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少年非行事件の審判例と分析~審判の窓

ここでは、少年非行事件の具体的な審判例を通して、そこで考慮されている要保護性、仮に付添人活動を行うならどのような視点が必要か、などを検討していきます。
もちろん審判書だけから振り返る、レトロスペクティブな考察ですし、具体的な事情は不明ですので、その限度での考察です。

題材としては家庭裁判月報で公表された審判例、その他の公刊物、弁護士 古賀克重が実際にたずさわった審判例などを取り上げます。
なお当然ですが、当事者のプライバシーには十分配慮しています。

裁判所・出典家庭裁判月報56巻10号1頁以下、91頁以下

参考論考1「少年院において2年を越える収容機関を設定された少年の処遇の実情ー生活訓練家庭(G3)の運用を中心に

平成9年9月に新設された、生活訓練家庭の細分コースの実情について、久里浜少年院の教育調査官が書き下ろしており、参考になる。

参考論考2「少年保護事件における保護的措置についてー対人援助型の社会奉仕活動の一例を通じてー

初回継続の一般在宅事件の少年を中心に、知的障害施設などでの社会奉仕活動を行わせている事例報告。

裁判所・出典毒物及び劇物取締法違反保護事件の保護処分決定に対する抗告事件(東京高裁平14・4・5家庭裁判月報56巻9号)

決定内容

中等少年院送致決定に対する抗告を棄却したが、一般短期処遇によるのが相当であるとの意見を付して、かつ、その旨を裁判所書記官から少年院長に対して通知した事例

要保護性の基礎

両親との関係が良好であないため不良交友に走ること、保護観察中であるにもかかわらず、暴力団組員と交友していることからすると、社会内処遇は困難とした上で、勤労意欲が認められること、毒物劇物による検挙歴がないこと、常習性まで認められないこと、少年が両親との関係を改善する意欲を表明していることから、一般短期処遇課程による教育が相当と判断した。

裁判所・出典傷害被告事件(東京地裁八王子支部平15・6・12決定家庭裁判月報56巻3号)

決定内容

19歳少年の傷害被告事件において、直ちに刑事処分を相当とするほど悪質な事案とはいえないとして、事件を家庭裁判所へ移送した事例

付添人活動のポイント

家裁調査官の意見は、逆送意見であり、その理由は、「事実を否認しており事実認定の帰すうにこだわっているため内省が深まっていないから、ひとまず事実関係を確定した上で少年の考えを深めさせるのが相当である」というものであった。この点について、本件判決は、家庭裁判所における事実認定機能を高めさせようとする改正少年法の趣旨に照らしても不相当であったと断じている。

19歳、否認イコール逆送という、調査官のステレオタイプの意見が時折見られるが、付添人としては引きずられないように注意したい。

裁判所・出典窃盗、道路交通法違反保護処分決定に対する抗告事件(東京高平15・2・3決定・家庭裁判月報56巻2号)

決定内容

保護観察中の少年の再非行に関して、一般短期処遇勧告付き少年院送致決定に対して、試験観察の余地もあると原決定を取り消して、原審に差し戻した事例

要保護性の基礎

非行事実は3つあり、1:原付を4回に渡って窃取し、2:原付を無免許運転したほか、3:共犯者と共謀し、工務店の作業所に侵入して普通貨物自動車を窃取したものである。

保護観察後、交通違反を繰り返し、免停処分を受けたにもかかわらず、再度、無免許運転を行ったものであること(2の非行)、保護観察後、保護観察官の面会後わずか1週間後に犯行に読んでいること、父が不在がちで母が過干渉であることからして、要保護性は軽視できない。

一方、1の非行は、保護観察処分前の非行であること、共犯者(一般短期)とは事情をかなり異にすること、保護司宅を訪問して更正に向けた努力を続けていたこと、少年も高校への復学の意欲を示し、学校も受け入れを示していること、学級担任も熱意を示していることからすると、試験観察などにより少年の動向を観察して、更正の可能性を検討する余地があると判断した。

付添人活動のポイント

抗告は父母が行っており、付添人が就任していなかった事案のようだが、付添人活動の参考になる。非行態様・共犯者との関係や安易に再非行を行っている点など、一見すると極めて要保護性は高く、一般短期処遇勧告付き少年院送致もやむを得ない感もする。

しかし、高校の先生がかなり熱心に復学のための努力をしたようであり、高裁の心証に大きく影響したようである。要保護性が高い場合も、社会資源に働きかけて、社会内処遇を探る・・・付添人活動の参考にしたい。

裁判所・出典窃盗未遂保護事件のみなし観護措置に対する異議申立て事件(札幌家平15・8・28決定・家庭裁判月報56巻1号)

