医薬品添付文書が20年ぶりに改訂、「原則禁忌」が廃止され「特定の患者集団への投与」欄も新設
医療用医薬品添付文書の記載要領が20年ぶりに改正されることになりました。
案が示されて現在パブリックコメントを募集しています(募集期間は、平成28年5月31日から同年7月15日まで)。
添付文書は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律に規定された使用及び取扱い上の必要な注意を記した文書です。
その記載要領については、平成9年厚生省薬務局通知などにより示されています。
今回の改正は、厚生労働科学研究での提言及びその後の議論を踏まえたもの。例えば、平成23年から25年にかけて実施された「医療用医薬品の使用上の注意のあり方に関する研究」などです。
主な改正内容は以下の通りです。
まず、「原則禁忌」が廃止されて、「禁忌」又はその他の適切な項へ記載することになりました。
前述の厚生科学研究によると、「「原則禁忌」及び「原則併用禁忌」に関しては、医師、薬剤師いずれも必要であるとの意見と必要でないとの意見が拮抗しているため、今後は原則禁忌を設定しないことが妥当であると考えられる」としていますが、意見が拮抗しているから現状を変更するという理屈は良く分からないところがあります。「原則禁忌」というある意味分かりやすい記載をなくして問題ないか、運用に混乱が見られないか、患者サイドとしては注意が必要かもしれません。
また「慎重投与」は廃止されて、「特定の患者集団への投与」などその他の適切な項へ移行することになりました。
この「特定の患者集団への投与」としては、「妊婦」「生殖可能な男女」「授乳婦」「小児等」「高齢者」「腎機能障害患者」「肝機能障害患者」等の項目に分けて記載することになっています。
これは特定の集団が添付文書上散見されていたものについて集約によって注意喚起しやすくするとともに、米国の添付文書と同様に国際標準に準じた添付文書とすることを目指しています。
さらに「副作用」に記載する事項も改訂予定です。
副作用の臨床的意義をわかりやすくするために、発現頻度の高い副作用や投与の継続に影響を及ぼす主な副作用がある場合は、必要に応じて「副作用」の前段に概要として記載することになっています。
以上の新しい添付文書の適用日としては平成31年4月以降が予定されています。
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