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離婚・男女トラブルQ&A(回答)

離婚Q&A

Q離婚慰謝料の相場

今回、妻と離婚することになりました。結婚歴35年、子どもは2人ですがいずれも成人して独立しています。私の浮気が原因です。自宅の名義を妻に変えることと、慰謝料を請求されています。

妥当な慰謝料はいくらでしょうか。

A慰謝料額は、離婚の原因、結婚歴、結婚生活の状況、職業、資力などを総合考慮して決定されます。
家裁での調停成立例としては、300万円から500万円前後が多いようです。
が、各夫婦によって全く異なります。

例えば、あるお医者さん夫婦で、数千万円を支払って協議離婚が成立した例もありましたし、20代の若い夫婦で、親が50万円を支払って話し合いが成立した例もありました。
仲人や家族・親戚などに間に入ってもらう余地があれば、十分話し合って見られるのが一番です。そのような状況になければ、弁護士に委任して交渉、調停申立などを行わざるを得ないでしょう。
なお、財産分与は慰謝料の意味合いもありますから、全てを含めて話し合いましょう。

なお慰謝料額としていくらが妥当か、それを前提に何をどのように支払うのか、支払い方法としてどのようなものがあるのか・・・など具体的な相談はまさに面談相談になじむと思われます。

Q夫の親に慰謝料を請求できませんか?

家族会議で離婚することは決まりましたが、夫の親が「若い2人だから慰謝料はなしにしよう」と言っています。夫の親は資産家で経済的に余裕もあるのですから支払う余裕はあるはずです。

Aこんなご相談を良く受けます。しかしながら離婚に基づく慰謝料請求の相手は配偶者になり、親に対しては請求することはできません。

もちろん自主的に親が支払ってくれる、援助してくれるという場合はあります。私の経験した10代(夫)と20代(妻)の夫婦の事案では、夫の両親が慰謝料50万円を自主的に支払うことで合意に達しました。

Q夫の希望で離婚することになりました。慰謝料は必ずもらえますか?

A婚姻関係破綻に原因がない場合には慰謝料が支払われないケースもあります。

私の経験した30代の夫婦の離婚訴訟は、双方に明白な原因はないケースでした。ただし離婚後の生活状況を勘案して、裁判所から妻の生活扶養の意味で100万円程度の慰謝料の和解案が出されて、無事和解成立しました。

Q離婚して5年立ちましたが慰謝料を請求できますか?

A慰謝料請求は不法行為に基づく損害賠償請求です(民法709条)。不法行為に基づく損害賠償請求は3年で時効にかかりますので5年経過していると残念ながら請求しても拒絶される可能性が極めて高いでしょう。

離婚において特に妻の場合は、先に離婚をしてしまうのではなく、慰謝料も含めて金銭条件も詰めておくことが大事なのです。

Q暴力は離婚原因になりますか?

結婚歴15年ですが、夫の暴力が絶えません。夫は、「腹をなぐれば、暴力が分からないから、離婚原因にはならない。」などと言って、一向に暴力をやめようとはしません。子どももいない夫婦2人です。夫の言うことは本当なんでしょうか。離婚するにはどうすればよいですか。

A離婚原因には、「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」(民法770条1項5号)があり、暴力などもケースによっては該当します。

貴殿の場合も継続的な暴力を受けつづけており、到底、婚姻生活を継続できないような状態であれば、離婚原因になります。
夫からの暴力態様については、あなたの証言や近親者の証言でも立証可能です。ただ今後暴力を受けたら、直ちに病院で診断書を取り付けておきましょう。またテープ録音しておくことも考えてください。
話し合いによる協議離婚は難しそうですから、家庭裁判所にて調停の申立を行ってください。

また同居を続けたままの調停申立は危険を伴いますから、弁護士に委任することも考えて見られるのがよろしいでしょう。
私の行った事案でも、同種事案があり、しかも相手方に弁護士がついていませんでしたが弁護士名で警告の内容証明郵便を出し、多少の乱暴があった場合は、調停・裁判で抗議を申し入れ、調書に記載させる(離婚の間接事実として主張を追加して、認否を調書に記載させましたが、相手方も暴力を認めざるを得ませんでした)などを行い、無事裁判上の離婚が成立しました。

Q妻の浮気で離婚する時の親権は?