決定内容

「みなし観護措置」で少年鑑別所に入所中の少年の異議申立てにおいて、みなし観護措置を取り消した事例

要保護性の基礎

既に本件非行の全容が明らかになっていること、少年の生活態度にも大きな問題は認められないこと、両親の監督も期待できること、少年が既に長期間の身柄拘束を受け反省の念を示していること、身柄拘束の継続によって少年がこうむる可能性のある不利益を考慮すると、身柄を拘束してまで心身を鑑別する必要性はないとした。

付添人活動のポイント

高校生の少年は、ほとんど欠席することなく学校に通っていた。両親も健在で、少年の身元引き受けや監督を誓約している。付添人弁護士が異議申立てを行っており、少年法17条の2第4項が有効に利用された事案だろう。異議申立ての決定自体は当然であり、このような事案で無批判にみなし観護措置を取っていた判断に首を傾げざるを得ない。

裁判所・出典恐喝、毒物及び劇物取締法違反保護事件の保護処分決定に対する抗告事件(東京高裁平15・3・11決定・家庭裁判月報55巻9号)

決定内容

中等少年院に送致した決定に対する抗告事件。非行性に関わる問題点が深いとはいえず、父母が示談を成立させ、少年に対する監護の意欲を示していることからすれば、一般短期処遇を勧告しているとはいえ、原決定の処分は、非行事実・要保護性との均衡を著しく欠くもので著しく不当であるとして、原決定を取り消し、原審に差し戻した。

付添人活動のポイント

付添人が付いておらず、父母が共同名義で抗告している。事案は、シンナーの所持と、自動車同士の接触事故に腹を立てて、被害者の腹や肩を数回殴りつけ、現金1万円弱等を脅し取ったという事案であり、偶発的な事故とはいえ、暴行態様は執拗であって、非行事実から伺える要保護性は決して見過ごすことはできない。また、原審は、少年が審判廷で供述した暴走族との関係を強調し、「不明な部分は不明のままとするほかないにしても、少年がこれまでに暴走族に強く関係し、その人間関係が現在においてもなお存続しているとみるのが相当」であって、本件非行も、「上記交友関係等の中で醸成された非行に対する抵抗力のなさが強く関係していたのではないかと推測される」として、少年の抱える問題点は根深いと結論付けた。

一方、抗告審は、高校中退後、大学検定試験に合格し、その後私立大学に合格してまじめに通学していること、暴走族との関係についても、本件非行との連続性・関連性は必ずしも強いものではなく、大学進学も暴走族関係者との関係を絶つ意思とも評価できるとして、社会内処遇の可能性を指摘している。

原審と抗告審を比べると、同じ事実であっても、判断者によってこれほど評価が分かれることを改めて認識させられる。原審から付添人が就任して、丁寧に要保護性を解消しておれば、原審から社会内処遇の可能性もあった事案だろう。

また過去の暴走族との関係の評価についても、本件非行との連続性・関連性を丁寧に判断している抗告審の判断過程は、意見書を作成するにあたっても非常に参考になるものである。

裁判所・出典窃盗保護事件(さいたま家裁平14・12・4決定・家庭裁判月報55巻7号

決定内容

前歴なく、手口も単純であり、被害金額もさほど多額ではない事案において、要保護性の高さから中等少年院に送致するとともに、保護観察所長に対して、親子関係の改善・居住地の調整等の環境調整に関する措置を命じた事例

要保護性の基礎

アルバイト先の更衣室で従業員の財布から1万5000円を窃取したものであり、非行事実自体からうかがえる要保護性はさほどでもない。しかしながら、前歴はないものの、過去にも同様の窃取事件を起こしていること、少年は父親に暴力をふるい、その後もおさまらないため別居に至っていること、家族は少年に対して住所を教えておらず、現状では引取りをできないと拒絶していること、他者に対して感情の制御ができないことなどをもって、再非行の危険性は高いと認定されている。

付添人活動のポイント

少年の生活史(小学校時代から他者とのコミュニケーションが苦手、小学校時代にはいじめにあう、親との断絶)を検討すると、非常に困難を伴う事案である。裁判所の決定としてはやむを得ない面があるようであるが、少年本人が抗告、再抗告していることからすると、相当に納得できておらず、処遇効果はおろか今後の両親との関係が心配なケースである。こういう事案にこそ、付添人が就任して、親との間の環境調整を図りたい。

裁判所・出典観護措置更新決定に対する異議申立て事件(福岡家裁小倉支部平15・1・24決定家庭裁判月報55巻6号139頁)

決定内容

道路交通法違反等保護事件の少年に対する観護措置更新決定に対する異議審において、原決定を取り消した事例

要保護性の基礎

前歴なしの高校3年生。観護措置更新後において卒業に必要な学期末試験を控えていること、事案は、無免許で自賠責保険に加入していない原付を運転士、一時停止せずに交差点を運行したものであるところ、逮捕当初から非行事実を認めていること

