多重債務Q&A
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任意整理(債務整理)Q&A
- Q任意整理(債務整理)のメリット・限界を教えて下さい。
- Q分割払いの任意整理の交渉には、基本はあるのですか。
- Q弁護士の受任通知を出せば取り立ては止まるのですか。
- Q業者は、取引経過を簡単に開示するのでしょうか。
- Q利息制限法に引きなおすと、債務はどれ位になりますか。
- Q過払金とはどのようなものですか。
- Q任意整理(債務整理)の弁護士費用は。
- Q13年前に借りた借金を放置していたら、裁判所から呼出が来ましたどうすれば良いですか。
- Q任意整理における支払い回数について教えて下さい。
- Q一括払いの任意整理もあるのですか。
- Q弁護士に委任すれば、何も注意することはないのでしょうか。
- Q妻に内緒で債務整理できますか。
- Q任意整理では、将来利息はつかないのですか。
- Q弁護士に任意整理を依頼して、解決までどれ位の期間がかかりますか。
- Q弁護士に任意整理の相談に行くことにしました。何を用意すれば良いのですか。
- Q闇金融(ヤミ金融)に手を出してしまいました。解決できますか。
- Q闇金融(ヤミ金融)にはどのような種類があるのでしょうか。
- Q弁護士に依頼をすれば、闇金融(ヤミ金融)からの取り立ては止まるのでしょうか。
- Q闇金融(ヤミ金融)は電話口でどのような対応なのでしょうか。
自己破産・個人再生Q&A
- Q「自己破産」とはどのようなものですか。
- Q「免責決定」が認められない免責不許可事由について教えて下さい。
- Q自己破産の不利益について教えて下さい。
- Q保証人に迷惑をかけずに自己破産できますか。
- Q自己破産は、マイホームは手放さないといけないのでしょうか。
- Q自己破産申立に必要な資料は何がありますか。また裁判所に出頭する必要があるのですか。
- Q自己破産の件数はどうなっていますか。
- Q個人再生とはどのような制度ですか。
任意整理(債務整理)Q&A
Q任意整理(債務整理)のメリット・限界を教えて下さい。
Aまず弁護士に依頼することによって取り立てが止まります。依頼した時点で暫定的に借金支払いのない生活を送れます。
弁護士がサラ金業者等と話をしますので、依頼者は通常の生活を送ることが出来ますし、裁判所等に出頭する必要もありません。
場合によっては払いすぎた借金を取り戻せることもあります。
限界は、減った借金を支払う必要がること、支払い方法として最長5年(60回払い)程度であることなどです。
Q分割払いの任意整理の交渉には、基本はあるのですか。
A受任した弁護士は債権者に受任通知を出し、各債権者から、(1)今までの取引経過を開示させます。
そして、(2)弁護士が利息制限法にて計算し直して、残元金を確定します。つまり、今まで払いすぎた利息を元金に支払ったとすることにより、かなり借金額が減ることになるのです。
(3)その上で、36回払い(3年)から60回払い(5年)前後の分割案を提示することになります。
なお、(4)原則として将来利息は付けずに、元金のみの支払いを交渉の基本としています。
以上の(1)から(4)が弁護士による任意整理の基本ということになります。
Q弁護士の受任通知を出せば取り立ては止まるのですか。
A弁護士が正式に受任後、直ちに各債権者に受任通知(弁護士が付いたことを債権者に知らせる通知)を出します。右通知が出された後の取立は、金融庁がガイドラインを出しており(旧銀行局長通達、旧大蔵省ガイドライン)、禁止されています。したがって大半の業者は取立をやめます(サラ金、信販、銀行ど大半の業者)。
仮に取立をやめない時は、弁護士から関係機関に連絡し、行政指導させるとともに、仮処分など強行手段も考えられます。いわゆる携帯電話のみで営業を行っている業者に対しては、弁護士が直接架電して取立てを止めるように要請します。福岡市内では弁護士から電話がかかると取立てをやめる業者が大半です。取り立てを止めない場合には警察に相談することになります。
いずれにしろ、弁護士に委任する大きなメリットの一つが、この受任通知による取立ての停止にあるわけです。
Q業者は、取引経過を簡単に開示するのでしょうか。
A任意整理を受けた弁護士の重要な業務は、取引経過を業者からいかに開示させるかというところにあります。
業者からすると、取引経過を開示して利息制限法で計算されると、かなり元本が減ります。、過払いだと返還請求をされる可能性もあることから、開示に抵抗する会社も少なくありません。また、5年以上の取引があるにもかかわらず、一部分の取引履歴だけ開示してくる会社もあります。弁護士は、契約書の日付・相談者からの聞き取りにより、取引期間を把握した上、業者に開示を迫ることになるのです。
Q利息制限法に引きなおすと、債務はどれ位になりますか。
