北九州市立医療センターの点滴作業ミスで患者が死亡、2500万円損害賠償の方針
目次
北九州市立医療センターで医療事故
北九州市立医療センター(福岡県北九州市)が1月30日、看護師が点滴チューブを外す際に誤って連結管も外したため入院患者が死亡した医療事故を発表しました。看護師(20代)が入院患者(90代)の抗生剤点滴が終了した後、点滴チューブを外す際に、連結管まで外してしまったもの。
点滴管は弁の役割を果たし血液の逆流を防ぐ役割があります。その点滴管まで外したため、約1200CC出血してしまいました。
80分後、心電図モニターのアラームに気づき、心臓マッサージを施しましたが、患者は心肺停止で死亡したものです。
北九州市は患者家族に対して謝罪した上、2476万4000円の賠償金を支払うことで示談しました。
医療事故の原因
医療センターは2009年からこの点滴器具を使用していましたが、研修を実施していなかったため、看護師・准看護師の4割にあたる219人が、点滴チューブが連結管毎外れるとは知らなかったといいます。担当看護師は20代ということで経験年数は不明です。
依願退職したということですが、看護師一人に責任を負わせるのではなく、病院全体で再発防止に取り組むことが何より求められていると思います。
法的には、看護師のミスは、履行補助者の過失(契約責任)、使用者責任(不法行為)として医療機関の注意義務違反とされるものです。
輸液の際の類似の医療事故
日本医療機能評価機構が発表している「再発類似事例」でも、「小児の輸液の血管外漏出」、「輸液ポンプとの逆流の確認忘れ」などが繰り返し報告されています。
また報告書における分析テーマとしても、「輸液」は様々なケースが繰り返し取り上げられており、基礎的な事柄だからこそ、本件のような個別医療器具の取り扱いも含めて、医療現場における周知徹底が求められていると思います。
誤った看護師と豊島里志院長は同日付で文書訓告処分を受け、看護師は依願退職した。院内の調査では、看護師の約4割が点滴チューブの連結管が外れることを知らなかったと言い、連結管の不要なチューブに交換するなどの再発防止策をとったという。豊島院長は「ご冥福をお祈りし、ご遺族に心からおわび申し上げます。再発防止に全力で取り組みます」と陳謝した。(2月2日付け朝日新聞)
関連記事
・医療過誤・医療ミス専門の弁護士による無料法律相談について、医療過誤の傾向と対策
・気管切開チューブ逸脱・迷入にょる死亡が6例、日本医療安全調査機構が再発防止に向けた提言
外部リンク
・公益財団法人日本医療機能評価機構
・医療安全情報「人口呼吸器の回路の接続外れ」