大分県・豊後大野市民病院が筋肉移植術による医療事故で患者と300万円で示談
大分県の豊後大野市民病院が8月25日、筋肉移植手術を実施した患者に対して発生した医療事故について、説明義務違反などを認めて300万円の賠償金を支払うことを明らかにしました。
筋肉移植手術は、顔面神経麻痺の再建手術、多発性関節拘縮症に対する再建術などとして行われますが、今回は、労災事故による機能再建を目的としたものでした。
機能再建を目的とする場合も、比較的良好な成績が得られていますが、採取できる自家筋肉量には必然的に限界がありますし、獲得できる筋力は移植筋が本来有していたレベルにまで回復しないとも指摘されています。
従って、この手術を行う医療機関としては、その限界についてインフォームドコンセントを行うべきであったといえるでしょう。
患者側・病院側双方に弁護士が付いて示談交渉を行った結果、合意に至ったもの。
同病院と他の病院の入通院費用、手術痕が残ったことへの慰謝料なども賠償の対象になったようです。
豊後大野市は25日、市民病院で筋肉移植手術を受けた市内の60代男性の機能が回復せず、男性に慰謝料などとして300万円を支払うことで合意したことを明らかにした。
市によると、男性は労災事故で動かなくなった左腕の機能を回復するため2013年10月、同病院で手術を受けた。しかし、移植した筋肉が壊死したため切除。「回復しない可能性についての説明が不十分であった」と申し立てていた。
同病院は「結果として苦痛を与えたことを重視した。信頼回復に努めたい」と話した。(8月26日付け大分合同新聞)
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