付添人活動のポイント

当番弁護士で面会していたら、勾留、最初の観護措置も争う余地がある事案。逮捕の必要性があったのかそもそも疑問の残る事案であるが、このようなケースでも、要保護性を十分に検討していないと、漫然と観護措置を延長される可能性もあるので、付添人としては注意を払うことがのぞまれる。

裁判所・出典法廷等の秩序維持に関する法律による制裁事件(福岡家裁平14・10・8決定家庭裁判月報55巻3号103頁)

決定内容

中等少年院送致決定の告知直後、裁判官にむかって履いていたサンダルを投げつけた少年に対して、暴行により裁判所の職務執行を妨害し、裁判の威信を著しく害したとして、監護10日に処した

付添人活動のポイント

珍しい事案である。具体的な事案・経過が不明であるので抽象的なコメントになるが、仮に付添人が付いていたとすれば、付添人活動の失敗であるし、付添人が付いていなかったのであれば、全件付添人制度が導入されている地区でありながら、「難しい」少年に付添人をつけていなかったことも失敗であろう。

どんな内容の処遇であっても、受け入れるような準備を少年にさせることも、付添人活動(ないし調査活動)の重要なポイントである。

裁判所・出典殺人未遂・窃盗・傷害保護事件(東京家裁平14・9・4決定家庭裁判月報55巻2号182頁)

決定内容

17歳の少年に対する表記事件について、傷害の故意にとどまるとして傷害罪を認定し、窃盗については共謀の成立を認めず、非行なしを理由に不処分とした上、傷害に関して中等少年院送致とした。

要保護性の基礎

暴走族の構成員、対立暴走族への襲撃、金属バットで殴打、全治3か月の頭蓋骨骨折等の傷害を負わせた、両親は離婚し片親と生活、中学から夜遊び、保護観察中。

付添人活動のポイント

事案からするとなかなか厳しい処分が予想される。親は愛情があり、観護意欲もあるようだが、これまでの生活を見る限り改善していない。地元を離れた生活を提案したようだが、受け入れられなかったようである。示談を進め、少年の反省を即して、親と子の関係・有り方も改善させていくなど、地道に付添人活動を行うほかない。また暴走族の少年の場合、地元を離れた生活を探ることもあるが、安易に地元以外を提案することは、親との関係でマイナスにもなるし、その場限りの提案になる恐れもある。付添人としては、その実現可能性に十分配慮、準備、打ち合わせをしなければならない。

裁判所・出典勾留取消し請求却下の裁判に対する準抗告棄却決定に対する特別抗告事件(最高裁第2小法廷平成13・12・10決定、家庭裁判月報55巻2号178頁)

決定内容

少年法45条4号による「みなし勾留」に際し、裁判官の関与なしに検査官の判断のみで勾留場所が決定されることとなる身柄の取り扱いは、刑訴法及び同規則並びに少年法の関連規定の解釈として合理性、相当性を有するかにつき疑問があるとした。

関連条文

少年法45条「家庭裁判所が、第20条の規定によって事件を検察官に送致したときは、次の例による。」同条4号「第17条1項第2号の措置は、これを裁判官のした勾留とみなし、その期間は、検察官が事件の送致を受けた日から、これを起算する。」

特色

45条は、少年が家裁から検察官に逆送され(20条)、保護手続きから刑事手続きに移行することに伴う経過措置を定めたものである。観護措置は、逆送されると裁判官のした勾留とみなされる(45条4号。いわゆる「みなし勾留」といわれる)。

このみなし勾留の場所については、検察官の判断のみで鑑別所以外に収監でるという見解と、原則として少年鑑別所がそのまま勾留場所となり、拘置所や警察の留置場に身柄を移す必要がある場合は裁判官の同意を得る手続きが必要という見解が分かれていた(注釈少年法・改定版・有斐閣・田宮裕・386頁)。

最高裁が後者の立場に立つことを示したもので、重要な決定である。

本決定をふまえて、少年審判規則が改正された(「少年審判規則の一部を改正する規則の解説」(最高裁事務総局家庭局 第2課長 岡健太郎ほか・家庭裁判月報55巻2号133頁以下)。

裁判所・出典傷害・道路交通法違反保護事件(長崎家裁平成14・5・24決定家庭裁判月報55巻1号118頁)

決定内容

18歳の少年に対して中等少年院に送致し、一般短期処遇勧告を付した上、実母及び養父が将来の少年に引取りにも難色を示していることから、保護観察所長に対して、少年の帰住先の確保等を主眼とする環境調整に関する措置を命じた事例。

特色

処遇の理由について、詳細に言及した上、要保護性について丁寧に認定している。

家出中の道交法違反、実家に帰宅した際、実母とトラブルになり実母に暴行をふるい、全治10日間の傷害を負わせた事案。

付添人活動のポイン

要保護性からすると、長期収容も考えられる事案である。特に、実母養父が引き取りを拒否していることからすると、「受け入れ先がなく、少年自身の反省や立ち直りをじっくりと図るしかない」と判断されるケースも少なくないが、本件のように帰住先の確保を主眼とする環境調整命令を出しつつ、短期処遇勧告を付するやり方も非常に参考になる。

