古賀克重法律事務所ブログ

福岡県弁護士会所属弁護士 古賀克重(こが かつしげ)の活動ブログです。

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産科医療補償制度の現状と展望~第34回医療問題弁護団全国交流集会

医療問題弁護団・研究会の第34回全国交流集会が2012年11月9日、福岡にて開催されました。

「全国交流集会」は、患者側で医療過誤訴訟や医療問題に関わる弁護士の経験を交流し、スキルアップを目的とするもの。今回は、全国から170名近い患者側弁護士が福岡に集いました。薬害エイズ東京弁護団の先輩弁護士、薬害肝炎東京弁護団の主要メンバーの顔もちらほら。あちこちで挨拶が飛び交っています。

初日のテーマは、「産科医療補償制度」の現状と展望について。
まず、産科医療補償制度原因分析委員会の第2部会長である佐藤昌司医師による基調講演が行われました。佐藤医師は、非常に分かりやすい語り口で、産科主治医、部会レポーター、そして部会長と3つの視点から分かりやい講演をして頂きました。

産科医療補償制度の現状と展望~第34回医療問題弁護団全国交流集会

続いて、九州山口医療問題研究会の有志による報告が行われます。
産科医療補償制度は、補償対象と認定された重度脳性麻痺の全事例について、医師・助産師・弁護士等からなる第三者委員会が、原因分析を行うとともに、同種事例の再発防止に向けた提言を行うことになっています。

そこで同研究会は、平成22年から平成24年途中までの125例について、全文版の開示を受けて検討を実施。

右検討をふまえて、「原因分析報告書に現れた分娩監視上の問題点」、「原因分析報告書における子宮収縮薬の使用事例についての分析」、「ACOG基準と産科医療補償制度」、「臍帯脱出による脳性麻痺の再発防止に向けて」という4テーマについて報告しました。

産科医療補償制度の現状と展望~第34回医療問題弁護団全国交流集会

そして、佐藤医師、産科医療補償制度原因分析委員会・再発防止委員会委員の隈本邦彦氏(江戸川大学メディアコミュニケーション学部教授)、原因分析委員会委員の豊田郁子氏(新葛飾病院医療安全対策室)、同委員の増田聖子弁護士(患者側弁護士)、同委員の水澤亜紀子弁護士(医療機関側弁護士)によるパネルディスカッションが行われました。

皆さん、実際に産科医療補償制度の委員会に関わっているため、「個人的見解」と断りつつも、率直な意見が飛び交いました。

「結果回避可能性については本文には入れないことになっているが、文脈を読めば、自ずと理解できるはずである」、
「全例を集積することによって有益な分析ができている。患者だけではなく病院に対するフィードバックは工夫の余地があるのではないか」、
「可能であれば、患者・病院の双方に対して、直接説明したいと思っている」、

そして、パネラーの方々の「この制度をより育てていけば、回避可能と思われる脳性麻痺事案の減少には必ずつながるはずである」という力強い締めの言葉が印象的でした。

今回の全国交流集会は20年ぶりに福岡開催したもの。九州山口医療問題研究会の若手弁護士が中心となって準備しました。設営、資料準備、当日の割り振りなどスムーズでとても頼もしく思えた初日の交流集会でした。

投稿者プロフィール

弁護士 古賀克重
弁護士 古賀克重弁護士
弁護士古賀克重です。1995年に弁護士登録以来、患者側として医療過誤を取り扱っています。薬害C型肝炎訴訟の弁護団事務局長として2008年の全面解決を勝ち取りました。交通事故も幅広く手掛けており、取扱った裁判が多数の判例集で紹介されています。ブログではその主たる取扱い分野である医療過誤・交通事故について、有益な情報を提供しています。

弁護士 古賀克重

弁護士古賀克重です。1995年に弁護士登録以来、患者側として医療過誤を取り扱っています。薬害C型肝炎訴訟の弁護団事務局長として2008年の全面解決を勝ち取りました。交通事故も幅広く手掛けており、取扱った裁判が多数の判例集で紹介されています。ブログではその主たる取扱い分野である医療過誤・交通事故について、有益な情報を提供しています。