福岡地裁の労働審判件数が東京・大阪に次いで全国3位に
導入より順調に推移している労働審判。
そしてついに福岡地裁(本庁・小倉支部)に継続した労働審判が、東京・大阪についで全国3位になりました(平成24年度)。
全国の労働審判事件の新受件数は3719件。うち東京地裁が1053件、大阪地裁が353件、福岡地裁が289件と続いています。
福岡地裁の件数増加に寄与しているのは、何と言っても昨年10月に導入した「労働者側の無料法律相談」でしょう。
月20件程度だった労働相談が、無料化以来、月70件~80件と急増。
無料化前の1年間の統計をとったところ、年間相談件数は、2・92倍に、弁護士受任を前提とする継続件数は、3・61倍になっています。
労働審判法は平成16年5月、司法制度改革の一貫として公布され、平成18年4月に施行されました。
労働審判は、個別労働紛争であれば様々なものを取り扱います。例えば、時間外労働、解雇、セクハラ・パワハラなどですが、残業代請求事件が増加しているようです。
この労働審判の特徴は、裁判官(労働審判官)にくわえて、2名の民間の労働審判員が関与すること。労働者側、会社側から1名ずつ選任されますので、バランスの良い審理が行われます。
また原則として3回以内の期日を予定しているため、迅速な解決に結び付きやすいのも特徴です。
例えば、東京地裁における労働審判の平均審理期間は67日、第2回期日で終了するものが多く、平成24年は556件(77%)が第2回期日までに終了してます。
一方で、足して2で割るような解決を強要される、当事者の準備の負担が大きい、事前に十分な示談交渉をせずにギャンブルのような申立がなされる・・などの問題点も指摘されています。
負の面が吹き出している司法制度改革の中で、「労働審判」は数少ないヒット商品といえそうですが、各弁護士のレベルを上げていく必要もあるように思われます。
この点、福岡県弁護士会では、労働法制委員会が立ち上がって日々情報交換したり、研究会を通じてスキルアップを行っています。また労働問題について若手弁護士を対象とするゼミを実施する企画も持ち上がっています。
このような労働問題を扱う弁護士の取り組みも、福岡地裁における労働審判が増えている一因といえそうです。
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