シンポジウム「肝炎患者のおかれた状況について考える」を全国で開催、肝炎患者の偏見・差別について
目次
肝炎対策基本指針の改定を受けた厚労省研究班の流れ
国の肝炎対策基本指針は平成28年(2013年)に改訂されました。
改訂した基本指針は、肝炎患者に対し不当な差別が生じることのないよう、正しい知識を身に付け、適切な対応に努めることを明記しています。
これを受け、厚生労働省の肝炎等克服政策研究事業として、平成29年度から3年間、「肝炎ウイルス感染者の偏見や差別による被害防止への効果的な手法の確立に関する研究」班が組織され、研究が実施されました。
同研究を引き継ぐ形で、令和2年度から「ソーシャルメディア等を活用した肝炎ウイルス感染者の偏見差別の解消を目指した研究」(研究代表者:八橋弘)班が組織され研究が実施されました。
様々な生活の場における肝炎ウイルス感染者の人権への望ましい配慮に関する研究とは
そして、令和5年度からは、『様々な生活の場における肝炎ウイルス感染者の人権への望ましい配慮に関する研究』班(研究代表者:八橋弘)が発足しています。
研究班は、医師、患者、弁護士、マスコミ関係者で構成されています。薬害肝炎全国原告団からも代表の及川綾子さんが参加しています。
研究代表者 八橋弘(国立病院機構長崎医療センター名誉院長)
研究分担者 四柳宏(東京大学医科学研究所 教授)
米澤敦子(東京肝臓友の会 事務局長)
中島康之(全国B型肝炎訴訟大阪弁護団 弁護士)
梁井朱美(全国B型肝炎訴訟九州原告団)
及川綾子(薬害肝炎全国原告団)
浅井文和(日本医学ジャーナリスト協会会長)
是永匡紹(国立国際医療研究センター 肝炎情報センター 肝疾患研修室長)
磯田広史(佐賀大学医学部附属病院 肝疾患センター助教)
研究班は、肝炎患者に対する今なお多く存在する差別偏見を解消するためには、肝炎という病気、感染経路や感染リスクについて、多くの一般市民のみならず医療従事者にも正しく知ってもらう必要があると考えているということ。
そして、肝炎患者が差別偏見について気軽に相談ができる仕組みの必要性を指摘しています。
C型肝炎・感染症に対する差別・偏見の実例
同研究班に寄せられた差別・偏見事例としては、以下のようなものがあります。まだまだ知識・情報がいきわたっていないことを痛感します。
「歯科でC型肝炎と伝えると、仮詰めだけして、次の予約をずっと先にさせられた。来てほしくないんだなと思い、大学病院で診てもらうことにした。個室で医師は防護服を着ての診察で、それは仕方ないと思っていたが、SVRを伝えた後も状況はまったく変わらなかった」(回答はこちら)
「以前から施設に入居している子供がC型肝炎で、現在ウイルス排除に成功して2年経過した。治療前から入浴も食器も別にされていたが、今もその対応が続いている」(回答はこちら)
薬害肝炎全国原告団が事務所を探している際にも、候補物件のテナント歯科医院から大家に対して、「患者が不安に思う可能性があるから入居させないで欲しい」と言われて、物件を借りれなかったことがありました。
本来、C型肝炎・感染症に関して十分な知識があるべき歯科医院でさえ、その程度の認識のところがまだまだ存在するのです。
シンポジウム「肝炎患者のおかれた状況について考える」を開催
研究班は、各研究とともに、サイトを公開しています。また毎年、各地でのシンポジウムも開催しています。
2023年8月26日には長野県松本市で、2023年12月10日には秋田県秋田市で、2024年8月24日には静岡にてシンポジウムを開催してきました。
そして、2024年12月14日には、松山市において、公開シンポジウム「肝炎患者のおかれた状況について考える」を開催しました。

前記の正しい知識を広げていくために、今回、一般市民、肝炎患者、医療従事者を対象としてシンポジウムを企画したもの。
薬害肝炎全国原告団代表の及川さんもパネリストとして参加しました。
開催日時・場所 2024年12月14日(土)12時30分~15時 TKP松山市駅前カンファレンスセンター ホール2D
【開会挨拶】 八橋 弘(研究班代表 長崎医療センター名誉院長)
〔司会〕 四柳 宏(東京大学医科学研究所教授)
〈研究班報告〉八橋 弘
〈偏見や差別に関する相談事例の紹介〉米澤 敦子(東京肝臓友の会)【パネルディスカッション(後半)】
〈パネリスト〉八橋 弘、四柳 宏、浅井 文和、米澤 敦子、梁井 朱美(全国B型肝炎訴訟九州原告団)、及川 綾子、中島 康之、是永 匡紹(肝炎情報センター 肝疾患研修室長)、磯田 広史(佐賀大学医学部附属病院 肝疾患センター 副センター長)
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