ラブスタ法律相談所【第18回】 交通事故の損害って?
福岡のFMラジオ局「LOVE FM」の、人気番組「TENJIN UNITED」。その番組内に毎月第2・第4火曜日の12:20頃~「ラブスタ法律相談所」という、弁護士が様々な悩みに回答するコーナーがあります。
弁護士古賀克重が生出演して、よくある相談について回答しています。【第1回】【第2回】【第3回】【第5回】【第7回】【第9回】【第12回】【第13回】【第15回】 はこちら。
TENJIN UNITEDのブログでも紹介頂いていますので、以下転載します。
本日のトピックスは、交通事故の「後遺障害(こういしょうがい)」についてです。
Q.交通事故の「後遺障害」とは、具体的にどのようなものなのですか?
A.言葉として良く耳にする割にはあまりわからない、という方多いかと思います。交通事故で人身被害にあうと病院で治療しますね。一定期間治療を継続した後、これ以上治療しても、症状が改善せずに永久に残ってしまう障害を、一般的に後遺障害と呼んでいます。
Q.交通事故でよく「むち打ち」になったと聞きます。むち打ちは、すべて後遺障害といえるんですか?
A.いえ、そうではありません。交通事故の被害に合ってしまうと、むち打ちも含めて何らかの体の不調がずっと残ることもあります。ですが、そのすべてが交通事故で賠償の対象となる後遺障害とはいえないのです。
Q.後遺障害はどうやって決まるんですか?
A.ドライバーは法律で強制的に自賠責保険に加入させられています。この自賠責保険が1級から14級まで14段階にランク分けした後遺障害を決めており、これに当てはまるかで決まります。
例えば1級は、いわゆる植物人間状態になって全介護が必要な状態、両目を失明したような状態などです。
Q.むち打ちはどうなるのですか?
A.長期間継続的に通院しており、症状も一貫している場合には「局部に神経症状を残すもの」として14級程度に認定されることもありますが、そもそも後遺障害として認められないこともあります。このようにケースバイケースになります。交通事故の場合は自賠責保険に後遺障害診断書など必要書類を添えて提出すると、判断されることになります。
Q.「後遺障害」と認定されると、どのような損害を請求できるのですか。
A.大きく2つあります。後遺障害の程度に応じた「慰謝料」と「逸失利益」です。後遺症慰謝料は、例えば1級2800万円、7級1000万、10級550万円、14級110万円と目安が決まっています。ただし交通事故の示談交渉では、保険会社からこの金額の7~8割程度しか呈示されないことも多いです。先ほどの金額は、裁判した時に裁判所が認定する基準になります。
Q.交通事故の被害金額って違うんですか!!すべて同じで、マニュアルみたいに決まっているかと思っていました。
A.私たちは良く言うのですが、交通事故の損害額は3段階に分かれていると説明します。自賠責保険の最低基準、任意保険会社の基準、そして裁判基準です。事案によってはすぐに裁判した方が損害額が高くなることもありますし、争点が多い場合などは、裁判した方が有利とはいえず、示談交渉の方が柔軟に解決できることもあります。このあたりの判断で迷っている方は、一度専門家である弁護士に法律相談することをお勧めします。
Q.次に「後遺症の逸失利益」とはどのようなものですか?
A.後遺障害がなければ得られていた利益になります。例えば1級障害の場合、将来仕事ができませんね。そうすると将来にわたって得られていたであろう給料を請求できるということになるのです。
Q.仕事をしている人は、給料がはっきりしているので請求しやすいですけど、小さな子どもの場合は、どうなりますか?将来大学を卒業して一流企業に入社するかもしれないし、企業家になるかもしれない。逆に無職という可能性もあるかもしれませんよね!
A.確かに子どもさんの将来は不確定要素が大きくて、確実には分かりません。この場合、労働者の平均賃金を利用します。具体的には厚生労働省が「賃金センサス」という日本の労働者の平均賃金を毎年発表しています。子どもさんの場合、「全労働者の全年齢平均の賃金」を利用することが多いです。さらに大学に進学することが見込まれていた高校生、もしくは大学生の場合、「大卒の全年齢平均賃金」を利用します。先ほどの「全労働者の平均賃金」よりも高くなっています。
Q.日本の国籍ではなくて、外国の国籍の方が日本で交通事故にあうケースもありますよね。この場合はどうなりますか?
A.在留資格の有無で異なります。永住資格がある方、在留資格の更新が確実に認められる方の場合は、今日お話しした内容と同じ、つまり日本人と同じに考えます。一方、在留資格の更新が確実でなかったり、本国に帰国する予定だった場合は、逸失利益も、本国の平均年収で計算することになります。交通事故の損害賠償の基本的な考え方は、なるべく被害者の生活実態に照らして、被害を救済しようというものといえます。
Q.色々と難しい問題があるんですね。弁護士に相談する時の注意点はありますか?
A.交通事故を取り扱わない弁護士はほとんどいないと思われる反面、取扱経験などには差があるのが実態ですので、きちんと交通事故の研鑽を積んでいる弁護士に依頼する必要がありますよ。
なるほど!!勉強になりました!!
古賀弁護士、今日もありがとうございました。
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