古賀克重法律事務所ブログ

福岡県弁護士会所属弁護士 古賀克重(こが かつしげ)の活動ブログです。

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薬害肝炎全国原告は2090名に、残された課題について全国会議で意見交換

◆ 今年最後の全国会議

2014年最後の薬害肝炎全国原告団弁護団会議が9月21日、東京八重洲にて開催されました。

C型肝炎に汚染された危険な血液製剤フィブリノゲン等が1964年から1994年まで使用されたことによって1万人を越える感染被害者が出た薬害肝炎問題。
全国弁護団による集団訴訟提起(2002年10月)から大阪・福岡・東京・名古屋・仙台の5地裁判決を経て、2008年1月に国と基本合意し、薬害肝炎救済法が成立して一定の解決を見ました。

それまでは薬害肝炎原告団弁護団は毎月1回程度の全国会議を、東京・大阪・福岡・名古屋・仙台の5地域にて持ち回りで開催していました。
現在は、年3回の全国会議を開催するほか、必要に応じて全国弁護団事務局がテレビ電話会議を行い、残された課題について引き続き取り組んでいるものです。

古賀克重法律事務所ブログ 薬害肝炎原告団弁護団 全国会議

今回の会議には、全国から60名以上の原告弁護団が参加。本年度の大臣協議の成果と課題について確認しました。
また前日には進展著しい恒久対策(治療体制)分野について勉強会も開催。インターフェロンフリー始めとする最新の知見のほか、これからの課題について意見交換も行っています。

◆ 現在の提訴数と和解数

全国会議の度に集計していますが、今回の集計の結果、薬害肝炎全国原告団は2090名(患者数)、うち和解数は1994名(95%)に達しました。

そのうち診療録(カルテ)がなくて、医師・看護師等の尋問によって立証するケースは、264名(総原告数の12%)・和解数は231名になっています。

提訴数は減ってきましたが、順次追加提訴しつつ、各地域で証人尋問を継続し、カルテなきケースを含めて和解に向けて取り組んでいます。

◆ 基本合意後から今年までの歩みを整理

今回の会議では、東京弁護団の若手弁護士らが国との基本合意(2008年1月15日)から2014年度の大臣協議(8月27日)までの歩みを整理して、詳細なレジュメにまとめた上で報告。

既に出版した「薬害肝炎裁判史」(日本評論社)以降の流れについても、随時、整理していくことも決まりました。

なお全国原弁護の現在の主たる活動は、「被害救済」、「再発防止」、「恒久対策」の3本柱。

まず、「被害救済」については救済法の周知徹底による被害者のさらなる掘り起こし、非特定製剤による被害者の救済問題が論点です。

薬害肝炎救済法は、2002年10月に提訴した薬害肝炎訴訟を立法解決したもの。従って、救済対象の血液製剤は、フィブリノゲン、クリスマシン、PPSBニチヤク、コーナインの4つに限られます。
しかしこの4製剤以外にも同様の感染リスクがあり、実際に感染被害を出している血液製剤があります。
4製剤以外の製剤についても、法律の対象とすべきとするのが非特定製剤の問題になります。

また、「再発防止」については、医薬品行政を監視・評価する第三者組織の設置、薬害研究資料館の設立が論点です。

基本合意に基づき、厚生労働省に薬害肝炎問題を検証する委員会を設置させました。その委員会がとりまとめた最終提言では、医薬品行政を監視・評価する第三者組織の設立の必要性が指摘されました。どこに設置して、どのような権能をもたせるか。これが第三者組織設置問題です。

そして 「恒久対策」は、患者会・B肝原告団とともに活動を行っており、障害者手帳の対象拡大などが論点です。

◆ 10年目に大きな集会開催へ

毎年周年行事を開催し、合わせてC型肝炎専門医による講演会などを開催してきました。
ただそろそろ毎年ルーティンで開催するのではなく、節目に絞って対外的な集会を開催すべきではないか、という意見が出ていました。

そこでこの日議論した結果、基本合意7周年の集いは来年予定通り仙台にて開催する一方、その後は2018年1月の基本合意10周年目、東京にて大きな集会を開催し、原弁の歩みと成果、そして残された課題についてアピールすることになりました。

投稿者プロフィール

弁護士 古賀克重
弁護士 古賀克重弁護士
弁護士古賀克重です。1995年に弁護士登録以来、患者側として医療過誤を取り扱っています。薬害C型肝炎訴訟の弁護団事務局長として2008年の全面解決を勝ち取りました。交通事故も幅広く手掛けており、取扱った裁判が多数の判例集で紹介されています。ブログではその主たる取扱い分野である医療過誤・交通事故について、有益な情報を提供しています。

弁護士 古賀克重

弁護士古賀克重です。1995年に弁護士登録以来、患者側として医療過誤を取り扱っています。薬害C型肝炎訴訟の弁護団事務局長として2008年の全面解決を勝ち取りました。交通事故も幅広く手掛けており、取扱った裁判が多数の判例集で紹介されています。ブログではその主たる取扱い分野である医療過誤・交通事故について、有益な情報を提供しています。