サリドマイド薬害訴訟解決から40年、いしずえが記念行事を開催
目次
◆ いしずえが設立40周年
公益財団法人いしずえの設立40周年行事が11月22日、東京田町にて開催されました。
理事長挨拶に続いて被害者、厚生労働科学研究の研究代表者吉澤篤人医師(平成23年~25年度)、日ノ下文彦医師(平成26年度~28年度)が講演を行いました。
薬害肝炎全国原告団からも山口美智子代表らが出席しました。
◆ サリドマイド訴訟を経て設立
いしずえは「サリドマイド福祉センター」とも言い、いわゆる薬害初の大型集団訴訟として位置づけられるサリドマイド訴訟の解決に伴い設立されました。
西ドイツの製薬会社で開発され日本でも1958年1月から販売された鎮静、睡眠剤であるサリドマイド。妊娠初期服用の母親から生まれた子に手・耳・内臓などに先天性の障害を生じさせました。
1961年には西ドイツのレンツ博士が危険性を警告し、12日後にはサリドマイドは回収されました。
ところが日本では使用が続き、1962年9月になってようやく製薬会社が回収するなど対応が遅れて被害を拡大させたものです。
被害者家族が損害賠償を求めたサリドマイド訴訟は1963年6月、名古屋地裁に提訴され、その後1965年11月に東京地裁、その後、福岡地裁小倉支部を含め全国8地裁で審理された集団訴訟。
10年近い審理を経て、サリドマイド訴訟統一原告団(62家族)が1974年10月、厚生省及び製薬企業と確認書を調印し、和解解決へ向かったものです(拙著「集団訴訟実務マニュアル」日本評論社・240頁)。
解決した1974年12月、サリドマイド被害者の福祉センターとして設立されたのが財団法人いしずえというわけです。
◆ いしずえの息の長い活動
いしずえは、被害者の健康管理、相談、生活支援、就労支援、年金給付などの活動を行ってきました。
また被害者は薬害肝炎九州訴訟においても、大分など各地から福岡地裁に傍聴支援に駆けつけてくれました。
現在も、全国薬害被害者団体連絡協議会(薬被連)の活動においても中心的な役割を果たしています。
私たち薬害肝炎原弁の活動も2002年の提訴から12年になりましたが、40年という長い歩みを続ける地道な活動には頭が下がるばかり。
そしてまた連綿と続く薬害被害について伝え続けること、国に対して再発防止を粘り強く訴えることの意義を、再確認させてくれるような記念行事ともいえるでしょう。