与薬時の患者取り違えが6例、医療安全情報116号
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与薬時の患者取り違え
公益財団法人日本医療機能評価機構が、「医療安全情報」116号・2016年7月号を公表しました。
今回は与薬時、患者氏名の確認が不十分であったため、患者を取り違えた事例が6例報告されています。
第42回報告書の「個別のテーマの検討状況」でも取り上げられた内容になります。
1つ目の事例
1つ目の事例は、患者Bの氏名が記載してある薬を持った看護師が、患者Aを患者Bと思い込みました。
そして患者Bの薬を見せながら「Bさんですね」とフルネームで声をかけました。患者Aが「はい」と返答したため、患者Bのフロセミド錠40mg1錠を内服させてしまったというものです。
看護師はその直後、患者Aのネームバンドに記載した名前を見て、間違いに気づいたというものです。
2つ目の事例
2つ目の事例は、看護師が、患者Bに睡眠薬を投与する際、患者Aを患者Bと思い込み、同性で同年代の患者Aの病室に行きました。
看護師は、薬包の患者氏名とネームバンドの照合を行わず、患者Bの薬を患者Aの胃管より投与しました。
その後、患者Aが舌根沈下を起こした際、看護師が患者Aのゴミ箱を見ると患者Bの氏名が記載された空の薬包があり、間違いに気付いたものです。
再発防止のための取り組み
医療機関の再発防止の取り組みとして、与薬時、薬包などの氏名とネームバンドを照合する、そして口頭で患者を確認する際も、患者に氏名を名乗ってもらうことが指摘されています。
医療過誤訴訟でも与薬時だけでなく、手術時の患者取り違えによる深刻な事故が見受けられます。基本中の基本ですが徹底が必要な注意事項となります。
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