裁判所・出典保護処分決定に対する抗告事件(広島高平14・8・15決定・家庭裁判月報55巻1号112頁)

決定内容

初回非行の少年に対して、中等少年院送致処分とした原決定について、いきなり少年院送致として処分は時期尚早であり、著しく不当であるとして、原決定を取り消して差し戻した事例。

付添人活動のポイント

事案は、16歳の少年が、占有離脱物横領(原付)と共同暴行を犯したもの。占有離脱物横領事件について、家裁調査官が面接調査を行い、審判前に共同暴行の非行を犯したものであり、原決定は、この点を重視したことが伺われる。

一方、高裁は、「原決定は、家庭の監護に少年の更生を期待することはできないというのみであり、少年の反省状況や更正意欲、更正に繋がる就労先等の社会資源の可能性等、少年をこの際施設に収容して保護するのを相当とするかどうかの判断をするに必要な諸事情の説示がいささか不十分であるとのそしりを免れない」と断じた上で、各要素について詳細に検討をくわえ、「少年には、保護された非行以外の非行行為も認められるが、実際に保護処分を受けるのは今回が初めてであり、これまでに社会的な矯正、指導を受けていない」として、原決定を取り消した。

実務上、調査中に非行した場合に、担当調査官がさじを投げ、収容に傾くケースは散見される。調査官からすると、非行を諭し反省を醸成させている中で非行に及ばれた場合、その点を重視するのも心情的には理解できないわけではない。

しかしながら、特に本件のように初回の非行である場合は、両親の監護意思、その他の社会資源などを十分に検討すべきであって、「調査後の再非行」にのみ目を奪われるべきでない。付添人としては、調査官が調査後の再非行のみを重視する場合は、他の要保護性を減少させる点を粘り強く強調する必要がある。

付添人活動を行うにあたり非常に参考になる審判例であろう。

裁判所・出典収容継続申請事件(東京家平13・11・26決定・家庭裁判月報54巻12号78頁)

決定内容

特別少年院に収容中の20歳の男子に対して、犯罪傾向はいまだ矯正されておらず、予定された個別処遇計画を全うすることを理由に、1年4か月間の収容継続を認めた事例。

関連条文

少年院法11条1項「在院者が20歳に達したときは、少年院の長は、これを退院させなければならない。但し、送致後1年を経過しない場合は、送致の時から1年間に限り、収容を継続することができる。」

同法11条2項「少年院の長は、前項の場合において、在院者の心身に著しい故障があり、又は犯罪的傾向がまだ矯正されていないため少年院から退院させるに不適当であると認めるときは、本人を送致した裁判所に対して、その収容を継続すべき旨の決定の申請をしなければならない。」

特色

家裁審判において「相当長期」の処遇勧告を受け、25か月の処遇計画を作成されていたところ、12か月前後で退院時期(少年院法11条1項但し書き)が到来した事案。

当初から収容継続が前提とされた処遇計画が立てられていたものであるが、処遇の段階(少年院では5段階の累進処遇である)と犯罪的傾向の矯正の程度は、必ずしも一致しない。つまり、処遇の最高段階に達していないことは、犯罪的傾向未矯正の有力な資料となるにとどまるとされている(大阪家昭51・8・30決定家裁月報29・5・100、注釈少年法・改定版・有斐閣・田宮裕・449頁)。そこで本決定も、暴走族とのかかわりを絶つ決意が不十分であることなどを指摘して、犯罪的傾向の未矯正と判断している。

また、居住先(受け入れ先)の調整に課題を残していることから、仮退院後の保護観察期間を確保する必要性もあるとして、処遇計画の残り13か月に3か月をくわえた16か月の収容継続を認めた決定である。

裁判所・出典不処分決定に対する抗告事件(東京高平14・4・26決定・家庭裁判月報54巻12号74頁)

決定内容

非行事実を認定した上で不処分決定とした決定に対する抗告審において、少年法改正の趣旨を考慮しても、不処分決定に対する抗告申立ては不適法であるとして、抗告を棄却したもの

関連条文

少年法32条「保護処分の決定に対しては、決定に影響を及ぼす法令の違反、重大な事実の誤認又は処分の著しい不当を理由とするときに限り、少年、その法定代理人又は付添人から、2週間以内に、抗告をすることができる。」

特色

少年法32条は、保護処分の決定に対して抗告できる旨規定していることから、不処分決定に対しては非行事実を認定したものであっても、抗告は許されないというのが通説である(最高裁小法廷昭60・5・14決定刑集39巻4号205頁、最高裁第2小法廷平2・10・30決定家裁月報43巻4号80頁、注釈少年法・改定版・有斐閣・田宮裕・323頁)。

