路上寝の交通事故死が後絶たず、全国で年100人が死亡
目次
路上寝による交通事故死が多発
車道上で寝込んでしまい車にひかれる交通事故が後を絶ちません。
多くは夜間に発生して、死者は毎年100人前後で推移しています。2023年の事故は7割が飲酒後でした。
しかも、路上寝込みによる事故の致死率は極めて高くなっています。
警視庁交通総務課によると、23年に都内で飲酒後に路上に寝込んで起きた事故の致死率は32%にも達しています。
全国32都道府県のタクシー協会も、路上に寝込んでいる人を見つけた場合には、通報して保護するという協定を確知警察と結ぶなど対策を進めています。
路上寝込みは重大な事故につながるケースがあると、各地警察は、年末年始を前に注意を呼び掛けています。
路上寝の場合の過失割合
歩行者が酒に酔う等して道路上に寝てしまって、通行する車両と衝突した場合の民事の過失割合はどうなるのでしょうか。
昼間の場合は歩行者の基本過失30%、夜間の場合は歩行者の基本過失50%と考えられています(別冊判例タイムズなど)。
昼間と夜間で基本割合に大きな差が設けられた理由は、夜間は車からの発見・回避が遅れて事故が発生しやすいからになります。
なお路上横臥者のみならず、四つんばいになっている者や、座り込んでいる者も同様ですから、同じ基準が妥当します。
民事裁判例も比較的多く、様々な事故態様に応じて基本過失が修正される等した裁判例が見受けられます。
警察庁によると路上寝込みによる事故の死者は新型コロナウイルス禍で一時減少したが、23年は107人が死亡した。うち9割は夜間の事故で、全体の7割にあたる77人が飲酒後だった。
事故現場は自宅の付近が目立つという。警察幹部は「自宅が近づき気が緩んで寝てしまう事例が少なくない。普段より多く飲酒する場合には家族に迎えに来てもらうなど安全な帰宅方法を事前に考えておく必要がある」と呼びかける(12月26日付日経新聞)
関連記事
横断歩道で車両に衝突され死亡した女子大学生の死亡慰謝料2800万円