化血研が40年不正に血液製剤を製造、第三者委員会も「常軌逸した隠蔽体質」と批判
化血研が40年間に渡って、不正な方法で血液製剤を製造していました。
不正製造は1974年頃から始まり、国の調査の際は発覚しないように、製造記録を偽造するばかりか、紫外線をあてて古く見せかけるなど手の込んだことを組織ぐるみで行っていたものです。
第三者委員会(吉戒修一委員長・元東京高裁長官)は、調査報告書の中で、「常軌逸した隠蔽体質」と指摘した上、薬害HIV訴訟の和解時に、経営陣が不正製造を認識していたことについて、「和解における誓約がうわべだけのものに過ぎなかったと非難されてもやむを得ない」と厳しく批判しました。
化血研は1989年に提訴し1996年に和解解決した薬害エイズ事件の被告企業でした。
薬害HIV訴訟の原告団弁護団も12月2日、緊急記者会見し、「和解に踏み切った私たちに対する決定的な裏切り」とコメントしています。
昨日12月2日はちょうど、薬害肝炎九州原告団の世話人会議も開催していました。薬害監視の第三者組織の問題を中心に議論しましたが、この化血研の不正も話題に上りました。
熊本在住の九州原告団代表出田妙子さんも、「熊本の会社として恥ずかしい。40年も患者・国・社会をだまし続ける神経が信じられない。立派な社屋を誇っているけど中身がついていっていない」と感想を述べていました。
そのほか日本医師会や専門家からも厳しいコメントが続いています。
全理事が辞任・辞職しましたがそれだけでは不十分。
元化血研の国会議員もおられますし、ぜひ真相究明と再発防止に厚生労働省のみならず国会も動くべきでしょう。
日本医師会の小森貴常任理事は2日の会見で「かなり以前から、問題が放置されてきたことは極めて遺憾だ。国民の健康、命にかかわる重要な問題で、二度とないように要請していきたい」と語った。出荷が止まっているワクチンなどについては「安全性の確保が第一。(出荷の再開を)急ぐばかりにおろそかになってはいけない」と戒めた。
血液製剤に詳しい大戸斉・福島県立医大副学長(輸血学)は「競争のない社会ではコンプライアンスや意欲が必要とされない。血液製剤メーカーに対する国の過剰な保護政策も、コンプライアンス精神を失わせた背景にあるのではないか」と指摘する。(12月3日付け朝日新聞)
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