自転車の「ながら運転」、酒気帯び運転に罰則、改正道路交通法が令和6年11月1日に施行
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令和6年改正道路交通法が成立
自転車のいわゆるながら運転や酒気帯び運転に罰則を定めた改正道路交通法が2024年5月17日、参議院本会議で可決・成立しました。
令和6年道交法改正の理由は、「最近における道路交通をめぐる情勢等に鑑み、自転車等の交通事故の防止等のため、自転車の運転中における携帯電話使用等の禁止、自転車等の運転者による一定の違反行為の反則行為への追加等の措置を講ずる必要がある」というものです。
令和5年の自転車関連事故は7万339件に達しています。
うち自転車が加害者であるケースは1万7607件、自転車が被害者になるケースは5万4732件になっています。
つまり、改正道路交通法は、自転車が関係する交通事故が増加傾向にある中、スマートフォンを見ながらの運転や酒気帯び運転に罰則を設けて、事故防止を図っていこうというものになります。
携帯電話使用等の禁止(ながらスマホ禁止)
携帯電話使用等の禁止は、いわゆるスマートフォンを見ながら自転車を運転すること等を禁止するものです。6月以下の懲役または10万円以下の罰金になります。令和6年11月1日から施行されます。
自転車を運転する場合においては、当該自転車が停止しているときを除き、携帯電話用装置等を通話のために使用し、又は当該自転車に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置に表示された画像を注視してはならないこととする。
平成26年から令和5年までの10年間において、携帯電話使用中の事故は836件発生しています。うちスマホ等の画像を注視していたケースが749件となり、89・6%を占めています。
国会審議でも、フードデリバリーの自転車運転中に地図を見ながら走行するなど危険な運転の問題点が取り上げられています。このように社会問題化していた事故類型について、道路交通法を改正したものになります。
自転車の酒気帯び運転に罰則を導入
さらに、これまで罰則の対象外だった自転車での酒気帯び運転及びほう助について罰則を創設しました。3年以下の懲役、または50万円以下の罰金になります。
こちらも令和6年11月1日から施行されます。
道路交通法65条が、「何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない」と定めています。そして自転車も「軽車両」になります。
ですから自転車の「酒気帯び運転」はこれまでも禁止されていたわけですが、罰則については対象外でした。今回の改正は、令和6年11月から、自転車の酒気帯び運転についても罰則の対象に広げたものになります。
なお酩酊状態などの「酒酔い運転」については、これまで通り、罰則が適用されます(5年以下の懲役、100万円以下の罰金)。
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