Aケースバイケースですが、取引期間が長い、借り換え(枠からの引き出し)が少ないような場合は、相当程度減少します。
例えば、昭和50年代からのサラ金負債で、20社1000万円を越えている相談者の場合、引き直し計算の結果、100万円前後になったこともあります。
Q過払金とはどのようなものですか。
A利息制限法で利息を計算しなおして、元本に充当していくと、元本を支払い終わっていることも少なくありません。これを過払金と言います。
過払金については逆に業者に対して支払いを求めることが可能です。
Q任意整理(債務整理)の弁護士費用は。
A古賀克重法律事務所では着手金1社3万円、解決報酬金0円です。過払い金がある場合のみ、成功報酬15%を受領しております。
Q13年前に借りた借金を放置していたら、裁判所から呼出が来ましたどうすれば良いですか。
A借り入れ、ないし、最終支払日から5年で消滅時効を主張できます。うかつに支払ったりせずに直ちに弁護士に委任して答弁書で消滅時効を主張して下さい。
Q任意整理における支払い回数について教えて下さい。
A取引経過を開示させ、残元金を確定させたら、債権者と支払回数について協議することになります。
基本的には、3年払い(36回払い)を原則とし、最大5年(60回払い)程度です。
逆に、「自分は月々の返済が苦しくても、2年で返済してしまいたい。」という意欲のある方であれば、当然、その内容に従って示談交渉することになります。
以上の回数を目安に、残債権額・月々の支払い額などを考慮して、支払い回数を決定していくことになります。
Q一括払いの任意整理もあるのですか。
A「任意整理」とは、その名のとおり任意に債権者と交渉して、債務を整理することですから、債権者と合意しさえすれば法的な制限はありません。
親族からある程度の支払金を用意してもらえるときは、一括払いの任意整理も当然可能です。
もっとも、現在ある借金をそのまま全部支払うのであれば、「弁護士に任せた任意整理」の意味が全くありません。弁護士が分割払いの場合と同じく、取引経過を開示させ利息制限法に引きなおして、残元金を確定させます。その上で、残元金の一定割合の一括払いを業者と交渉します。
例えば、総債務400万円であったところ、利息制限法でひき直した結果、200万円ほどになりました。親戚からの援助金として150万円用意できましたので、残元金の70パーセントの一括支払いによる示談を債権者と交渉しました。30パーセントのカット率にはかなり抵抗する業者もいましたが、最終的にこの案で示談がすべて成立しました。
Q弁護士に委任すれば、何も注意することはないのでしょうか。
A「任意整理」とは、多重債務状態になった方が、弁護士を利用して、再度支払いを継続するものです。弁護士に任せきりではうまくいきません。
家計表を見直し、弁護士と良く相談して月々の支払い額を決めます。その月々の支払額を念頭に各債権者と弁護士が交渉します。その間、債務者の皆さんには決定した額を積み立ててもらうことになります。
あくまで主役は債務者の方。過去の家計の問題点を見つめ直して、新しい生活設計を行うチャンスの機会にしましょう。
Q妻に内緒で債務整理できますか。
A必ずしも家族に説明する必要はありませんし、債権者からも求められませんので可能です。
ただし借金が出来た原因を家族で共有して二度と多重債務にならないために、告白することが良いこともあります。
弁護士を通じて説明してもらうということも場合によっては考えても良いでしょう。
Q任意整理では、将来利息はつかないのですか。
A任意整理は支払いに窮した債務者が可能な支払案をまとめるものです。利息を支払案では、また行き詰まることが予想されます。ですから、弁護士としては将来利息をカットする支払案を提案することなります。任意整理が浸透してきた現在では、サラ金・信販はある程度、将来利息のカットに応じてくるようです。
ただ、あくまで任意の交渉ですから、応じてこない業者も存在します。その場合は、「債権者平等であって、お宅だけに支払利息を支払うことはできない。」などとねばり強く交渉することになります。
Q弁護士に任意整理を依頼して、解決までどれ位の期間がかかりますか。
A事案にもよりますが、私の場合は、「90日ルール」と称して、3か月前後の解決を目標にしています。先ほど述べた(1)から(4)の原則を貫こうとすると、半年、1年経ってしまう場合も少なくありません。一方で、債務者が長期間にわたり、将来の支払額が不安定な状態に置かれることは、決してプラスとは言えないからです。
そこで、私の場合は、受任通知により3週間以内での取引経過開示を要求し、開示があれば直ちに支払い案を提示することにしており、3か月前後での解決を目標にしています。
もっとも取引経過を確信犯的に開示しない特定の業者が有る場合は、やむを得ませんので、他の業者の任意整理をすすめ、最終的に残ってしまった業者の処理は依頼者と協議しながら決めるようにしています(つまり、その1社だけ協議を継続するのか、ある程度の見込みで和解するのか、裁判まで考えるのか・・)。
