古賀克重法律事務所ブログ

福岡県弁護士会所属弁護士 古賀克重(こが かつしげ)の活動ブログです。

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2016年版消費者白書が閣議決定、スマートフォン関連サービスの相談は9万件を突破

◆2016年版消費者白書~地方の取組

2016年版消費者白書が閣議決定されました。

特集は、「地方消費者行政の充実・強化に向けて」として、地方行政の取り組みや消費生活センターの活動について取り上げています。
消費者行政の最前線である地域に着目した特集です。

2016年版消費者白書

具体的な各地方行政の取り組みも8か所紹介。
九州からは、福岡県かすや中南部広域消費生活センターの取り組みを紹介しています(51頁)。

「かすや中南部広域消費生活センター」は福岡県志免町に開設されています。2012年6月に「志免町消費生活相談窓口」として開設しましたが利用は低調でした。
その後、近隣の宇美町が相談窓口を開設し、両町の住民はどちらの町の相談窓口でも相談可能になり、実質週4日の相談体制が確保されました。
このように地域横断的な取組によって少しずつですが相談が増え、1日平均4件、2016年1月までの10か月間の780件の相談実績となったとのこと。

中小規模の自治体が連係することによって消費者の相談を拾い上げる取組として注目できそうです。

◆スマートフォン関連の相談が増加

第3章では例年と同じく、「消費者問題の動向」も取り上げています。
2015年度の消費生活相談の概況としては、前年度より減少したものの高水準で推移しており、情報通信に関する相談件数が突出しています。
未成年者の相談としては、依然としてインターネット利用のトラブルが上位を占めるほか、通信販売の中では「インターネット通販」に関する相談が増加しています

インターネットトラブルとしては、やはりスマートフォン利用でのトラブルが増加しているようです(151頁)。
「スマートフォン関連サービス」に関する相談件数は、何と年間9万件を突破。「スマートフォン関連サービス」とはスマートフォンからアダルト情報サイトや出会い系サイト等のデジタルコンテンツを利用したサービスです。

また、SNSをきっかけに何らかのトラブルに巻き込まれることも増加しています。
例えば、2010年度から2015年度にかけて、30歳代以下の相談は約2倍の増加だったのに対して、40歳代は4倍、50歳代は9倍、60歳代は13倍、70歳以上は23倍と急増しています。
つまり、SNSの普及に伴い、これまで少なかった中高年層にも利用増加に伴い、トラブルが増えていることが分かります。

主な相談としては、「スマートフォンで見ていたSNSからアダルト情報サイトにつながり、会員登録されてしまった」、「SNSに表示された広告をきっかけにダイエットサプリメントを試しに1回注文したら、定期購入になった」、「SNSで副業サイトの広告を見つけて登録したが、報酬を受け取るためにポイント購入が必要と料金を請求された」などが多種多様になっているようです。

◆マイナンバーや電力小売に関する相談も

その他、2015年度に目立ったその他のトラブルとしては、マイナンバー制度に関する相談や電力の小売全面自由化に関連する相談があります。

例えば、「有料サイトの登録料金が未払いになっており、放置すると訴訟履歴がマイナンバーに登録される」として、連絡を求める不審メールが報告されています。

第2部では、「消費者政策の実施の状況」では事故の未然防止のための取組を取り上げています。

◆まつ毛エクステンション

健康に関わる問題としては、「まつ毛エクステンション」による危害の防止も取り上げられていました(211頁)。

2010年度以降の5年間で599件もの相談が寄せられています。まつ毛エクステンションは美容行為であり、施術者には美容師の免許が必要であるにもかかわらず、無免許による施術被害も広がり、警察による検挙件数も増えています。
被害内容としては、「施術に使用した接着剤が原因でアレルギー性粘膜炎になたり、目の痛み・まぶたの腫れが持続しているケースも報告されています。

◆時代を映す鏡としての消費者白書

消費者白書は、消費者基本法10条に基づき国の消費者政策の実施状況を報告するとともに、消費者安全法に基づき、消費者庁の把握した情報の集約・分析を行うもの。

多種多様な報告が豊富な統計資料としてまとめられており示唆に富みますが、消費者問題が社会時勢を映し出す鏡であることをいつもながら感じさせる内容になっています。

投稿者プロフィール

弁護士 古賀克重
弁護士 古賀克重弁護士
弁護士古賀克重です。1995年に弁護士登録以来、患者側として医療過誤を取り扱っています。薬害C型肝炎訴訟の弁護団事務局長として2008年の全面解決を勝ち取りました。交通事故も幅広く手掛けており、取扱った裁判が多数の判例集で紹介されています。ブログではその主たる取扱い分野である医療過誤・交通事故について、有益な情報を提供しています。

弁護士 古賀克重

弁護士古賀克重です。1995年に弁護士登録以来、患者側として医療過誤を取り扱っています。薬害C型肝炎訴訟の弁護団事務局長として2008年の全面解決を勝ち取りました。交通事故も幅広く手掛けており、取扱った裁判が多数の判例集で紹介されています。ブログではその主たる取扱い分野である医療過誤・交通事故について、有益な情報を提供しています。