するために、薬害肝炎救済法が成立したものです。
その後、全国にて追加提訴を継続している一方、薬害肝炎救済法では、施行された平成20年1月16日から起算して5年を経過する前に訴訟を提起することが必要でした。そこで5年を迎えるところで、薬害肝炎全国原弁が延長を求めた結果、救済法は2012年9月14日に改正されて、「10年」に延長されていました。
ところが、製薬企業の控えめな推計でもフィブリノゲン製剤による被害者は約1万人と推定されていますが、給付金支給を受けたのは2200名にとどまっています。
そこで一度延長された10年の期限が来年2018年1月15日に迫っていたため、薬害肝炎全国原弁はさらに延長を求めた結果、2017年12月8日、救済法の改正法案が参議院本会議で全会一致で可決成立したものになります。
法文と施行日
薬害肝炎救済法の改正法は2017年12月15日付け官報(号外第272号)に掲載され公布されました。
附則において「この法律は、公布の日から施行する。」とありますので2017年12月15日から施行されることになります。
特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固因子製剤によるC型肝炎被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法(平成20年法律第2号)の一部を次のように改正する。
第五条第1号中「十年」を「十五年」に改める。
つまり、第五条は以下のようになり、提訴期限が5年延長されたことになります。法律にいうところの「施行の日」とは、法律が最初に施行された「2008年1月16日」をいいますから2023年1月16日まで延長されたことになります。
なお2号は、2023年1月16日までに訴訟を提起していれば、判決確定日や和解日がその後になっても1か月以内であれば給付金を請求することができることを意味します。
第五条 給付金の支給の請求は、次に掲げる日のいずれか遅い日までに行わなければならない。
一 この法律の施行の日から起算して十五年を経過する日(次号において「経過日」という。)
二 特定フィブリノゲン製剤又は特定血液凝固第Ⅸ因子製剤の投与を受けたことによってC型肝炎ウイルスに感染したことを原因とする損害賠償の訴えの提起又は和解若しくは調停の申立て(その相手方に国が含まれているものに限る。)を経過日以前にした場合における当該損害賠償についての判決が確定した日又は和解若しくは調停が成立した日から起算して一月を経過する日
福岡地裁に追加提訴
改正薬害肝炎救済法が参議院で可決成立した12月8日、薬害肝炎九州弁護団は6名の被害者について福岡地裁に追加提訴しました。
追加提訴の概要は以下の通りです。
平成29年12月8日 提訴原告の概要(福岡地裁)
提訴被害者数 | 6名 |
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男女比 | 男2名:女4名 |
県 | 福岡県5名:沖縄県1名 |
製剤名 | フィブリノゲン(糊含む)5名:クリスマシン1名 |
症状 | キャリア3名:慢性肝炎1名:肝硬変肝がん2名 |
年齢比 | 50代1名:死亡5名 |
原因疾患 | 産科出血1名:小児疾患1名:外科4名 |
薬害肝炎九州原告団の各県別人数(2018年1月現在)
福岡 | 123人 |
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佐賀 | 23人 |
長崎 | 26人 |
熊本 | 38人 |
大分 | 33人 |
宮崎 | 32人 |
鹿児島 | 19人 |
沖縄 | 26人 |
山口 | 17人 |
広島 | 15人 |
愛媛 | 18人 |
薬害肝炎九州訴訟の現状は、原告数383名(福岡地裁381名、山口地裁2名)、和解数383名になっています(2024年7月現在)。
薬害肝炎九州原告団は、福岡地裁に一括提訴していますが、被害者の住所は福岡だけでなく、佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄・山口など九州沖縄山口全県全域になっています。
厚生労働省調べによっても、医療機関に当時のカルテが残されているにもかかわらず、被害者全員に告知されていないことが判明しています。九州沖縄山口においてもまだ被害者であるにもかかわらず、その事実を知らない方が多数おられるのです。
薬害肝炎九州弁護団としては今後も、厚生労働省および九州各県の行政とも連携しながら、C型肝炎患者・家族への情報提供、被害救済活動を継続していく予定です。