古賀克重法律事務所ブログ

福岡県弁護士会所属弁護士 古賀克重(こが かつしげ)の活動ブログです。

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C型肝炎治療薬「ハーボニー」の偽造品、販売許可ない個人から流通か

C型慢性肝炎の治療薬「ハーボニー」の偽造品が流通していた問題。

・「C型慢性肝炎の治療薬ハーボニーの偽造品が奈良の薬局で発見」(2017/1/17)

厚生労働省は1月23日、東京都が新たに9ボトルの偽造品を発見して確保したことを公表しました。

また偽造品を患者に渡していた株式会社関西メディコも同日、見解を発表しました。

「弊社はスズケン以外に、医薬品卸売販売業4社よりハーボニーを購入しておりました。すべて医薬品医療機器等法はじめ関係法規に抵触する事のない取引(です)」

「一部業界紙に「違法な取引」、「ギリアド社より告訴」とも取れる表現がなされたことは非常に遺憾ですが、前述のとおりそのような事実がないことはお約束する次第です」

一方、奈良県薬務課の調査によると、関西メディコは、ギリアド・サイエンシズ株式会社から直接卸している株式会社スズケンだけでなく、それ以外のルートから仕入れてる県外卸4社(東京都2社、大阪府2社)からハーボニーを購入していたということです。

つまり正規ルートであるスズケンから100本仕入れていましたが、他の4卸業者からも37本仕入れており、うち5本に偽造品が見つかったものです。

偽造ハーボニーは、箱詰めでなく添付文書も添付されていなかったことが判明しています。
さらに卸業者の一部は、卸売販売業の許可を持たない個人から購入して流通させていました。

医薬品医療機器法(旧薬事法)は、52条において、医薬品は、添付文書等に最新の論文その他により得られた知見に基づき記載事項を求めるとともに、同条に触れる医薬品の販売を禁止しています(55条)ので、今回の取引は、医薬品医療機器法違反の恐れもあります。

また、模造医薬品を販売することは、当然ですが、医薬品医療機器法でも禁止されています(55条)。
模造医薬品の販売者が罰せられることになりますが、医薬品を購入するにあたっても、可能な限り模造品や不正表示医薬品でないことを確認することが求められています(「Q&A薬局・薬剤師の責任」329頁など)。

従って、今回の問題は、卸売販売業の許可を持たずに模造品を販売した個人だけでなく、それぞれ漫然と購入してしまった会社の体制も問われるものであり、再発防止の取組が欠かせません。

投稿者プロフィール

弁護士 古賀克重
弁護士 古賀克重弁護士
弁護士古賀克重です。1995年に弁護士登録以来、患者側として医療過誤を取り扱っています。薬害C型肝炎訴訟の弁護団事務局長として2008年の全面解決を勝ち取りました。交通事故も幅広く手掛けており、取扱った裁判が多数の判例集で紹介されています。ブログではその主たる取扱い分野である医療過誤・交通事故について、有益な情報を提供しています。

弁護士 古賀克重

弁護士古賀克重です。1995年に弁護士登録以来、患者側として医療過誤を取り扱っています。薬害C型肝炎訴訟の弁護団事務局長として2008年の全面解決を勝ち取りました。交通事故も幅広く手掛けており、取扱った裁判が多数の判例集で紹介されています。ブログではその主たる取扱い分野である医療過誤・交通事故について、有益な情報を提供しています。