日弁連が協定を締結したプリベント少額短期保険株式会社が行政処分
日本弁護士連合会が協定を締結して新サービスを1月13日に開始したプリベント少額短期保険株式会社。
金融庁(東北財務局)から1月16日、行政処分を受けました。
社長が経費を私的流用し、取締役会が、その不適切な経理処理を容認するほか、増資関連事項以外の事項について審議を行っていないなど、取締役会が牽制機能を発揮していないという問題点が指摘されています。
(1)経営管理上の重要事項について、取締役会は、プリベントホールディングス株式会社(少額短期保険持株会社)社長が内部管理規程に規定されている手続に反して関与することを容認している。
(2)取締役会は、内部管理規程上、経理処理に係る権限を有しない少額短期保険持株会社社長による、不適切な経理処理を容認している。
(3)取締役会は、増資関連事項以外の事項については審議を行っていないなど、取締役会が牽制機能を発揮していない。
そのため、東北財務局が、保険業法272条の25第1項に基づいて、業務改善命令を出したものです。
経営管理、法令遵守に係る経営責任の明確化、責任ある役員体制の確立など、ある意味、基本的なことが求められており、同社の根深い問題点をあぶりだしているようです。
(1)健全かつ適切な業務運営を確保するため、以下の観点から、経営管理態勢及び法令等遵守態勢等を抜本的に見直し、その充実・強化を図ること。
ア.経営管理、法令等遵守に係る経営責任の明確化及び責任ある役員体制の確立
イ.取締役会が経営監視・牽制機能を適切に発揮することによる経営管理態勢の確立
ウ.内部監査・監査役監査の抜本的な改善及び充実・強化による監査機能の実効性の確保
エ.実効性のある業務運営態勢の確立
オ.外部委託契約の抜本的な見直し
カ.適切な人事管理の実施(2)上記(1)に関する業務改善計画(具体策及び実施時期を明記したもの)を平成27年2月16日(月)までに提出し、直ちに実行すること。
(3)上記(2)の実行後、当該業務改善計画の実施完了までの間、1ヶ月毎の進捗・実施状況を翌月15日までに報告すること(初回報告基準日を平成27年2月末日とする)。
タレントを全面に押し出した会社側の記者会見では、「相性が合わない場合など変更も可能」など、ややフライング気味のコメントが出ていました。
そもそも2011年に設立されたばかりのかなり小さい会社であり、業務拡大に前のめりになる日弁連の姿勢に不安を覚えていましたが、それが的中した形でしょうか。
同社の保険は、相談者がいったん弁護士に立て替えて支払う必要があります。同社の経営が行き詰まった場合、立て替えた弁護士費用の処理が問題になる可能性もでてきます。
前回の記事でも、この会社の保険には期待できず、大手保険会社が同種保険に参入するかどうかがポイントと書きましたが、早々にそういう流れになりそうです。
それはともかく日弁連がプリベント少額短期保険株式会社の会社実態をどこまできちんと調査していたのか、大いに疑問も残るところです。
金融庁は16日、不正な経理処理があったとして、弁護士費用保険を手掛けるプリベント少額短期保険と同社の親会社であるプリベントホールディングスに業務改善命令を出した。
金融庁によると、持ち株会社の社長が傘下に置く保険会社の経理処理を管理し一時的に経費を私的流用していた。金融庁は企業統治が機能していない点を問題視している。プリベントに経営体制を見直し、2月16日までに業務改善計画を提出するよう求めた(1月16日日経新聞)
目次