ERCP後膵炎ガイドライン2015がマインズで公開
ERCP後膵炎ガイドライン2015が11月8日、Minds(マインズ)で公開されました。
厚生労働省難治性膵疾患調査研究班・日本膵臓学会が編集したものです。
既に急性膵炎診療ガイドライン2015(第4版)が発行されており、ERCP後膵炎についても、第Ⅷ章「消化器内視鏡関連手技後の膵炎」としてまとめられていました。
今回のガイドラインは専門医を対象にして、ERCP後膵炎に限定してまとめたもの。
臨床課題を1から10まで挙げて詳細に検討が加えられています。
例えば臨床課題4「ERCP後膵炎の危険因子」では、「女性・膵炎の既往はERCP後膵炎の患者側危険因子として十分注意すべきである」(推奨度2・エビデンスB)と指摘されています。
また臨床課題5「ERCPのインフォームドコンセントでは、「ERCP後膵炎の重症化による死亡について、事前に説明することは必須である」(推奨度1、エビデンスC)とされています。
そして「本邦の報告では判例データベースからの検索で ERCP 関連の訴訟は9件あり(昭和60年~平成19年)、そのうち6例が重症膵炎を併発して死亡したもので、4例は医療者側の過失と認定され敗訴となった」と指摘しています。
ERCP後膵炎とは、ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)施行後より新たに急性膵炎の臨床徴候を呈し、膵酵素の上昇を伴うものと考えられていますが、統一された診断基準があるわけではありません。
発生頻度は数%。軽症で数日で軽快しますが稀に重篤化することもあります。
医療相談でも少なくないケースですから、医療機関としても十分なインフォームドコンセントが必要と思われます。
裁判例としてはガイドラインが指摘している時期の後にも、ERCP後膵炎発症に対する重症度判定の遅れ等によって患者が死亡したとして損害賠償を求めたケースについて、約2324万円の損害賠償を認めた大阪地裁平成27年2月24日判決などがあります。
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