ピル副作用で11人死亡、361人重症
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ピルの副作用について日本産婦人科学会が注意喚起
ピルの副作用によって、5年間で11人が死亡して、361人が重症だったことが判明しました。2013年には、保険承認されていたヤーズ配合錠との因果関係が否定できない血栓症による死亡例が3例相次いだとして、安全性速報(ブルーレター)が発出されました。
当時、日本産婦人科学会も注意喚起を行っていました。
ピルとは
「ピル」とは、ホルモン剤の経口避妊薬のこと。合成エストロゲンと合成プロゲストーゲンの配合剤、少量のプロゲストーゲンのみを含むミニピルなどがあります。
前者は、ホルモン含有量によって高用量・中用量・低用量があります。低用量ピルほど副作用は少ないとされます。
一般に経口避妊薬として用いられるものは低用量ピルになります。(2009年版医学大事典)。
低用量ピルは排卵抑制機序による避妊薬として利用されていましたが、2008年7月には月経困難症の治療薬として承認されました。その結果、生理痛、子宮内膜症の治療薬として使用されるようになりました。
現在は100万人の患者が使用するなど幅広く投薬されています。
低用量エストロゲン・プロゲスチン製剤(LEP)は、 副作用の発生頻度が少ないとされ、長期投与が可能な治療薬として定着してきました。
そして2017年・2018年に連続投与が可能なLEPが保険収載され,、月経困難症治療の選択肢が増したと言われています。
ピル使用による血栓症
ピル使用による血栓症と思われる症候は、「片側または両側の下肢(ことにふくらはぎ)の痛みと浮腫」、「突然の激しい頭痛、持続性の頭痛、失神、片麻痺、言語のもつれ、意識障害」、「顕著な血圧上昇」などが指摘されています(低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン)。
このような場合は、直ちに服用を中止して、適宜、専門医の診断・治療を受ける必要があります。つまり早期発見と重症化防止が大事になります。
血栓の発症率は、1万婦人年あたり3~9人と稀と言われてますが、予防の観点からは、エストロゲン含量の少ないLEPの使用が望ましいとも指摘されています。
ピル使用にあたっての注意点
いずれにしろLEP合剤に限らず女性ホルモン剤を使用する場合、医療機関は低用量経口避妊薬の使用に関するガイドラインを順守し、充分な問診を行い、インフォームドコンセントを徹底することが求められています。
また患者側としても使用を検討するにあたっては、十分な説明を求めるとともに、副作用の基本的な知識は勉強して頭に入れておく必要があるでしょう。
そして服薬にあたっては医療機関の服薬指導に従うことも大事になってきます。
国内初の経口中絶薬が承認へ
一方、国内初の経口中絶薬「メフィーゴパック」について、厚生労働省の専門部会が2023年1月27日、製造承認を了承しました。
イギリスの製薬会社ラインファーマが2021年12月、承認申請していたもの。妊娠9週までの初期中絶が対象になります。
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・医療過誤・医療ミス専門の弁護士による無料法律相談について、医療過誤の傾向と対策
外部リンク
・月経困難症治療剤ヤーズ配合錠を服用する患者・家族へ(PMDA)
・ヤーズ配合錠による血栓症について(日本病院薬剤師会)
・ヤーズ配合錠・添付文書
・いわゆる経口中絶薬「メフィーゴパック」の適正使用等について(厚生労働省)
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