いじめの原因は「おもしろ半分・からかい」が最多、警察庁が少年非行情勢を発表
目次
非行の概要~減少傾向が継続
警察庁生活安全局少年課が8月21日、「少年非行情勢」(平成26年上半期)を発表しました。
刑法犯少年の検挙人員は2万3103人と12年連続の減少になっています。
前年同期より3833人(14・2%)減少したことになります。
特に凶悪犯については、平成17年上半期の735人に対して、338人とかなり減少しています。
強姦が61人と前年同期より2人増加していますが、殺人・強盗・放火はいずれも減少しています。
少年非行というと重大事件が発生した時の報道などによって増加傾向にあると思いがちですが、全体的に減少傾向にあることは間違いないでしょう。
低年齢化
一方で、目を引くのは初犯者の低年齢化です。
19年上半期までは16歳が最多でしたが、20年同期以降は14歳が連続して最多になっています。
この傾向は、社会が複雑化し、家庭と学校・地域の結びつきが弱まって、若年層に非行が広がっていることが指摘できます。
但し、人口比でいいますと、20年上半期までは16歳が最も高かったのですが、21年上半期以降は、14歳が連続して最も高くなっています。つまり、高齢化社会・少子化によって、若年層の人自体が増えていることも背景の一つといえそうです。
いじめに起因する事件
警察が把握した少年事件のうち、いじめが原因なのは149件あり、前年同期の192件より43件減少しました。
摘発・補導されたのも259人であり、79人の減となっています。
警察庁の担当者は「表面化していないケースも多く、実態は高水準で推移していると考えている」と分析しているようですが、いじめ防止対策推進法の施行などにより、学校等の取り組みが少しずつ進んでいるという一面も指摘できるのではないかと思います。
いじめの原因
一方で、いじめの原因としては、「おもしろ半分・からかい」が多く、その中でも「力が弱い・無抵抗」が44・4%にも達しています。
いじめによる事件については、私自身、加害者少年の付添人弁護士として関与したことも、被害者少年の代理人弁護士としてかかわったこともあります。
そのいずれにおいても、まさに統計どおりに、力が弱く無抵抗な子に対して、「おもしろ半分・からかい」という名の下に執拗な暴行・暴言を行っていたケースでした。
からかいの対象になっているような子は、傷ついていないようにふるまうことも少なくありません。その態度がさらに加害者の行為を助長することもあります。
また学校など周辺の大人が「遊びだから」と安易に考えて放置すると、いじめを把握するきっかけを失うことにもなりかねません。
いじめの傾向も十分理解した上で、回りの大人が先回りして迅速な対応を取って、いじめが拡大することを回避することが必要だと、重大ないじめ事件に接するたびにその思いを強くします。