30代の夫婦です。妻の浮気が原因で離婚することになりましたが、娘の親権について話がつきません。共働きのサラリーマンですし、私の場合は両親が今後同居して娘の面倒を見てくれると言ってます。妻には同居して面倒みるような家族はいないのですが、「保育所に預ければいい。親権は譲らない。」と言って聞きません。

このような場合、親権はどのようになるんでしょうか。

A今のままでは調停などにより第三者に判断してもらうしかないでしょう。

一般に母親に親権が認められることが多いのも事実です。アメリカでは、女性だから親権で有利解されるのは憲法違反ではないか・・との議論もなされており、状況はかなり異なってきています。しかし、いまだ日本では、「母親強し」というのが実情でしょう。「両親の援助」も、残念ながら必ずしもあなたに親権を認める決定打にはなりえません。また「浮気する妻」という反道徳的態度も、「子どもに必要な母」という前提を覆すことには至りません。 奥さんがその浮気相手と同居するが、その相手が暴力団である、児童虐待の経験がある、もしくはお子さんがその相手との同居に拒否反応を示しているなどの付随的事情が必要となるでしょう。

Q婚約中に浮気をした婚約者を訴えられますか?

婚約者が浮気を繰り返していたことが、結婚後、発覚しました。婚約中に知っていれば結婚していません。結婚式費用やドレス代などを損害賠償請求したのですが可能でしょうか

A婚約が成立すると、当事者は、互いに誠意をもって交際して、夫婦共同体を成立させるように努める義務を負うと考えられています。婚約の効果として、不当に婚約破棄された場合は、損害賠償請求が可能です。

例えば婚約不当破棄としては、婚約披露の費用、結婚式会場のキャンセル代金、結婚のための衣装・家具代金を損害として認めた裁判例もあります。
本件は、婚約破棄ではなく、結婚後に知った場合という特殊性があります。

婚約者間に浮気をしないという貞操の義務があるか、という論点は、これまであまり議論されていませんでした。
この点、佐賀地裁平成25年2月14日判決は、婚約者間に貞操義務を認めて、女性から男性に対する357万円余りの損害賠償請求を認めています。

なおこの事案は結婚後1か月で、婚約時代の浮気を知り、結婚後4か月で協議離婚したもの。協議離婚の際に慰謝料等の取り決めはなかったこともあり、婚約時代の不法行為という構成を取ったようです。

婚約時代のトラブルというのは法律相談でも結構ありますが、訴訟で300万円以上の損害賠償請求が認められたものは珍しいケースといえるかもしれません。

Q携帯メールは不倫、離婚の証拠になる?

結婚生活5年で離婚することになりました。原因は夫の浮気です。携帯メールをチェックしたところ、会社の部下の女性と生々しいやりとりをしていたのです。盗み見した携帯メールは離婚裁判において不倫の証拠になるでしょうか?夫は、プライバイシー侵害だから逆に訴えてやると息巻いていますが、損害賠償を受けるのでしょうか?

A不貞、いわゆる不倫を原因として離婚する場合、どのような証拠を集められるかがポイントです。妻の直感として「浮気が間違いない」と感じることは多いと思います。ただし、裁判においては、裁判官は、証拠に基づいて判断します。もちろん妻の証言も証拠になるのですが、夫も「浮気をしていない」と証言するでしょうから、客観的証拠が物を言うのです。その客観的証拠として重要なのが、携帯メール、手紙、写真、ホテルや旅行に行った際の領収書、最近ではSNS(ツイッターやfacebook)などです。

一方、夫婦間においてもプライバシーはありますから、夫の同意を得ずに、携帯電話の画面やメール内容を盗み見る行為は、形式的にはプライバシー侵害となり、損害賠償請求の対象になり得ます。しかしながら、夫婦間の行為について、裁判所が損害賠償請求を認容する余地は少ないと思います。
夫に疑わしい雰囲気を感じた妻が、最低限の行為をした場合には、違法性が阻却される(なくなる)という考え方もなりたつからです。なお通信情報に不正アクセスする行為など法律に違反する行為はもちろん許されません。

注意点は、携帯、手紙などの内容です。

様々な読み方ができて解釈が分かれる内容ですと、証拠としての価値は少なくなります。また、1つの証拠で立証するというよりも、夫婦間の経緯、行動、証言、その他の客観的証拠を総合考慮して、「不貞行為(不倫)」があったか否かを判断することになりますので、注意が必要です。
私の担当したケースでは、ラブホテルの領収書があっても不貞を否定した相手方もいましたが、ラブホテルから出てくる写真を尋問で突きつけて全面勝訴しました。

Q離婚にともなう年金分割の割合は?