これに対して、本抗告は、少年審判に対審構造を導入することとして近時の少年法改正の趣旨に鑑みれば、抗告できると主張したものである。

東京高裁は、文理解釈、立法趣旨、そして少年法改正の趣旨を考慮しても、不処分決定に対する抗告は認められないとした。

なお本高裁決定に対する再抗告審(最高裁第3小法廷平成14・7・19決定)においても、本件抗告は棄却された。

付添人活動のポイント

事案は、電車内におて女性の臀部(でんぶ)をなでるように触った行為(いわゆる痴漢行為)に対して、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反に問われた事案である。家裁においては、警察官調書の任意性が争われ、警察官の証人尋問などが実施されるなど、激しく事実が争われたようである。

解釈論としては妥当なものであるが、非行事実、しかも痴漢行為を問われた本件少年としては、釈然としない思いが残る。特に、非行事実が認定されながら保護処分を問わないというのは、要保護性がほとんどない稀なケースである。事実、本件少年も、非行歴がないなど要保護性が少ないケースのようである。だからこそ、「認定された非行事実」を争うすべがない点は、少年の納得を得られるものでない。法の不備と言わざるを得ないだろう。最高裁でも本件抗告は棄却され、実務上は確定したといえるが、法改正を念頭に今後の検討として残る論点である。

裁判所・出典窃盗・窃盗未遂保護事件(松山家裁西条支部平14・6・18決定・家庭裁判月報54巻11号)

決定内容

18歳の少年に対する保護事件において、中等少年院送致決定をしつつ、比較的短期の処遇により矯正の目的を達しうるとの処遇勧告がなされたもの。

特色

18歳の少年が他の少年3名と共謀し、自動販売機をバールでこじ開け4,500円を窃取したケース(1つは未遂)について、要保護性について慎重かつ丁寧に判断した上、比較的短期の処遇勧告を付したもの。

要保護性の基礎

18歳の少年、少年院仮退院後2度目の非行、仮退院後の最初の非行からわずか半月での再非行、自販機荒らしにおいて先輩として後輩を使っている、その他不良文化への親和性が高まっている、共犯者が逮捕された後も口封じと見られかねない手紙を出していること、証拠が判明するまで否認していたこと、両親も仮退院後であることの切迫感にかけたことなど要保護性が高いことを指摘。
その上で、本件が単発的・従属的であること、他に重大な余罪がないこと、就労面で改善が進んでいること、観護措置の中でも態度の改善がみられることから、比較的短期処遇勧告を行った。

付添人活動のポイント

付添人の中でも「比較的短期処遇勧告」の存在知らない者が結構多い。長期処遇ではあるが、少年院での改善程度に応じて8か月から9か月で仮退院できる可能性を残す処遇勧告である。
私が経験した事案は、付添人が「試験観察、最悪送致でも短期」、鑑別所が「短期少年院送致、調査官が「長期」を主張した事案で、少年が約10か月後が入学時期である美容学校への入学を希望していることを勘案し、裁判所が「比較的短期処遇勧告」を付した。
柔軟な処遇を図る上で、頭の片隅においておきたい処遇勧告の一つである。

裁判所・出典観護措置決定に対する異議申立て事件(水戸家平14・3・19決定・家庭裁判月報54巻11号)

決定内容

原決定を取り消し。

特色

改正少年法で認められた異議申立を法定代理人である父親が行使した事案。

要保護性の基礎

逮捕直後から一貫して犯行を認めていること、偶発的な犯行、大学生であり真面目に通学していること、非行歴がないこと、保護者の監護意欲も認められること、共犯者5名中3名が観護措置を取られていないことから、鑑別所での心身鑑別を行うまでの必要もないと判断した。

付添人活動のポイント

逮捕拘留中から弁護人に選任されておれば、観護措置への立ち会いを求め、保護者を同行しつつ、観護措置前に意見書を提出し、裁判官面会を求めるなどして、釈放を求めるケースだろう。観護措置への立ち会いは明文上は規定はないが、付添人としてはどんどん求めていきたい。最近は拒絶されるケースは少ないようである。裁判官面会まで応じるかは、各裁判官の裁量によってかなり異なるようである。私自身も、面会したケースと「意見書を拝見し、調査官が少年と面会しているから結構です」とやんわりと断られたケースがある。ただし後者の場合も、観護措置は取られなかった。
本件の場合、5名中3名は観護措置を取られていないということだが、一部の共犯者には弁護人が選任され活動していたのかもしれない。
いずれにしろ、異議申立権が有効に活用され、効果を見た事案であり、参考になる。

裁判所・出典危険運転致死保護事件(金沢家裁平14・5・20決定・家庭裁判月報54巻10号)

