ハンセン病家族59人が集団提訴、家族の被害を訴え
ハンセン病元患者が2月15日、国を被告として熊本地裁に損害賠償請求訴訟を提起しました。
原告は九州・関西在住の59人。国に対して各550万円の損害賠償と全国紙への謝罪広告の掲載を求めています。
ハンセン病患者・元患者の強制隔離・終生隔離・断種堕胎などの被害については、患者・元患者が1998年に提訴しました。
2001年5月に熊本地裁が勝訴判決を下し、当時の小泉総理が控訴断念して解決に向かいました。
ところが、患者同様に地域で差別を受けたハンセン病元患者自身の被害については未解決のままでした。
鳥取地裁判決が昨年9月9日、家族自身の請求について、「国は遅くとも1960年には患者の子供に対する社会の偏見を排除する必要があったのに、相応の措置を取らなかった点で違法だった」と行政側の責任にも言及しつつ、原告の請求自体は棄却しました。
鳥取地裁判決はハンセン病の原告弁護団が手がけたものではありませんでしたが、この判決を受けて検討が本格化して今回の集団提訴に至ったものです。
家族提訴の原告団長は元九州産業大教授の林力さん。
林さんの父がハンセン病患者だった林さんの父は強制隔離され園で死亡しました。
林さんは「父からの手紙 再びらい者の息子として」という本を1997年に出版し、大学で教鞭を執るかたわらで、被害を訴え続けていました。
林さんは父が療養所に四半世紀近く隔離されたまま67歳で亡くなり、約40年前に元患者の子であることを明かした。「ハンセン病は伝染病でも遺伝病でもないにもかかわらず、この国は長い間隔離政策を続けてきた」と批判。国民には今もハンセン病に対する正しい知識が共有されていないと感じており、「訴訟を通じてハンセン病についての歴史や現状、課題を明らかにしてほしい」と訴えた(2月15日付け毎日新聞)
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