全国広報担当者連絡会議を開催、継続性の求められる日弁連広報
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◆ 全国広報担当者連絡会議が開催
日弁連が10月28日、全国広報担当者連絡会議を開催しましたので、福岡県弁護士会の広報担当副会長として出席してきました。
全国の弁護士会からテレビ電話会議も含めると55名が参加。
先日、広報に力を注ぐ弁護士会(愛知・大阪・仙台・京都・福岡)が自主的に集って「大阪サミット」を開催しました。
大阪サミットは各会の取り組みを報告し、工夫を共有し、刺激し合える会合でした。
一方、今回の「全国広報担当者連絡会議」は日弁連が主催して、各弁護士会に正式に呼びかけたもの。どちらかというと日弁連の広報姿勢を説明する機会、という感じだったでしょうか。
◆ 広告代理店による講演
まず日弁連側から、今年度の広報活動、イメージCMや各種広報媒体の活用について報告。
その上で、日弁連のイメージCMを作成した広告代理店担当者が、「日弁連・弁護士会の広報活動について」という簡単な講演も行いました。
「関わりたくない=トラブルを抱えたくないというイメージは簡単には変わりません。つまり弁護士のイメージを変えてゆくことは容易ではありません」
「成長ではなく、安定・維持を前提とした消費時代を迎え、生活者と企業・行政やメディアが対当な関係で情報受発信する時代になっています」
「弁護士(日弁連)だけが情報発信しているのではなく、共感した第三者の発信、拡散を感じられる情報設計を行うべきでしょう」
「弁護士(日弁連)が生活者とつながり、対話できる場を知らしめ、語り合う姿勢を表明すべき」
といった話がありました。
その後、11月放映予定の日弁連イメージCMが流されましたが、予想より(?)はうまくまとめている感じでしょうか。11月から12月にかけては日弁連の露出が増えそうです。
◆ 温度差のかなりある各弁護士会
質疑応答を通じて感じたのは、各弁護士会によって広報に対する姿勢がかなり違うこと。
例えばこの日、学生時代に薬害肝炎九州訴訟を支援し、何度も福岡地裁に足を運んでくれていたK君に声をかけられてびっくりしました。
その後司法試験に合格したK君の所属する弁護士会は、保守的な風土を反映してか、いまだに「弁護士会はさほど広報しなくてよい」という姿勢とのこと。広報予算もあまりなく、HPからの情報発信もK君が地道に行っているということでした。
その意味で、今回の会議は、先進的な広報の工夫を共有しあった大阪サミットとはまた一つ異なった驚きがありました。
◆ 今後の日弁連の広報
ひるがえって現在の日弁連・山岸執行部は、情報発信に意を注ぐ姿勢を示しています。
前宇都宮会長がネットからの情報発信がほとんどなく、個人的にかなりがっかりさせられたことからすると、一定程度は評価していいと思います。
一方において、その姿勢が2014年度以降の新執行部にも引き継がれなければ、単発のものになり、全く意味がないと思います(山岸執行部もCMを打つなら2年目ではなく1年目にして欲しかったものです)。そして予算額はともかく、広報に力を注ぐ姿勢があるかは、新日弁連会長に求められる資質の一つでしょう。
その上で、空中戦によるイメージだけではなく、求められる論点(各種人権問題、法曹人口、法曹養成、法律相談センターの運営)において、汗を流した成果が目に見える形で生まれてくるのか(汗を流すのは当然ですから)。
そういった点も合わせて本当の評価が出るのはこれからになるのでしょう。