医療過誤・医療ミス専門の弁護士による無料法律相談について 、医療過誤の傾向と対策
目次
医療過誤専門のWebsiteを開設
「自分の受けた治療は正しかったのでしょうか」、「子どもに残った後遺症は避けられなかったのでしょうか」、「父が亡くなったのは本当にやむを得なかったのでしょうか」・・・
福岡県を含め九州沖縄山口地区でも、そのような医療事故、医療過誤についての法律相談が増えています。
弁護士古賀克重は1995年に福岡県弁護士会に弁護士登録して以来、30年近く、医療ミス・医療過誤を専門分野として取り扱ってきました。
その経験をふまえて、医療過誤専門のWebsiteを開設しています。
「医療ミス・医療過誤・医療事故の法律相談」
具体的な解決事例の一部については、専門サイトの中で随時アップしていますのでご参照頂ければと思います。
ここでは医療過誤・医療ミスに関する法律相談のポイント、そしてその後の医療調査・損害賠償請求・医療過誤裁判の流れについてご説明します。
医療過誤・医療ミスの法律相談の準備
まず、医療事故にあった患者ないし家族が弁護士に相談する際には、以下の事前準備をしておくと的確なアドバイスを受けることができるでしょう。
経過を簡単にまとめる(日時・時間、症状、診断名、手術、検査の処置)
医療機関から受けた説明の内容を整理しておく
診療中に疑問に感じた点をまとめる
最後に弁護士に聞きたいことを書きとめる
最初の相談の時から余り事細かに完璧を目指して準備する必要はありません。
場合によってはまだ治療中であったり、これから医療機関の説明を聞く予定ということもあるでしょう。
できる範囲の情報を整理して相談にのぞめば問題はありません。
私の場合、相談をお聞きしながら、ある程度の医療文献や医療論文を検索できるシステムを導入していますので、最初の法律相談においてもある程度の医学的知見に基づいてアドバイスしています。
診療録(カルテ)の入手
また可能であれば、弁護士に法律相談する前に診療録(カルテ)を医療機関から入手しましょう。
20年数年前はカルテを入手するのも一苦労。必ず裁判所に証拠保全手続きを行っていました。しかし最近ではカルテ開示手続が浸透していますから、医療機関の医事課など対応窓口に尋ね、定型書式で開示を申し込んでください。
診療録(カルテ)を入手する場合には、画像含めたすべてのものを取り付けることも大事です(必ず全てが必要になりますから二度手間になります)。
もちろんカルテ開示の場合には医療機関による「加筆・訂正」、場合によっては「偽造の恐れ」という問題は残ります。しかし大半の医療機関はそのような行為は行いません。
当初からの対応に疑問がある、カルテ開示に拒否反応を示しているなど徴候がうかがえる場合には、弁護士に相談して証拠保全手続きを取ったほうが良いケースもあります(最近担当した福岡地裁に申し立てた証拠保全手続きは、介護事故でした。介護施設が遺族に対して任意の資料開示をしないケースだったため実施しました)。
弁護士による医療調査とは(第1ステップ)
法律相談だけで結論が出ない場合は、弁護士に対して医療調査を依頼することになります。
医療過誤事件として、つまり医療機関に過失(注意義務違反)があるとして、損害賠償請求できるか否かは、カルテを精査し、医療文献・過去の裁判例を調べるとともに、必要に応じて当該医療機関からの聴き取り、さらに協力してくれる第三者の医師からのアドバイスを受けるなどの「医療調査」が必須になります。
医療過誤事件は被害が大きいため、請求金額もえてして高額になります。請求金額が高額ということは弁護士費用も高額になりかねません(弁護士費用は、請求金額=経済的利益として算出しますから、一般的には比例します)。
そこで一定の調査を事前に実施する医療調査として受任すれば、患者・家族の経済的負担は少なく済みますし、医療調査の結果、医療機関に問題がないことが分かることもあります。
そこでまずは「医療調査」から実施するのが、患者側として医療過誤を専門に取り扱う弁護士の通常のスタイルになります。
医療調査が終了すると、調査結果について医療文献、判例などとともにご説明します。そして最終的には患者さん・ご家族に医療機関に損害を請求するのか否かを判断して頂くことになるわけです。
ただし、医療機関の責任が明白であったり、医療機関側も損害賠償に応じる意向を示しているような場合は、損害額のみが争点になりますから、損害賠償請求事件として当初から受任することになります。
