C型慢性肝炎の治療薬ハーボニーの偽造品が奈良の薬局で発見、厚労省が注意を呼びかけ
厚生労働省が1月17日、C型慢性肝炎治療薬の「ハーボニー」の偽造品が奈良県内の薬局チェーンで発見されたと発表しました。
ハーボニー配合錠(一般名:ソホスブビル・レジパスビル配合剤)は2015年9月からギリアド・サイエンシズ株式会社が製造販売しているもの。
日本人患者に一番多いジェノタイプ1型のC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変の治療薬です。
いわゆる従来の主流であったインターフェロンを利用しないインターフェロンフリー療法。
日本の治験段階で100%の治癒率に達するなど、C型肝炎の治療を変える画期的な新薬として導入されました。
・「C型慢性肝炎の新経口薬「ハーボニー」がついに承認販売、治験段階では318名が100%治癒」(2015/7/6)
一方で画期的な新薬であるため薬価も高く、1錠5万5000円になっています(1日1錠・12週間内服)。
そのためハーボニーの売上高は、1101億円(2015年10月から12月)、1517億円(2016年1月から3月)、698億円(2016年4月から6月)に達していました。
今回のケースは、奈良県の薬局でハーボニーの処方を受けた患者が、たまたま以前処方された錠剤と色が異なることに気がついて発覚したもの。
この薬局チェーンの3カ所から合計5個の偽造品が確認されました。うち4個は正規ボトルが不正利用され、1個は類似した偽造ラベルが貼られていました。そしてボトルの中には色・形状の異なる錠剤が入っていました。
今回の事案は薬局チェーン店が、ギリアドの正規取引先以外の経路から購入して調剤していたものですから、薬局チェーンの責任も少なくありません。
ギリアド・サイエンシズは、偽造品の見分け方を指摘しています。
ハーボニー配合錠を現在服用されている患者様にご確認頂きたいこと
医療機関や薬局でハーボニー配合錠を受け取られた時点で、ボトルの中にお薬が 28 錠封入されていたか、その錠剤の形状が、ひし形で、錠剤の表面には「GSI」、その反対側には「7985」の刻印があり、色がだいだい色であることをご確認ください。
ご自身でボトルを開封された場合には、ボトル口部にアルミシールがされていたかご確認ください。また、指では容易に剥がせなかったことをご確認ください。
ただ今後は別の偽造品が出回る可能性もありますので、今回のように患者が発見することは困難というべきでしょう。処方する薬局が正規ルートで購入するほか、処方の際にも十分に確認していく必要があります。
一般的に薬局は薬品問屋から薬を購入しますが、時々インターネットで高い値引率で商品を販売する現金問屋があります。そのような所に飛びつくと偽造品が紛れ込む可能性がなくはありません。
今回のケースは奈良県内の薬局チェーンがどのようなルートで購入していたかまだ分かりませんが、詳細な経緯を公表して再発防止に努める必要がありそうです。
厚生労働省も1月17日付けで「医薬品の適正な流通の確保に関する通知」を発出して緊急に注意を呼びかけています。
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