いずれにしろ、依頼した弁護士と事前によく話し合っておく必要があるでしょう。
Q弁護士に任意整理の相談に行くことにしました。何を用意すれば良いのですか。
A私の場合は、(1)債権者一覧表と、(2)家計表を用意してもらうようにしています。
債権者一覧表は、負債状況や債権者を確認するためのものです。債権者名、住所、最初の借り入れ日・最後の借り入れ日・残金・使途などを書き込みます。
家計表は、収入と支出のバランスを確認して、債務整理案を検討するために必要なものです。
収入欄には、手取金額、支出欄には、家賃額、光熱費、食費、外食費、洋服代、医療費、交通費、支払額などを記載します。
Q闇金融(ヤミ金融)に手を出してしまいました。解決できますか。
A法定利息をはるかに越える違法金利を取る闇金融(ヤミ金融)の存在が社会問題化しています。
ヤミ金融にいったん手を出してしまうと、負債は増え続けていきます。直ちに弁護士に依頼する必要があります。
基本的に、弁護士は、全ての携帯電話の業者に直接電話をして、示談交渉を行います。交渉の基本方針は、契約の公序良俗違反による無効を主張して、弁護士に委任した日以降の返済は拒絶します。現在は違法なヤミ金融に対して警察も断固たる姿勢を見せていますので、弁護士が受任しても取り立てがやまない場合には、直ちに警察に相談して動いてもらうようにしています。
Q闇金融(ヤミ金融)にはどのような種類があるのでしょうか。
A利率で分類すると、「トイチ」(10日で1割、年利にすると365パーセント)、「シュウイチ」(1週間で1割、年利にすると521.4パーセント)、「イチイチ」(1日で1割、年利3650パーセント)等、様々な業態があります。
明確な定義があるわけではありませんが、違法金利を収奪することを目的とし、実際に違法金利を取っている業者は全てヤミ金融といえます。
最近では、暴力団関係者以外の個人が、「友人として貸しているだけ」などと強弁して、違法金利を取っているケースも増えています。
Q弁護士に依頼をすれば、闇金融(ヤミ金融)からの取り立ては止まるのでしょうか。
A基本的に取り立ては止まります。過去の例としては、9割の業者は〇和解に応じ、残りの1割弱がやや強行・・・・という感じです。例えば、強行な業者は、弁護士が電話をかけても、「おまえなんか関係ない!」、「弁護士が何様だ!」、「お前の事務所はどこだ!」などと電話口でも脅迫まがいの調子です。ですが、そういう業者も弁護士と最後まで喧嘩をすれば、さすがに摘発されるということを分かっており、最終的には取り立てを断念するケースがほとんどなのです。
Q闇金融(ヤミ金融)は電話口でどのような対応なのでしょうか。
A過去の経験では下記のようなものがありました。
- あっさり型
「分かりました・もう請求しません」 - 泣きつき型
「元金、いや、その半分だけでも返してくださいよ」 - 粘着型
「借りたやつが詐欺じゃないか。」「弁護士費用は俺からだましとった金ですよ。返してください」 - 激高型
「貴様、弁護士が何様のつもりか!」「あいつを電話口に出せ!」「ふざけるな、今からおまえ(弁護士)の事務所に押し掛ける、場所を教えろ!」
などです。
いずれにしろ、その不合理な対応は明らかですので、弁護士としては、冷静に対応していくことになります。
自己破産・個人再生Q&A
Q「自己破産」とはどのようなものですか。
A「自己破産手続き」と一口に言いますが、2段階に分かれていると考えて下さい。
まず、支払い能力がないということを裁判所が決定する「破産決定」、次に、支払いを免れるための「免責決定」です。
自己破産の申立てがあると、裁判所は、債務者が本当に支払不能な状態なのかを調べ、さらに財産の状態も調べます。そのために様々な資料を提出する必要があり、申立後、裁判所へ出頭し裁判官から事情を尋ねられることもあります(現在は借り方に問題がなく、資料をきちんと提出していれば、出頭なしの場合が大半です)。その上で破産宣告決定が出ます。
このように破産宣告は要するに破産状態であることを宣告するだけですので、残債務を支払う義務は残っています。さらにこの支払いを免れるためには、免責の申立をして免責許可決定を受ける必要があります。免責決定が確定すると、破産宣告前の借金は、法律上、支払う責任がなくなります。
Q「免責決定」が認められない免責不許可事由について教えて下さい。
A借りかたに問題があると、免責決定が出ない場合もあります。例えば、ギャンブルで借金したり、多額の宝石・着物等を不必要に購入している場合です。また破産申立ての直前に借り入れたり、財産を隠した場合、過去10年以内に破産宣告を受け,免責を許可されたことがある場合などには原則として免責決定が出ません。