結婚生活20年で離婚することになりました。年金分割の割合はどうなるのでしょうか?夫は、「財産分与するんだから年金分割も少なくする」と主張しますが許されるのでしょうか?

A離婚する際は、厚生年金の保険料納付記録を当事者間で分割することができます。分割の対象は、厚生年金の保険料納付記録です。厚生年金の保険料納付記録(標準報酬)は、厚生年金の保険料の計算の基準になります。分割の方法は、婚姻期間中の厚生年金の保険料納付記録が多い方から、少ない方に対して記録が分割されます。

家庭裁判所では、特別な事情のない限り、年金分割における按分割合は、合意分割においても原則として2分の1と定める運用をしているなど(最高裁判所事務総局家庭局「離婚時年金分割制度関係資料」)、年金分割は2分の1の原則性が極めて強いと考えられています。

具体的には、審判認容で終局した事件のうち、99%が按分割合を2分の1としています(上記最高裁家庭局の報告)。 年金分割制度が導入された後の最初の審判例である松山家審平成19年5月31日も、「年金分割の対象期間における保険金給付に対する夫婦の寄与は、特別の事情がない限り、互いに同等と考えるべきである・・本件も妻と夫との間の年金分割の按分割合は0・5(2分の1)と定めるのが相当である」と判断しました。

その後の札幌高決平成19年6月26日も、「婚姻期間中の保険料納付や掛金の払い込みに対する寄与の程度は、特段の事情がない限り夫婦同等とみ、年金分割についての請求割合を0・5(2分の1)と定めるのが相当である」と判断した上、婚姻期間中に14年間の別居期間があるという事情は、保険料納付や掛金の払い込みに対する特別の寄与とは関連性がないから、原則通り0・5が相当であるとしました。

それでは、財産分与の内容が、裁判例にいうところの「特別な事情」といえるでしょうか。つまり、財産分与の内容も考慮しながら年金分割の割合を定めるべきかが問題となります。

しかしながら、離婚時年金分割は、社会保障法上の制度として、財産分与とは独立の制度とされていますから、安易に一体処理をすべきではなく、むしろ別個に検討すべきであると指摘されています(高畠淳子「年金分割-女性と年金をめぐる問題の一側面」(ジュリスト1282号74頁))。

裁判例においても、財産分与の内容によって年金分割の割合を定める考えを示したものはありません。

従いまして、基本的には、財産分与の内容いかんにかかわらず、按分割合2分の1の年金分割を求めることが大半になると思われます。

Q退職金も財産分与の対象になりますか?

A退職金も財産分与の対象になります。結婚した時期から婚姻関係が破綻した時期までの割合なども争点になります。

私の経験した事案では、30年以上連れ添った夫婦において、裁判所が妻の持ち分として4割(総額1000万円のうち400万円)について財産分与の対象に認めたケースがあります。

Q子に会いたいのですが、面会交流は認められますか?

A離婚しても子への面会交流は求めることができます。面会の方法・頻度など細かい条件は子の福祉を第一に考えて決めていく必要があります。

Q離婚後、面接交渉の回数や拒否などは?

夫と離婚することになりましたが、夫が未成年の子どもとの面接交渉を求めています。一般的な回数や、そもそも面接交渉権を拒絶できる場合はあるのでしょうか?

