交通事故による肝損傷の患者を適切に転院せず死亡、福井地裁が福井厚生病院の過失を認定
交通事故によって負傷して搬送された患者を適切に転院させなかった過失を認め、福井地方裁判所が2016年3月23日、福井厚生病院に対して金220万円の支払いを命じました。
患者は交差点でトラックと衝突して、胸の骨折により入院しましたが、その後血圧が低下。同日午後に肝損傷による出血性ショックで死亡したという事案です。
「220万円」という損害は、仮に転院させても救命できた高度の蓋然性が認められないと判断した上、いわゆる相当程度の可能性論によって慰謝料を認めたものと思われます。
確かに搬送された日の午後に亡くなられているので転送しても救命は難しかったでしょうが、転送以前に被告病院における措置が執れなかったのかは問題になりそうです。ちなみに被告病院は総合病院でした。
2010年に福井市内で交通事故に遭った女性(当時78歳)が、搬送先の医療法人厚生会「福井厚生病院」(福井市)で死亡したのは、医師の措置が不適切だったためとして、遺族が約1650万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、福井地裁は23日、訴えを一部認め、病院側に約220万円の支払いを命じた。
林潤裁判長は判決理由で「適切な検査をすればシートベルトの圧迫による肝損傷を把握し、転院などの措置を取れた可能性がある」と判断した。
病院側は取材に「司法判断を重く受け止めたい」とコメントした。
判決によると、女性は10年2月8日、夫が運転する車の助手席に同乗して福井市内を走行中、交差点でトラックと衝突し、厚生病院に搬送された。腰部打撲と診断され、いったん整形外科に入院。血圧が低下するなどしたため、外科に移し再検査したが、同日午後、肝損傷による出血性ショックで死亡した。(3月24日付け毎日新聞)
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