「家庭の法と裁判」が創刊準備、家裁月報の廃刊を受けて
最高裁が1949年以来発刊してきた「家庭裁判月報」。
毎月、家事や少年事件の審判例や各特集・統計を乗せて、裁判官・研究者・弁護士などこの分野の実務の参考になってきた代表的な文献でした。
私が手に取るようになったのは少年審判例を集中的に調べた2000年頃。「少年事件付添人マニュアル」(日本評論社)を執筆する際でした。
それ以来、定期購読するようになり、弁護士会の委員会でも定期購読を呼びかけたりしました。
家裁月報の少年審判例については、「古賀克重法律事務所サイト」のコーナー「審判の窓」において、実務的なコメントを載せて紹介したりしました(これについては、福岡県弁護士会の「月報」にも取り上げて頂きました)。
・「審判の窓」
また実際の家事事件でも、余り掘り下げられていない論点について、家裁月報の審判例を引用して主張することによって、担当裁判官が興味を持ってくれた経験もあります。
そんな家裁月報が2014年65巻8号で廃刊になりました。
プライバシーでトラブルでもあったのかなと思いましたが、廃刊号の記事から推察するに、一般の法律雑誌への提供による業務の効率化といったところのようです。
家事事件手続法も施行され、国選付添人も拡大する中で、家庭裁判所を取り巻く情報がより必要な時代の要請に逆行するなあと・・思ってましたが、家裁月報の発刊に関わってきた裁判官・研究者の中にもそういう思いを抱く人が少なからずいたようです。
日本加除出版から年4回、「家庭の法と裁判」(Family Court Journal)が発刊されることになりました。
今回、関係機関・実務家に無料配布された創刊準備号を0号として、4月から正式に刊行されることになります。
ちなみに毎号定価1800円・年間購読料7200円。家裁月報1号1360円より若干高くなりますが、年4号ですから年間購読料としては安くなります。
準備号の座談会によると、「弁護士さんに、例えば少年事件を担当してある程度経験された方に対していろいろな情報発信ができるような中身にできればよいなと思っています」(16頁)など、実務家読者層を意識した新しい企画を検討するとのこと。
今後の充実した情報発信に期待し、私も早速定期購読を申し込みたいと思っています。
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