A調停や審判で定められる面接交渉の回数は、月1回程度が多く見受けられます。また、離婚した相手の態度や子どもの意向からそもそも面接交渉を拒否できることもあります。

離婚の増加傾向に伴い、子どもとの面接交渉を求める事件が増えています。例えば、平成12年の調停数2406件、審判322件が、平成18年には、調停7531件、審判1401件になっています。
民法や家事審判法には、離婚後の親子間の面接交流について定めた規定がないため、面接交渉の回数や拒否できるケースは、審判例を分析していくほかありません。

調停や審判で定める面接交渉の回数は、月1回とするものが多いといえるでしょう。ただし、遠隔地や外国在住の場合には、夏休み等の長期休暇を利用しての面接交渉を認める審判例もあります。

また、子どもが面接に消極的だったり、生活状況が不安定な場合には、月1回より長い間隔をあける面接回数になることもあります。

一方で、相手方が過度の飲酒による暴力をしていたケース、犯罪行為をしていたケース、子どもの連れ去りをしたケース、DVを行っていたケースなどは、面会自体を認めなかった審判例もあります。

なお、離婚における感情的なもつれから「子どもを二度と会わせたくない」という希望を言われる方も少なくありません。しかし、離婚した夫婦間に感情的なしこり、心理的な葛藤がある場合が大半ですから、そのお気持ちだけで面接交渉を拒否することは、裁判でも認められません。

面接交渉は、あくまで子どもの成長、子どもの福祉の観点から認められるものだからです。様々な工夫をしつつ面接交渉を認めていかざるを得ないと思われます(例えば、面接交渉の際に、第3者の立ち会いを認めた審判例もあります)。

Q離婚後、養育費の額は

離婚することになりましたが、養育費の額が合意できません。養育費の目安はあるのでしょうか?

A養育費は、算定表がありますから、大体の平均的な目安が分かります。

養育費は、「子の監護に必要な事項」(民法766条1項)として、裁判所が、非監護親(子どもの面倒を見ていない親)から監護親(子どもの面倒を見ている親)に、支払いを命じる未成熟子の養育に要する費用です。

裁判所が、諸事情を総合考慮して裁量によって養育費を定めることになります。

平成15年、養育費の算定表が発表されました。この算定表は、東京や大阪の裁判官から構成される研究会が発表したもの(判例タイムズ1111号285頁)ですが、ほぼ全国の家庭裁判所が、この算定表を目安にして養育費を算出しています。

極めて過大な、もしくは、極めて低い養育費を当事者間に定めてしまい、困って法律相談される方も少なくありません。当事者間で話し合うときもこの算定表で標準額を知った上で、話し合うべきでしょう。

Q養育費の減額や増額は可能?

養育費を減額してもらいたいのですが可能でしょうか、また増額も可能でしょうか?

離婚して養育費を月10万支払っています。将来的に養育費の額を減額することはできるのでしょうか。また、相手から逆に増額を求められたらどうすればよいのでしょうか。

A当事者間のれば、合意があれば、もちろん減額も増額もできます。相手が合意しない場合は、養育費減額ないし増額の調停を申し立てることになるでしょう。

民法880条は、「扶養をすべき者若しくは扶養を受けるべき者の順序又は扶養の程度若しくは方法について協議又は審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その協議又は審判の変更又は取消をすることができる。」と定めています。

つまり、「事情変更」がある場合は、家庭裁判所が変更することができるわけです。

そして、「事情変更」とは、一般に、養育費を支払う側が、失業・病気や事故により長期入院した場合、再婚して新たに子供が生まれた場合などが指摘されています。

そして、「変更」とは、養育費を減額する場合もあれば、増額する場合もあります。

この点、東京家庭裁判所が、「協議離婚の際に公正証書によって合意した養育費の減額を求めた事案(平成16年4月から養育費を支払開始。

平成17年に申し立てて17年3月分から変更)」で、養育費の額(月14万円)が、いわゆる標準的算定表により算定される養育費の2倍以上の額であり、父の収入(手取り35万円)からみて、これを支払続けることが相当に困難であったこと、公正証書作成の経緯等の諸事情を考慮すると、双方の生活を公平に維持していくためにも、養育費の月額を減額変更することが必要とされるだけの事情変更がある」と判断しています(家庭裁判月報59巻1号90頁以下)。

Q養育費と婚姻費用の違いは?

A婚姻費用とは、婚姻生活を営むにあたり必要な生活費のことを言います。
ですから養育費とは別に請求することも可能ですが、ケースによっては養育費・婚姻費用合わせて○円と定めることもあります。

相手方の収入・これまでの生活費等を勘案して決定していくことになります。

Q離婚したいが性格の不一致で離婚できる?

