子宮頸がんワクチンを考えるシンポが開催、学校・医師の理解不足があらわに
シンポジウム「子宮頸がんワクチン問題を考える」(主催:薬害オンブズパースン会議タイアップグループ福岡、共催:九州山口医療問題研究会)が3月5日、福岡市天神ビルにて開催されました。
約120名が参加し、会場の椅子が足りずにきゅうきょビル側から追加貸出を受ける一幕も。また複数の沖縄県職員も来福して参加するなど、関心の高さがうかがえました。
まず前半は基調講演「子宮頸がんワクチン問題の現状~過去の薬害の経験をふまえてどう考えるか~」が行われました。
隈本邦彦氏はNHK報道局を経て、現在江戸川大学メディアコミュニケーション学部教授として活躍されています。
隈本氏は過去のMMRワクチンの被害や薬害スモン事件から紐解きつつ、HPVワクチンの仕組み・副反応を巡る問題点をわかりやすく解説しました。
第2部はパネリストによるシンポジウム。九州山口医療問題研究会の小林洋二弁護士の司会で、隈本氏とともに、実際にワクチン被害に苦しむ梅本美有さん(18歳)、母・梅本邦子さんが登壇しました。
まず、美有さんが被害実態をたんたんと、そして切々と説明します。
「高校1年の5月に接種して痛み、湿疹・かゆみが出ました。続いて吐き気が出るようになり、3~4か月続きます。
11月以降は鉛が入っているようなだる気を感じ、学校には朝から行けず、昼からしか行けなくなりました。修学旅行にも行けませんでした。」
「今年1月からも肩・腰の痛みが出てリュックを背負うこともできない状態です。何とか卒業できたが、進路も決められず、今後どうしていけばよいか。治療法の開発をしてほしい」
続いて母・邦子さんが、「夢のようなワクチンと聞き、将来、この子が子宮頸がんにならないのであればという思いでワクチンを打ちました」
「ところが死んでいるんじゃないのかというほど寝込んでしまうようになった。とにかく起きれないので学校にも相談したが、出席できない以上難しいと言われてやむなく転学した。国が最後まできちんと面倒を見てほしいという思いです。とにかく娘達が痛む姿、苦しむ姿を見たくないんです」
会場には同じ被害者もたくさん参加されており、ある被害者のお母さんからも次のような切実な訴えがありました。
「娘は体調が悪くて家においてこざるをえませんでした。厚生労働省の指定病院の医師からはこれまで4年苦しんだから、あと4年で治るから・・などと言われました。そして原因究明はもうやめて心療内科に行きましょうとも言われた。被害者としてはこんな医者の対応も変えて欲しいと思います」
厚生労働省の指定病院でさえ、無理解からくる医療被害の深刻さを広げていることがひしひしと伝わりました。
最後に薬害オンブズパースンタイアップ福岡代表の猿渡薬剤師が、「被害者の方々に辛い思いをさせていることを聞き、医療従事者としても申し訳ない思いです。医療従事者も無知なんです。基本的に権威主義なので学会やWHOに引きずられてしまう。ですが私たち医療現場が、みなさん被害者の声に耳を傾けるのが大事だと思う。医療従事者としては接種者にアンケート調査をすることも考えている。そういう掘り起しも呼びかけていきたいと思っています」と述べて締めくくられました。
厚生労働省が2013年6月に積極的勧奨を中止してから、積極派・消極派が鋭く対立したまま時間だけが経過しています。
医学的因果関係が証明されるまでワクチンを打ち続けるのか、それとも被害の訴えを前提にワクチン接種をやめるのか。
過去の薬害の歴史に真摯に学びつつ、そして子宮頸がんの実態・予防のあり方を理解しながら議論していくことが必要です。
またその上で言われもない中傷を受けて社会で取り残されたままの被害者に対して、国の責任で手を差し伸べること。これが何よりも今求められていると痛感した1日になりました。
接種後に体の痛みなどを訴える報告が相次いでいる「子宮頸がんワクチン」の問題について考えるシンポジウムが5日、福岡市・天神で開かれた。被害者らは治療法の早期確立などを訴えた。
美有さんは、13年に接種を受けた数日後に左脚の痛みに襲われ、吐き気や体のだるさなどに苦しんでいる。高校の授業に出席できなくなり、単位制の学校に転校し、今月卒業式を迎えた。保険適用外の治療を受けざるを得ない現状などを伝え、「就職や進学もできず、これからが不安。治療法を確立して、健康な体に戻して欲しい」と訴えた(3月6日付け読売新聞)。隈本教授は基調講演で、ワクチンによるがんの予防効果が証明されていないとし、「副作用のリスクを顧みず接種する必要が本当になるのか」と語った。隈本教授は名古屋市が大規模なワクチン被害実態調査をしたことを挙げ、「全国の自治体が実態調査をやるべきだ」と指摘した(3月6日付け朝日新聞)。
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