帝王切開既往の妊産婦の管理は慎重に、産科医療補償報告書
産科医療補償制度は、制度開始した2009年1月から2014年2月まで754件を補償対象としています。
制度を運営する公益財団法人日本医療機能評価機構は4月15日、産科医療補償制度・再発防止に関する報告書を公表しました。
・報告書
4回目になる今回の再発防止に関する報告書は、補償対象となった重度脳性麻痺児のうち2013年12月までに原因分析報告書を公表した319件について分析したものになります。
脳性麻痺の主たる原因としては、常位胎盤早期剥離が74件、臍帯因子が49件(臍帯脱出15件、その他34件)などです。
テーマに沿った分析としては「子宮破裂」が取りあげられています。
319件のうち子宮破裂を発症した事例は12件(3・8%)あり、この事例を分析したもの。
外傷性子宮破裂としては、子宮収縮薬の使用およびクリステレル胎児圧出法がそれぞれ2件。
子宮破裂の危険因子としては、「帝王切開の既往」「TOLAC(帝王切開術既往妊産婦の経膣分娩)」「児頭骨盤不均衡」「吸引分娩やクルステレル胎児圧出法」「子宮収縮薬の使用や過強陣痛」などが検討対象とされています。
その上で今後の産科医療向上のために検討すべき事項としては、「前回帝王切開術における創部確認など管理ガイドラインの作成が望まれる」、「帝王切開術既往妊産婦が経膣分娩を希望した場合のリスクについて周知が望まれる」「里帰り分娩は、妊産管理の一貫性の面でやや問題があり、各種トラブルの頻度が高まると考えられるが、臨床データはなく、リスクについての疫学調査の実施が望まれる」と指摘してます。
そのほかにも「子宮内感染」「クリステレル胎児圧出法」「搬送体制」についても提言されています。
出産時の事故で脳性まひになった子供を援助する「産科医療補償制度」で、制度を運営する日本医療機能評価機構が昨年までに補償対象となった319事例を分析したところ、子宮破裂が原因で脳性まひを起こしたとみられる事例が、破裂の疑い例を含め12件あったことが分かった。うち5件は過去に帝王切開を経験した妊婦が自然分娩(ぶんべん)を試みて子宮破裂に至っていた。
機構によると、子宮破裂は手術痕や陣痛促進剤の使用などが原因で起きる。発症率は、陣痛促進剤を使わない通常の自然分娩なら0.006%だが、帝王切開の経験者は約0.5~1%とされる(5月4日毎日新聞)。
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