決定内容

19歳の大学生の危険運転によって同乗者が死亡した事案について、保護処分の可能性も認めつつ、犯行態様の悪質性・結果の重大性を強調して、逆送としたもの。

特色

少年法20条2項「故意の犯罪行為による被害者を死亡させた事件」に該当し、かつ、少年は16歳以上であったからいわゆる原則逆送事件であるケース。

要保護性の基礎

19歳の大学生、制限速度の倍以上の120ないし150キロで走行し、同乗の友人大学生を脳挫傷によって死亡させた。暴走等の反社会的な行動はないが、日頃から「高速運転をしがちな日ごろの運転態度に原因があったものと考えられるから、少年には交通要保護性があり、保護処分によって改善を図ることは可能と考えられる」と指摘しつつ、犯行態様・結果の重大性・間もなく成人になること、前科などから「保護処分を行うことは不適当であり、検察官送致決定をし、少年に成人としての責任を取らせるのが相当というべきである」とした。

付添人活動のポイント

少年法改正による原則逆送の規定がなかったとしても、逆送された蓋然性は高かった事案と思われる。付添人としては、被害弁償をすすめるなど、示談締結に力を入れるべき事案である。家裁審判においては、被害弁償の正否は、成人事件ほど重視されない傾向もあったが、少年法改正の趣旨などをふまえ、最近の調査実務でもかなり重視されている。
本件が、示談の努力はしているが示談締結に至っていないこと、過去にも60キロ以上の超過速度によって罰金に処せられたことがあること、あと3か月弱で成人になることなどからすると、妥当な決定だろう。

裁判所・出典ぐ犯保護事件(松山家裁西条支部平14・5・14決定・家庭裁判月報54巻10号)

決定内容

保護観察中の16歳の少年に対して、ぐ犯事由は認められるものの、ぐ犯性については、これを認めることができないので、ぐ犯の成立を認めることはできないとして、保護処分に付さなかったもの。

特色

ぐ犯性について慎重に判断している。

要保護性の基礎

「ぐ犯性の内容は、少年の性格や環境に照らし、抽象的・一般的にみて将来少年が特定の犯罪を犯す可能性があると予測できるという程度では十分ではなく、将来当該少年が特定の犯罪を犯す蓋然性が高いと認められることが必要である」との一般論を指摘した上、送致時点で窃盗容疑の嫌疑をかけられていたが、窃盗を裏付ける証拠はないこと、結局窃盗容疑については事件化される見込みがなくなっていること、断続的にアルバイトをしたり少年なりに自力更正に向けての言動があったこと、調査期日に調査官から警察に出頭して取り調べに応じること、保護司の指示を遵守することを指示したところ、その指示に従っていることなどから、少年に特定の犯罪を犯す蓋然性が高いとは言えないと判断した。

付添人活動のポイント

ぐ犯立件の出発点は、JR駅での窃盗(被害者が犯人グループと会話中にバックから定期入れを抜き取られたもの)の嫌疑がかけられ、警察が呼び出しをするものの応じないため、ぐ犯立件したもののようである。審判書きにも「警察から送致された・・・事由は、一部に借辞やや適切さを欠く部分もあるが」と指摘されるように、そもそもぐ犯送致自体が、実態とかけ離れた、もしくは、任意の取り調べに応じようとしない少年に対する感情的な処置だったと想像される。付添人に就任すれば、少年の生活環境からときほぐし、ぐ犯事由が存しない点を指摘しつつ、本件送致の背景事情・問題点も裁判所に理解させる必要がある。

なお、本決定は、かかる背景をふまえた上、極めて妥当な判断をしていると評価できよう。

裁判所・出典傷害致死、道路交通法違反被告事件(水戸地土浦支部平14・3・1決定・家庭裁判月報54巻9号)

決定内容

家庭裁判所に移送

特色

家庭裁判所から逆送されて起訴された刑事手続きの中において、犯行状況、少年(被告人)の内省、などを十分に考慮した上、「保護処分に付してその更生を図るのが相当である」と判断されたもの。

判断の基礎

19歳の少年、午前3時30分ころ自宅近くを携帯電話で友人と通話しながら歩行中、肩が触れたと被害者(当時47歳)から「ぶつかっといて謝まんねえのか、くそガキ」などと言われ口論となり、被害者から傘で1回殴打されたことから振り向きざまに1回殴打したところ、被害者は後頭部をコンクリート舗装地面に強打し、死亡。「死亡の結果は被告人の予想外であり、不運とも言うべき偶発的な事情が重なったため」、「刑事手続きを通じて、反省の態度を示し内省は深まりつつある」、500万円を支払い示談成立、被害者の遺族が宥恕の意思表明、前歴としては15歳の無免許運転(不処分)のみ、父親が今後の監督を誓っていること。

付添人活動のポイント

逆送以前は付添人が付いていなかったのかもしれない。鑑別結果・調査結果も逆送だったようで、頭から結果の重大性に目が奪われていた節がある。そのようなケースでは付添人活動も、早期から調査官面談を繰り返し、環境調整に力を注ぎながらの調査官とのジスカッションが必要不可欠である。

