平成29年度概算要求は過去最大、肝炎対策は職域検査の取組が新たに計上
厚生労働省が8月26日、平成29年度(2017年度)の概算要求を公表しました。
概算要求額は31兆1217億円、2016年度予算から2・7%増えています。内閣府に移管した保育関連予算を合わせると過去最大規模の予算です。待機児童対策では保育所などの受け皿整備として712億円を計上しています。
ちなみに全省庁の概算要求の総額(一般会計)は、101兆4707億円と2016年度の当初予算よりも4・9%増加です。
要求額が最も大きかったのが厚労省ということになります(法務省は7731億円、環境省4212億円、警察庁3333億円、防衛省5兆1685億円など)。
厚労省の平成29年度概算要求のうち肝炎対策は179億円(昨年度・平成28年度予算186億円)。
平成28年度の概算要求222億円よりも減少しています。
目次
▲ 早期発見・早期治療を促進するための環境整備
早期発見・早期治療を促進するための環境整備としては139億円(昨年度予算150億円)が計上されています。
これは、肝炎患者の早期発見・早期治療を促進するため、肝炎に対する正しい知識の普及啓発、肝炎ウイルス検査、肝炎患者への医療費の助成及び医療提供体制の確保等を推進するための項目。
特に、肝炎ウイルス検査で陽性と判定されながら医療機関を受診しない患者が少なからずみられることから、適切な受診して治療してもらうための方策を進めるものです。
この項目の中には、「肝炎ウイルス陽性者のフォローアップによる重症化予防の推進 31億円(昨年度予算18億円)」と「ウイルス性肝炎に係る医療の推進 71億円(昨年度予算104億円)」、「肝疾患診療地域連携体制の強化 6・2億円(昨年度予算6・2億円)」も含まれています。
新規として、「職域検査への取組の推進」(8・7億円)が計上されました。
これは職域における肝炎ウイルス検査の実施の促進のため、検診機関及び事業者等との連携が図られるよう、都道府県等に対して必要な支援を行うものです。
▲ 肝炎治療研究などの強化
肝炎治療研究などの強化としては40億円(昨年度予算37億円)が計上されています。
今年度、中間見直しが行われる「肝炎研究 10 カ年戦略」の方向性を踏まえ、B型肝炎の画期的な新規治療薬の開発を目指した創薬研究や肝硬変の病態解明と新規治療法の開発を目指した研究等を推進するものです。
▲ 肝炎対策以外
肝炎対策以外としては、新規として、「化血研事案を踏まえた医薬品等の安全・信頼性の確保」(4・4億円)が計上されています。
化血研事案のような組織的隠蔽による不正行為を発見するため、国内製造所への抜き打ちによる立入検査及び海外製造所への立入検査が効果的に実施できるように、GMP査察体制の抜本的強化を図るものです。
またハンセン病対策の推進として375億円(昨年度予算362億円)が計上されました。
これは偏見・差別の解消に向けて、ハンセン病問題に関する正しい知識の一層の普及啓発等を進めるため、国立ハンセン病資料館等の学芸員を増員するとともに、収蔵庫を新たに整備し、資料館活動の充実を図ることも含まれています。