弁護士による損害賠償請求・示談交渉とは(第2ステップ)
医療調査によって患者・家族が納得して終了することもあります。
医療機関の治療に問題がありそうだ、ということになると損害賠償請求事件(示談交渉事件)として改めて受任した上で、損害賠償請求書・示談の申入書を相手方病院に対して送付して、示談交渉することになります。
損害賠償請求をした結果、医療機関が責任を認めて示談に応じるケース、医療機関が責任を否定して示談に応じないケースが考えられます。
時間的には相手方病院の審査(医師会や保険会社)が半年ほどかかることが多いようです(ただし、ケースバイケースで3か月程度で回答があったこともあれば、追加資料の提出を求められ、6か月から1年ほどかかったこともあります)。
医療過誤裁判の提起(第3ステップ)
前述の通り、医療機関が責任を否定して示談に応じないこともあります。示談に応じない場合には、損害賠償請求による示談交渉は終了します(報酬は発生しませんが、支払済みの着手金は返還されません。だからこそ第2ステップに進むからは第1ステップ終了時点でじっくりとお考え頂く必要があります)。
さらに損害賠償請求を継続する場合は、訴訟を提起するしかありませんが、事件の見込み・費用・時間等を勘案の上、ご検討頂くことになっていきます。
具体的には医療機関の無責の理由について改めて医学的・法律的に検討して、反論できるかを検討することになります。
医療過誤の裁判は、平成11年度は678件でしたが、その後平成15年には初めて1000件を越え、平成16年には過去最高の1110件を記録しました。その後は、減少傾向に転じて平成20年は877件です(最高裁調べ)。
また、その審理期間は、平成11年には34・5か月と3年近くかかっていましたが、平成20年には24か月(2年)と確実にスピードアップしています。
専門訴訟の一つとして最高裁が正面から取り組む姿勢を見せたこと、患者側弁護士も専門家としてのスキルアップの努力を行い、全体的にレベルアップしていることなどがうまく作用したといえます。
ただし医療過誤訴訟の勝訴率は下がり続けており、今では2割を切りますので、通常の一般民事事件に比較して困難な分野であることには間違いありません。
患者・家族として納得するために
医療相談で終わるにせよ、医療調査で終わるにせよ、損害賠償請求するにせよ、そして医療過誤訴訟を提起するにしろ、患者さん・ご家族が納得して意思決定していくことが何よりも必要です。
患者側弁護士としてお手伝いするのは、もちろん医療過誤と評価できるケースにおいて適切に被害回復を図ったいくことにあります。それに加えてご一緒に直面した医療事故に対して向き合っていくことを支援するという側面もあるのです。
医療機関の過失を問わず、医療事故に直面した患者・家族は本当に苦しみます。
その苦しみを乗り越えるお手伝いすることが患者側弁護士の使命の一つだと思います。
ご注意頂きたいこと
古賀克重法律事務所では医療事故で苦しまれている患者さん・ご家族とともに多数の事件を解決してきました。今もお付き合いのあるご家族も少なくありません。
医療事故は患者・家族の予期せぬ結果が発生しているわけですから、「医療機関の責任追及は難しいです」と聞いても納得できないお気持ちがあるのは皆さん同じです。
ですが、「過失」「因果関係」「損害」を患者側が立証できなければ、どこまで手続きを行っても同じ結果になります。そのために厳しい見通しであることを、率直にお伝えするのも患者側弁護士の役割になります。
患者・ご家族としても医療調査や損害賠償請求手続きを通じて、事案の理解を深めていき、限界は限界として理解して、場合によっては乗り越えていく作業が必要になります。
経験上、以下のような方は、当事務所ではご納得いただけないと思いますので、受任をお断りすることもありますのであらかじめご了承ください。
「負けてもいいから、医者や医者を苦しめるために裁判してほしい」
「負けてもいいから、インターネットで文句を言いたい」
「裁判して記者会見して病院の評判さえ落とせば満足だから負けてもいいです」
「勝っても負けてもいいし、お金はいくらかかってもいいから裁判してほしい」
「医療調査で責任追及難しいと言われても納得できない、それならばお金を返してほしい」
「古賀弁護士に全てをお任せします。信頼してます。私は何もしませんが全てお願いします」
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