また、「被告人は、家庭裁判所での調査・審判時においては内省が不十分であり、反抗的な態度を示す場面も見られた」(決定書)ということである。もちろん実際に少年の反省が足りなかったこともあろうが、調査官との心理的な交流がうまくいっていなかった可能性もある。調査官としては「かわいくない少年」であるし、「結果は重大」であるし、「19歳の年長」であることから、逆送ありきで調査に着手し、その雰囲気が少年に伝播していた可能性も否定はできないのではなかろうか。

付添人としては、「19歳、結果の重大性→逆送の可能性高し」という筋は十分に念頭におきながらも、少年の内省・環境調整に力を注ぎ、また結果の重大性へのフォロー(示談)を進める必要がある。

なお、家庭裁判所に送致された後の最終審判では、一般短期の少年院送致となっている。

裁判所・出典少年補償事件(岐阜家裁大垣支部平13・11・20決定・家庭裁判月報54巻8号)

決定内容

本件については補償しない

特色

観護措置の基礎となった占有離脱物横領について非行事実なしとされたものの、観護措置の基礎となっていない窃盗について非行事実を認定された少年の補償の当否に関する判断。

判断の基礎

中学校に登校せず親の指導監督にもほとんど従わず、複数の触法行為に及んでいた。このように要保護性の極めて高い状態にあったから仮に占有離脱物横領について観護措置がなされなかったとしても、既に児童相談所に通告されていた他の触法事実について直ちに事件送致された上で、観護措置決定がなされたものと考えられるから、補償を認めなかった。

裁判所・出典触法保護事件(東京高裁平14・4・3決定・家庭裁判月報54巻8号)

決定内容

抗告棄却

特色

児童福祉法上の保護措置は児童福祉の要請から認められる行政措置であるから、その事実について、更に司法上の処分である家庭裁判所の保護処分をしても二重の危険に触れるものではない。

判断の基礎

少年本人による抗告自体については簡単に排斥。ただし原審が判示した「児童福祉法上の措置が既に取られていた以上、さらに少年法上の保護処分を加えることは二重の危険に類似した負担を児童に課するものである」という点について、職権にて判断を加えたもの。

裁判所・出典触法保護事件(東京家裁平14・2・18決定・家庭裁判月報54巻7号)

決定内容

児童相談所送致(在宅試験観察後)

特色

12歳の少年が現住建造物放火の結果、建造物が全焼し、住人1名が死亡したという重大な結果が出た事案。合議体で審理し、鑑定結果・在宅試験観察の結果をふまえて、児童相談所に送致している。

要保護性の基礎

12歳少年、上級生にからかわれた不快感を紛らわそうと非行に及んだ。前歴なし。両親は養育に関心があるものの少年をかばいがちであり内省を求める姿勢には乏しい。
調査官の働きかけにより少年の通う学校・児童相談所において指導する体制が整った。鑑定人においても今後も定期的に少年を診察したいとの意向を示していることなど。

付添人活動のポイント

付添人はついていなかったようである。12歳の少年による重大事件について、裁判所は合議体の構成を取った上、鑑定意見を求めている。調査官主導で在宅試験観察とした上、その期間中に調査官から積極的な働きかけがあったことが審判書の節々からうかがえる。また鑑定人も今後の関与に積極的のようであり、調査官・鑑定人とある意味、社会資源に恵まれたケースのようである。
試験観察中の具体的な活動は明らかではないが、付添人としても試験観察中の関係機関・学校への働きかけ、両親への働きかけなど参考にしたい事例である。

裁判所・出典ぐ犯、占有離脱物横領保護事件(大阪家裁平13・10・26決定・家庭裁判月報54巻7号)

決定内容

医療少年院送致

特色

自転車を盗んだぐ犯事実は占有離脱物横領の犯罪事実に吸収され、要保護性に関する事実として考慮すれば足りる。少年が現在妊娠中であることから、医療少年院送致とするが、医療措置後は初少年院に移送して、一般短期の処遇勧告を付した。

要保護性の基礎

14歳中学2年生の女子少年、中学1年の3学期から学校を怠学、中学2年からは無断外泊・家族への暴力、万引き、さらに無断外泊を注意した母に暴行など「保護者の正当な監督に服さず、正当な理由がなく家庭に寄りつかず、自己または他人の徳性を害する」もの。
小学校後半までは順調に生育。中1の時、両親が離婚した後より、成績が下降し怠学が開始した。

付添人活動のポイント

ぐ犯事実について裁判所は慎重に認定しており、付添人活動の際にも参考になる。ぐ犯事件における一事不再理等については、「少年保護事件における一事不再理に関する諸問題」(家裁月報54巻7号、判事補山地修)参照。
ぐ犯事案においては、環境調整における付添人に求められる役割は多い。一方で、明確な犯罪事実を侵していないケースでも、目に見えない要保護性の大きさに「打ちひしがれる」ことも少なくなく、調査官とも連携しながら、両親との関係修復、親戚等の社会資源の発掘などに心がけたい。