結婚して20年になる50歳の主婦です。子どもは2人です。夫への愛情が冷めてしまいました。性格の不一致を理由に離婚したいのですが、応じてくれません。A弁護士に法律相談すると「離婚できる」と言われましたが、B弁護士からは「難しいのではないか」と言われて法的手続きに踏み切るか迷っています。どうして弁護士によって回答が違うのかも不思議です。

A裁判上の離婚原因は5つです。
あなたの場合、「婚姻を継続し難い重大な事由」があるかが問題になります。

民法770条1項は、裁判上の離婚原因として、

  1. 不貞行為
  2. 悪意の遺棄
  3. 3年以上の生死不明
  4. 強度の精神病
  5. 婚姻を継続し難い重大な事由

の5つをあげています。

あなたの言われている「性格の不一致」は、5項の「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたるかが問題となります。抽象的に「性格が合いません」というだけでは、裁判所が、この重大な事由があると認めてくれることはほとんどないでしょう。

具体的にどのような点が合わないのか、そのエピソードはどのようなものがあるのか、それが継続して積み重なっているのか、合わない点を解消しようとした努力を行ったのか、それに対する相手の行動はどうなのか等を総合考慮して、最終的には、裁判所が判断することになります。

逆に、弁護士側からすると、「相談者が述べる事実(エピソード)だけで裁判所を説得できるのか」、という視点から判断するため、回答が分かれることもあるわけです。

もっとも、あまりよく考えずに自信満々に「大丈夫ですよ」と回答する弁護士もいるかもしれませんから、その弁護士に任せておけば大丈夫ということにはなりません。

むしろあなたの場合、2人の弁護士の意見が分かれたわけですから、判断が微妙なケースという認識で、今後、どうしていくかをお決めになったほうがよろしいでしょうね。

なお、離婚の手続きは、調停前置主義といって、まず「裁判」ではなく「調停」を申し立てないといけません。「調停」は、調停委員2名と裁判官が、間に入って話をしてくれる手続きです。ご主人も迷っており離婚に合意する可能性もあれば、調停手続きにふみきってご主人の対応を見るということもあるでしょう(調停が不調になった場合に、裁判までおこすか、そこでご判断になればよろしいわけです)。

性格の不一致を原因に離婚を認めた裁判例は、東京高裁昭和54年6月21日判決(判例時報937号39頁)、横浜地裁昭和59年7月30日判決(判例時報1141号114頁)、東京地裁昭和59年10月17日判決(判例時報1154号107頁)などがあります。

Q夫が長年不倫していましたが離婚できますか?

A原則としてできません。婚姻破綻の原因がある配偶者は有責配偶者といい、有責配偶者からの離婚請求は認められないのです。

しかし、別居期間が長期間にわたること、未成熟の子(高校卒業していない子)がいないこと、相手方が精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状態に置かれていないことを条件に有責配偶者からの離婚請求が認められることがあります。

私の経験した事案では、夫が別居して女性と同居しており、基本的には認められないケースでしたが、妻の居住する住宅の所有権を移転し、慰謝料も支払うことで離婚できたケースがあります。

Q離婚の手続きは?

Aまず離婚協議をして話が付けば協議離婚が可能です。
話し合いが付かない場合には家庭裁判所に調停を申したてることになります。
調停も不調に終わった場合には裁判を起こすことになるのです。

Q相手方に現住所を知らせずに離婚調停申立をできますか?

A可能です。例えば、相手方に暴力の傾向があるとか、子を連れ去る危険があるとかいう場合には、相手方に現住所を秘しておく必要があります。そのような場合には、申立書には現住所を書かずに、同居していた時の住所や実家の住所を記載する方法を取ります。同様に委任状にも現住所を記載せずに、前述の住所を記載しておく方法があります。

ただこのような仮の記載をした場合には、裁判所との連絡のために、「連絡先等届出書」に実際に連絡が取れる住所を記載して届けることになります。

代理人弁護士に依頼している場合には、代理人弁護士が裁判所との一切の連絡を取りますので、「連絡先等届出書」を提出する必要はありません。

なお離婚調停申立ではなく養育費請求の調停申立などにおいても、同様の方法で現住所を申立書や委任状に記載せずに調停申立することが可能です。

Q夫から離婚を求められましたが別れたくありません。私から何か法的手続きが取れますか?

