グーグルがスマートコンタクトレンズで血糖値を管理
米Googleが、糖尿病患者向けの「スマートコンタクトレンズ」について、技術ライセンスをスイスの製薬会社ノヴァルティスファーマに供与することで合意しました。
ノヴァルティスファーマがスマートコンタクトレンズのライセンス・開発・商品化を行い、早ければ来年初めには試作品が完成するようです。
スマートコンタクトレンズは、ソフトコンタクトレンズ層に無線小型マイクロチップとセンサーが埋め込まれ、涙に含まれているブドウ糖量を計測するもの。
糖尿病とは「インスリンの絶対的もしくは相対的不足により引き起こされる、持続的高血糖状態」をいい、「自己免疫的機序により発症する1型糖尿病と、それ以外の原因による2型糖尿病に大別できるが、後者がその大半を占めてい」ます(医学大事典)。
病状が進行すると、糖尿病網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病神経障害といった合併症を併発します。
そのため、糖尿病は、確定診断においても、また治療においても、血糖値の測定・適切な管理が重要になります。
例えば、糖尿病治療ガイドライン2013は、糖尿病治療の目標として、「血糖コントロールは可能な限り正常に近づけるべきである。治療開始後早期に良好な血糖コントロールを達成し、その状態を維持することができれば、長期予後が期待できる」と指摘しています。
グーグルの「スマートコンタクトレンズ」の役割としては、家庭用の「血糖自己測定」を補完するものがまず予想されるでしょう。
つまり、現在も、血糖値については医療機関における検査測定以外に、自分による測定(血糖自己測定)が行われています。
例えば日本臨床内科医会も、「血糖自己測定は、糖尿病治療の強い味方」と積極的に広報しています。
この血糖自己測定は、手のひらにおさまるほどの測定器、測定用の血液を得るための穿刺針、測定用センサー(試験紙)が必要。
測定器は1万円弱から2万円前後、穿刺針・測定用センサーに1回あたり100円強かかります。
スマートコンタクトレンズは販売価格次第ですが、日常生活を送りながら自然に涙から測定するものですから、血糖自己測定がおっくうな患者や日中測定の時間がない働き盛りの患者には朗報になる余地があります。
また血糖値は刻々と時間とともに変動しますので、血糖自己測定は測定時間にも気を遣います(通常、空腹時や食後2時間に測定)。この点、スマートコンタクトレンズが経時的に血糖値を図ることができれば、かなり有用性があるかもしれません。
いずれにしろ糖尿病患者の血糖値は重篤な合併症に直結することもありますので、血糖値測定機能に不具合があり、仮に治療遅れを引き起こしたような場合には、患者から賠償請求を受ける余地も残ります。
ライセンス供与を受けることになったのが、最近何かと日本法人はトラブルを起こしているノヴァルティスファーマというところが気になりますが、患者の健康と生活向上に関わる注目商品ですので、安全性にも十分配慮しつつ開発して頂きたいものです。
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