裁判所・出典殺人未遂保護事件(東京家裁平14・1・29決定・家庭裁判月報54巻6号)

決定内容

中等少年院送致

特色

19歳の少年の殺人未遂保護事件について、合議体で審理を行い、偶発的犯行であること、犯行時酩酊のため心神耗弱であったこと、被害者が厳罰を望んでいないことから、逆送せずに少年院送致とした。重罰化に傾きがちな昨今、極めて冷静な判断を行っている。

要保護性の基礎

19歳の大学生が同級生宅において酒を飲んで眠っていたところ、友人から起こされたがその態度に立腹して包丁で友人の背中を2回突き刺すなどした事案。
大学1年生、非行なし。被害者とは親友で一緒に週末を過ごしたり外出していた。当日も午後4時から午後8時まで被害者宅で飲酒していたところ、寝入ってしまい、寮の門限に遅れることを心配した被害者が少年を強く起こしたところ、立腹し、包丁を持ち出し、被害者を土下座させた上土下座している被害者の背中を2度刺したという事例であり、かなり動機が不明瞭かつ突発的な非行のようである。

付添人活動のポイント

付添人が「殺意」を争っており、要保護性へのフォローがやや不十分だったかもしれない。殺意や非行事実を争う場合、仮に事実を認定された場合に備えて、どこまで要保護性の解消に努めるのかは、付添人活動として悩むところである。
本件においてはおそらく、少年と被害者が親友であるところから、示談もしくは嘆願書なりを取りやすい状況にあったと予測され、実際「処罰感情がないこと」が逆送を回避した大きな理由だろう。その意味で付添人活動は功を奏している。

一方で、要保護性の認定の中で「少年の母親は・・・飲酒など少年の乱れた学生生活を把握していなかった上、少年が本件非行に及んだ事実を受け入れることができずにおり現段階において、少年に対する指導を徹底することは困難な状況にある」と指摘されている。バランスが難しいが、夕方から飲酒を続けていた点などの問題点を親・少年本人に理解させてその解消に努めておくことは、「殺意」を争うことと矛盾しない。

なお、かかる重大な結果を惹起したケースの裁判所の判断思考は「逆送」か「少年院送致」かであり、試験観察などは念頭に置かないことが多い。しかしながら、本件が大学生同士の事案であること、少年には非行歴は全くないこと、友人関係で処罰感情がないことからすると、仮に示談が出来て嘆願書まで取れた場合は、今後の大学生活を継続させるべく試験観察なりに付することも、付添人としては考えざるを得ないし、その方向の余地も、「口だけはなく」真剣に検討して欲しいものである(裁判官面談すると「確かにご指摘のように在宅も可能性としてはあり得るでしょうが、この少年の場合は在宅処遇は世間の理解を得られないと思いますね」と逃げられることが多い)。

裁判所・出典恐喝保護事件(長崎家裁平14・1・16決定・家庭裁判月報54巻6号)

決定内容

初等少年院送致

特色

保護観察所長に対して、保護者に対して将来少年を引き取るための環境の整備を働きかけるように環境調整に関する措置を命じた

要保護性の基礎

中学3年生がタバコ代等欲しさに恐喝。2か月前の試験観察に付する決定を受けていたにもかかわらず、暴行事件、家庭内での暴言などが続く。無断外出のため、緊急同行状を発布し、観護措置を取られた。問題点としては、両親の離婚・養父との心的葛藤、共働き期間の放任、演技的行動を鶏がちな未熟な人格構造が指摘されている。

付添人活動のポイント

付添人が付いていなかった事例のようである。おそらく調査官が試験観察を試みたと思われるが、その後の少年の行動は残念ながら裁判所の期待に応えるものではなかった。

少年が中学3年生であること、非行歴としては中学2年生時の万引きによる不処分のみであることからすると、試験観察を試みた家裁の判断は極めて相当だったというべきである。
仮にこの事案の付添人であれば、調査期日の間において、少年との面接(しかも家庭を訪問した上)、養父と少年との心理的葛藤を解消するような、少年にとっては「兄」、養父にとっては「相談者」の様なスタンスで試験観察をフォローする必要があると思われる。ただし、この少年が「愛情要求不満を抱き、問題行動に出ると保護者の叱責を受けてさらに・・葛藤が深まる悪循環が生じていたと分析されている」(審判書による)ことからすると、付添人としても相当の困難が予想される事案である。

その意味で、やむなく初等少年院送致を選択した裁判所が、少年と保護者との関係改善を対象として環境調整命令を出した点は、この少年の要保護性に十分配慮したものであり評価できる。

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