A夫婦関係がぎくしゃくして当事者間で話し合いが出来ない場合、円満な夫婦関係を回復するための話合いを求めて、家庭裁判所の調停手続を申したてることも可能です。

夫婦関係調整調停といいます。調停の中では、当事者双方から事情を聞き取った上、原因は何か、どのようにすれば夫婦関係が改善していくか等を助言してくれます。ただし配偶者の離婚の意思が頑なな場合に強制力はありませんので限界はあります。

Qある弁護士に相談したら調停は自分で行くように言われましたが?

A離婚事件で弁護士をつけるメリットは、法的なアドバイスをもらえること、相手方との交渉を全て任せて感情的にならずに済むこと、調停など緊張する場面に弁護士が同行してくれることなどがあります。

調停には同行しない弁護士もいるようですが、古賀克重法律事務所ではもちろん弁護士が調停にも同行して一緒に事件処理を進めています。

Q夫が家を出て行き行方不明になりました。それでも離婚できますか?

A夫が行方不明でも裁判を起こして離婚判決を得ることができます。

私の経験した事案は、夫がアパートに住んでいることは分かったのですが、電話・文書・裁判所の連絡にも応答しないケースがありました。

結局、夫が出頭しないまま、依頼者である妻への簡単な尋問を行って離婚が認められました。

Q調停や裁判には自分も出頭する必要がありますか?

A弁護士に依頼した場合には必ずしも出頭する必要はありません。事前に十分に打ち合わせた上、弁護士にて主張を伝えていくことも可能です。

Q家庭裁判所の調停委員に弁護士は不要と言われましたが本当ですか?

A最近多いのは、不本意な調停が成立してしまった後、「この条件を変更できませんか?」というものです。

家庭裁判所の調停委員は法律家とは限りません。弁護士がつくと要求水準が上がるため、なかなか弁護士をつけようとしないため問題になっています。

調停委員の進め方に疑問を持ったり、強引で困るという場合には弁護士にアドバイスを受けることをお勧めします。

Q裁判の和解通りに支払いがない場合どうすれば良いのですか?

A和解や判決に従って強制執行することが可能です。具体的には給与、土地・建物不動産、家財道具・自動車、預貯金などです。

Q強制執行以外に家庭裁判所が手助けしたりしてくれないのですか?

A履行勧告という制度があります。家庭裁判所に対して履行勧告の申出をすると、家庭裁判所が相手方に取決めを守るように説得してくれます。

履行勧告の手続に費用はかかりませんが、義務者が勧告に応じない場合は支払を強制することはできないため、やはり強制執行が必要な場合も出てきます。

Q離婚した後も氏を変えない方法はありますか?

A離婚してから3月以内に届け出をすることによって、離婚後も、結婚した時の氏を使うことが可能です。

Q調停離婚が成立した場合、さらに離婚の手続きは必要ですか?

A調停が成立した時点で離婚は成立します。しかし直ちに戸籍には反映されませんので、別途、戸籍の届けが必要です(戸籍法77条・63条)。

調停離婚が成立した日から10日以内に市区町村役場に届け出をする必要があります。

原則として、離婚調停申立人が届け出をする必要がありますが(戸籍法77条・63条)、氏の問題があるため、妻が届け出をすることが多いでしょう。

届け出する者が離婚届けに必要事項を記載して、調停調書とともに役場に届け出ます。調停調書には慰謝料・財産分与などプライバシーにかかる事項も記載されていることが多いでしょう。その場合、調停調書とは別に省略調書を取って提出すれば足ります。

なお本籍地以外の役場に届け出る時には登記簿謄本も必要になります。

男女関係トラブル・不倫Q&A

Q夫が会社の同僚と不倫していました。同僚相手に慰謝料請求できますか?

Aはい可能です。不法行為に基づく損害賠償請求が可能と考えられています。

Q不倫の慰謝料の相場はありますか?