ただし、そのような場合でも、裁判所の裁量で免責決定が出る場合もあります。例えば、借金額の10パーセント程度を積み立てて、債権者に配当することにより、例外的に免責を認める運用もなされています。
Q自己破産の不利益について教えて下さい。
A自己破産を申立てた場合、それぞれの業者の加入する信用情報に流されます。したがって今後5年から7年ほどは借り入れができないことになるでしょう。ただ法律的に決まっているわけではなく、あくまで「自己破産を申立てた」という情報をふまえて、各債権者がそれぞれ判断することになります。
一方、戸籍や住民票には掲載されませんし、選挙権・被選挙権も喪失しません。会社も原則として働き続けることが可能です。
さらに破産宣告を受けると一定の資格の制限を受けます。例えば株式会社や有限会社の取締役、その他一定の職業(生命保険外務員,警備員、弁護士等)につけないという資格制限を受けます。この状態は免責を受けないと、原則として10年間続きます。
管財事件では破産者のすべての財産は、裁判所が選任する破産管財人が管理することになり、強制的に現金化して、債権者に配当します。つまり、破産者は財産を自由に使用・処分できなくなるわけです。その他に破産者が加入している保険は解約するか、解約返戻金相当額の積み立てを要求されます。勤務している人の場合、退職金予定額も換価・配当の対象になります。
Q保証人に迷惑をかけずに自己破産できますか。
A残念ながら自己破産すると債権者は保証人に請求することになります。場合によっては保証人にも連絡を取って理解を得る必要があります。
ただどうしても支払不能になった場合、保証人のことを気にかけて借金に苦しみ続けるということもつらいことです。どこかで決断をする必要があるといえるでしょう。
Q自己破産は、マイホームは手放さないといけないのでしょうか。
A自己破産は、財産があれば、当然債権者に配当しなければいけません。
原則として、不動産などの財産があれば、破産管財人を付けなければなりません。破産管財人は、裁判所の名簿に登録している弁護士の中から、裁判所から選ばれます(破産申立続きを弁護士に依頼していても、選任されます)。つまり、第三者的立場から財産状況を把握して、お金に換えて債権者に配当することになるのです。管財手続きになると、管財人費用を裁判所に納めないといけませんし、時間もかかることになります。
Q自己破産申立に必要な資料は何がありますか。また裁判所に出頭する必要があるのですか。
A戸籍謄本、住民票などのほかに、収入関係を証明するものとして、所得証明、課税証明書(非課税証明書)、登記簿謄本(あるいは無資産証明書)、評価証明書、過去1年分の通帳の写し、電話加入権証明書、生命保険証書、解約返戻金の証明書などです。また書式がありますが、財産目録(財産状況をチェックするもの)、家計表(1か月の収入と収支の明細)、陳述書(経歴、破産申立に至る経緯など)などが必要になります。
最近は、無審尋で破産決定を出すケースも裁判所が増えていますから、問題のないケースでは出頭する必要はありません(各地方裁判所・各ケースによって異なります)。
Q自己破産の件数はどうなっていますか。
A自己破産申立件数は、2004年には22万件を超えていましたが、それ以来減少傾向にあり、2012年には10万件を切って9万2554件、2013年には8万1136件になりました。ところが2016年からは増加する傾向を見せ、2018年、2019年には8万件台に戻りました。2020年から2023年にかけてのコロナ禍は国民生活に与える影響も大きく、自己破産の相談も増えています。
Q個人再生とはどのような制度ですか。
A民事再生法の一部改正が行われ、2001年4月に施行されました。
今までは、任意整理、調停を検討し、困難である場合や強行な債権者がいる場合は、いかに債務者に支払いの意欲があっても自己破産を選択せざるを得ませんでした。
「個人再生」によって、より柔軟かつ極めて有効な対応が可能となりました。
支払期間としては、債務者は3年間の分割弁済を行います(特別の事情がある場合は5年)。
支払額は、「所得から、生活保護基準の生活費と税、社会保険料を控除した金額」(具体的には、政令によって細かく決められます)を算出します。この額の2年分を支払うことになります。
住宅ローンについては、「住宅資金特別条項」によって、この支払額とは別に支払うことになります。逆に言えば、住宅ローンについては払いつづけながらの整理が可能となるのです。
支払うべき額の下限が定められており、100万円または総債務額の20パーセントの高い額とされています。
破産しても免責が認められないような、浪費などの場合であっても、以上の支払いさえなせば、免責が認められることになります。
手続きが開始されると、強制執行は停止されます。
以上のような制度が「個人再生」であり、借金額が多くて債務整理は難しい、仕事や住宅ローンから破産は避けたい、もしくは免責不許可事由がある場合に有効な手段と言えます。