いじめ第三者調査委員会報告書の全文をネット公開、熊本中3自殺事件
熊本の和水町中学校3年生が自殺した問題で、第3者調査委員会の報告書全文を町がホームページで公開しました。
いじめ第3者調査委員会の報告書が全文公開されるのは異例の対応といえます。
この事件は2012年7月10日、中学校3年生の男子生徒(当時14歳)が自宅で自殺したもの。当初学校は全校生徒アンケートの結果をふまえて「悪ふざけやからかいはあったが、深刻はいじめはなかった」と判断していました。
これに対して、納得できない遺族が2013年3月、調査は不十分として町に対して第三者調査委員会設置を要望し、第三者委員会が調査を行っていたものです。
第三者調査委員会は25回開催され、41名に対する聞き取り調査を行い、報告書を提出しました。
報告書は、「背後から首を絞められて失神した」、「数人がかりで制服のズボンを脱がされかけた」、「通学に用いていた自転車に錠をかけられた」、「物を隠されたり、石を投げられた」など11件をいじめと認定しています。
さらに報告書は、学校と町教育委員会の対応に問題があったことは明らかとも指摘。その上で、「いじめも自殺の要因の一つに含まれる可能性は否定できない」と結論付けました。
なおホームページによる公開は1か月程度で、その後は町役場で閲覧することになります。
公表には再発防止のために役立ててほしいというご遺族の思いが込められていると思いますので、報告書からいかに教訓を学ぶかが問われていると思います。
これまで「深刻ないじめはなかった」としていた町教育委員会は、一転していじめがあったことを認め、「認識が甘かった」と謝罪。最後に会見した男子生徒の父親は「息子は生きて学び、科学者になる夢を追っていた。悔やんでも悔やみきれない」と声を詰まらせた・・(5月30日・西日本新聞夕刊)。
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