A裁判では100万円から150万円が認められることが多いようです。

私の経験した事案では、90万円、100万円、125万円、150万円、330万円というケースがあります。

330万円は実績でもご紹介しましたが少々複雑かつ特異なケースですのでご注意下さい。

Q夫が不倫を認めませんが何が証拠になりますか?

A配偶者や相手方が不倫を認めない場合には、不倫の事実を証明する必要があります。

ラブホテルの回数券、写真、動画、手紙など客観的に残された資料が立証のポイントになるでしょう。

Q不倫をしていたら相手の配偶者の弁護士から500万円を1週間以内に支払え言われましたが従う必要ありますか?

A弁護士が内容証明郵便で要求する条件・期限は一方的なものですから必ずしも従う必要はありません。

ただし放置しているといきなり訴訟を起こされたりして、かえって負担が発生しますので法律相談されることをお勧めします。

Q不倫をしていたら相手の夫から慰謝料請求を受けました。ただ相手の夫婦は離婚していません。慰謝料額に影響しますか?

A影響します。相手夫婦の婚姻関係が破綻し、離婚していれば、それだけ慰謝料額は高くなります。
ただ請求する側は、余り関係なく定額(100万、150万、200万)を請求してくることがありますので注意が必要です。

Q5年前職場の同僚と不倫していました。最近になって相手の妻から慰謝料請求を受けました。時効はないですか?

A3年前までに不貞を終えており、かつ、相手の妻が当時から不倫の事実を知っていれば、消滅時効で請求権は消滅します。よって支払に応じなくて良いことになります。

民法724条は、「損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する」と定めているからです。

ただし「不貞を終えた時期」、「知った時期」、その後の「離婚の時期」などが絡み合い、複数の法律論文も出ているほどです。弁護士に事前に相談の上、慎重に主張を組み立てる必要があります。

Q不貞相手の妻から慰謝料請求を受けました。ですが相手は離婚して配偶者に慰謝料を支払い済みのようです。影響しますか?

Aあなたと不貞相手は共同不法行為者として、相手の妻に対して損害賠償義務を負担します。ですから、相手が妻に慰謝料を支払えば、あなたの義務にも効力が及びます。

ただし難しいのは、相手の妻に対する慰謝料は、不貞のみだけでなく、様々な夫婦関係(暴力・暴言、家庭をかえりみない、生活費を入れない等)による部分もあるでしょう。

あくまであなたの支払義務に影響するのは、「不貞に基づく支払」部分だけ。その特定が難しく争いになることも多いですから、弁護士に相談して組み立てる必要があります。

Q夫の帰宅が遅いなど怪しいため興信所を利用して不倫の事実を突き止めました。興信所の費用も請求できますか?

A興信所の費用はとても高額で、弁護士費用を大きく上回ることが多いのが実情です。この点、不法行為に基づく損害賠償の損害は、不法行為と因果関係のある範囲に限られます。

極めて高額であり調査内容に問題があることもあるため、興信所費用全部が損害として認められることは少ないでしょう。

示談交渉段階では否認されることが多いですし、裁判でも認められるとは限りません(裁判例は分かれており、252万円のうち100万を損害として認めたケース、逆に、「全額について必ずしも支出せざるを得なかった費用とはいえない」として損害として認めなかったケースがあります)。

Q内縁関係を解消しましたが慰謝料請求できますか?

3年ほど男性と同居しましたが、籍は入れませんでしたが、夫婦同然の生活でした。男性の浮気が原因で同居生活を解消したのですが、慰謝料請求はできますか。

A単なる同居生活を超えて、「内縁関係」にある場合には、慰謝料請求が可能なケースもあります。

ただし、「内縁関係」というためには、当事者に婚姻の意思があること、社会生活上、夫婦と同然の生活を送っており、ただ籍を入れていないだけの関係である必要があります。

Q内縁関係を解消する時にも調停を利用できませんか?

A利用可能です。内縁関係の解消について当事者間における話合いがまとまらない場合に、家庭裁判所の調停手続を利用することができます。

内縁関係調整調停といいます。調停の中では、内縁関係の解消にくわえて、財産分与や慰謝料についても協議対象になります。

あくまで調停ですので強制力はなく、相手方が出頭しない場合や応じない場合には裁判が必要な場合も出てきます。

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