「温故知新~薬害から学ぶ」シリーズ、ついに「薬害肝炎」が完成
「温故知新~薬害から学ぶ~」(DVD)が順調に発刊され、ついに第7巻「薬害肝炎事件」が完成しました(8巻「ソリブジン事件」と同時)。
このDVDは、PMRJ(医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団、旧「財団法人日本公定書協会」)が、薬害について理解を深めるための映像として、企画・制作している連続シリーズになります。
第1巻「総集編」・第2巻「スモン事件」、第3巻「筋短縮症」、第4巻「サリドマイド」、第5巻「薬害エイズ事件」、第6巻「陣痛促進剤による被害」まで発刊されていました。
今回も寄贈頂きましたので早速視聴しました。
薬害再発防止のための検証委員会の「最終提言」をベースに、ふんだんに映像・写真・図表を盛り込んだ分かりやすい内容に仕上がっていました。
「C型肝炎とは」、「血液製剤とその被害」、「薬害肝炎訴訟と被害者の苦しみ」、「フィブリノゲン製剤の再評価とリスク」、「最終提言とその教訓」という5つの章に分けて、27分というコンパクトにまとまっています。
「薬害肝炎訴訟の被害者の苦しみ」では、集団訴訟時の街頭行動の映像や新聞記事、総理官邸での面談映像をベースに概要を説明しつつ、薬害肝炎原告団の武田さんのインタビューも行われています。
最後の「最終提言とその教訓」は、薬害検証委員会の寺野彰座長(獨協医科大学名誉学長)のインタビューで締めくくられています。
寺野座長の以下のコメントが印象に残りました。
「薬害再発防止するためには、厚労省なりPMDAをきちんと監視できる第三者機関をつくることを具体的に提案した。法案までつくったのに国会に上程されていない。座長として困ったなと思っているので、政治がもっと真剣に対応して欲しい」
その検証委員会が「薬害教育の必要性」を指摘して注目を集めた「薬害教育」。
裁判史など専門的な文献はある一方で、医療従事者・製薬企業関係者・社会人・学生が簡単に学べるテキストはまだまだ少ないのが実情です。
このPMRJが発刊しているDVDシリーズは、映像の力とともにナレーションによって概要を分かりやすく解説していますので、薬害教育だけでなく、講演会、シンポジウム、勉強会など様々な場面でも有効利用できると思います。
大学の医学部・薬学部・看護学部教育において、薬害問題や医薬品評価に関して学ぶカリキュラムがないか尐ないため、関係省と連携してカリキュラムを増やすなど、医療に従事することになる者の医薬品に対する認識を高める教育を行う必要がある。
具体的には、医学部・薬学部・看護学部におけるコアカリキュラムや、国家試験の問題作成基準の見直しを含めた検討を行うべきである。
医師、薬剤師、歯科医師、看護師となった後、薬害事件や健康被害の防止のために、薬害事件の歴史や健康被害、救済制度及び医薬品の適正使用に関する生涯学習を行う必要がある。
また、薬害事件や健康被害の防止のためには、専門教育としてだけではなく、初等中等教育において薬害を学ぶことで、医薬品との関わり方を教育する方策を検討する必要があるほか、消費者教育の観点から、生涯学習として薬害を学ぶことについても検討する必要がある。このため、学習指導要領に盛り込まれるよう関係者が努力すべきであり、また、例えば、学校薬剤師等による薬物乱用対策等の教育活動等も参考にしつつ、各種メディアの活用なども含めた、医薬品教育への取組を行うこと等を関係省で連携して検討すべきである。(「最終提言」46頁より抜粋)。
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