古賀克重法律事務所ブログ

福岡県弁護士会所属弁護士 古賀克重(こが かつしげ)の活動ブログです。

交通事故判例弁護士・司法法律相談

ラブスタ法律相談所【第21回】 多発!自転車による事故

福岡のFMラジオ局「LOVE FM」の、人気番組「TENJIN UNITED」。その番組内に毎月第2・第4火曜日の12:20頃~「ラブスタ法律相談所」という、弁護士が様々な悩みに回答するコーナーがあります。

弁護士古賀克重が生出演して、よくある相談について回答しています。【第1回】【第2回】【第3回】【第5回】【第7回】【第9回】【第12回】【第13回】【第15回】【第18回】 はこちら。

TENJIN UNITEDのブログでも紹介頂いていますので、以下転載します。

ラブスタ法律相談所 古賀克重弁護士

 

今回はご質問の多い交通事故の中でも「自転車による事故」を取り上げてみたいと思います。

交通事故ということ車をイメージしますが… 実は、自転車関連事故が増えています。福岡県でいいますと、今年6月末まで2472件も発生しています。全交通事故の割合でいいますと、実に13・7%が自転車関連事故です。
自転車に乗っていて事故に合い死亡した方も9名。昨年より4名も増えているんですよ。

Q.この数字にビックリしました!思ったより多いですね!
死亡した方というのは、自転車に乗っていた方ですか?それとも歩行者なのでしょうか?

A.今年半年の死亡者9名は自転車に乗っていた方です。ただご指摘のように、自転車に衝突されて死亡した歩行者も増えていて社会問題になっています。

Q.そうなんですね~。自転車に乗っていて怪我をさせてしまった場合も、車を運転していた場合と同じく責任を負うのでしょうか?

A.はい、全く同じです。民法709条の不法行為責任によって賠償責任を負います。「故意又は過失で他人に損害を与えた者は、発生した損害を賠償しなければならない」という法律です。交通事故だけでなく、医療過誤、場合によっては喧嘩した場合であっても適用される法律です。

Q.実際に自転車が加害者になった裁判例もあるんでしょうか?

A.はい。裁判例をいくつかご紹介しましょう。
男性が夕方、ペットボトルを片手に下り坂をスピードを落とさず走行して交差点に進入して、横断歩道を横断中の38歳の女性と衝突した事案です。女性は脳挫傷によって3日後に死亡してしまいました。裁判所は加害者に6779万円の賠償を命じました。

Q.車を運転して加害者になる場合と全く同じということですね。でも自転車ということ学生さんが乗っていることが多いと思いますが、加害者が学生でも同じ責任を負うのでしょうか?

A.はい、その通りです。例えば、11歳の男子小学生が夜、自転車、マウンテンバイクで帰宅中、歩道と車道の区別のない道路で、62歳の歩行中の女性と正面衝突しました。女性は頭蓋骨骨折の障害を負って意識が戻らない状態になってしまったケースです。裁判所は、9521万円の支払いを命じました。

Q.え~!!!小学生に9500万円ですか!とても支払えないですよね!どのような対応すればいいんですか?

A.実はこの判決は、母親の指導や注意が功を奏していないとして母親自体の責任を認めて母親に支払を命じました。仮に両親の監督責任が問えない場合であっても、親権者である両親が事実上負担することもあるでしょう。判決は10年有効ですから、小学生が成人して就職してから請求されることもありえます。

Q.ちなみに、車は強制保険で自賠責保険に加入しますし、さらに任意保険にも加入しますよね?!自転車に保険ってあるんですか?

A.良いご質問ですね!自転車には強制保険の自賠責保険がありません。ですから、任意保険会社の個人賠償責任保険に加入している場合には保険で処理できることもあります。

Q.自転車といっても被害者だけでなく、加害者になるってことを良く意識しておく必要がありますよね?

A.はい、自転車の事故の被害者は、女性や高齢者が多くなっていますし、傷害部位としても頭部が多いという統計があります。つまり死亡や重傷になりかねないということです。またそこまでいかない軽微事故でも、感情的にトラブルになるケースも見受けられ、弁護士に対する相談も少なくない類型になっています。

とっても身近な乗り物である「自転車」。 ルールを守って、安全運転を心掛けたいですね!
今日もとても勉強になりました! 古賀弁護士、ありがとうございます!

ラブスタ法律相談所 古賀克重弁護士

 

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投稿者プロフィール

弁護士 古賀克重
弁護士 古賀克重弁護士
弁護士古賀克重です。1995年に弁護士登録以来、患者側として医療過誤を取り扱っています。薬害C型肝炎訴訟の弁護団事務局長として2008年の全面解決を勝ち取りました。交通事故も幅広く手掛けており、取扱った裁判が多数の判例集で紹介されています。ブログではその主たる取扱い分野である医療過誤・交通事故について、有益な情報を提供しています。

弁護士 古賀克重

弁護士古賀克重です。1995年に弁護士登録以来、患者側として医療過誤を取り扱っています。薬害C型肝炎訴訟の弁護団事務局長として2008年の全面解決を勝ち取りました。交通事故も幅広く手掛けており、取扱った裁判が多数の判例集で紹介されています。ブログではその主たる取扱い分野である医療過誤・交通事故について、有益な情報を提供しています。