リリカで劇症肝炎死亡や肝機能障害も、厚労省指示で添付文書が改訂
神経症が性疼痛の疼痛治療剤であるリリカの添付文書が2014年9月に改訂され(第8版)、重大な副作用欄に「劇症肝炎」「肝機能障害」が追加されました。
目次
リリカとは
リリカカプセル(成分名プレガバリン)は、2010年6月から薬価収載され販売開始。アメリカ・ノースウェスタン大学で開発されたγ-アミノ酪酸の誘導体の一つです。
承認当初は「帯状疱疹後神経痛」のみの適応でしたが、その後、2010年10月に「末梢性神経障害性疼痛」、2012年6月に「維筋痛症に伴う疼痛」に適応拡大されました。
さらに2013年2月には、脊髄損傷後疼痛の有効性も認められたとして、従前承認されていた末梢性神経障害性疼痛と合わせて「神経障害性疼痛」に適応が拡大されています。
このようにリリカは、帯状疱疹後神経痛や糖尿病性神経障害による神経障害性疼痛に対して認可され、内科や整形外科を中心に幅広く医療現場で使用されている薬剤。
その結果、現在の使用患者は推計年約195万人に達しています。
リリカの特徴~離脱症状
一方において、リリカには中毒性があるという指摘もあるほか、中止が難しく、離脱症状として嘔吐・吐気、発汗、動揺・混乱などが指摘されています。
そのため、リリカの添付文書においても、「本剤の投与を中止する場合には、少なくとも1週間以上かけて徐々に減量すること」とし、重要な基本的注意としても、「本剤の急激な投与中止により、不眠、悪心、頭痛、下痢、不安及び多汗症等の症状があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、少なくとも1週間以上かけて徐々に減量すること」と記載されています。
重大な副作用として劇症肝炎・肝機能障害の追加
2014年9月の添付文書の改訂(第8版)は、直近3年間の国内副作用症例の集積として、劇症肝炎による死亡が1例あり因果関係が否定できないこと、そして肝機能障害(AST500以上、ALT500以上、総ビリルビン10以上のいずれかに該当)が10例あり、うち7例は因果関係が否定できないことが判明したからです。
専門委員の意見もふまえた調査に基づき、厚生労働省が製造販売元のファイザー株式会社に対して改定を指示していました。
劇症肝炎(頻度不明注))、肝機能障害(0.4%):劇症肝炎、AST(GOT)、ALT(GPT)上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと(添付文書・重大な副作用欄追記)
なおリリカカプセルの添付文書はその後も改訂を重ねていますが、2017年2月改訂(第10版)や2020年10月改訂(第1版)においても、重大な副作用として「劇症肝炎(頻度不明)、肝機能障害(0・4%)」は継続記載されています。
11. 副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。11.1.10 劇症肝炎(頻度不明)、肝機能障害(0・4%)
劇症肝炎、AST、ALT上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがある。(以上、2020年10月改訂(第1版)より抜粋)