第60回日本肝臓学会総会が熊本で開催、患者も参加し肝炎医療コーディネーターの取組を報告
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第60回日本肝臓学会総会が熊本で開催
第60回日本肝臓学会総会(会長田中靖人)が2024年6月13日から14日まで、「A Better Liver, A Better Life!~栄光の架橋2024~」をテーマに開催されました。
熊本での総会開催は2015年以来、そして2019年に完成した「熊本城ホール」が会場になりました。
なお来年の日本肝臓学会総会は東京開催が予定されています。
学会事務局によりますと、患者参加登録者は約60名であり、薬害肝炎原告団からも肝炎患者として参加しました。
多彩なプログラム
多彩なプログラムが用意されていましたが、例えば、特別講演3では、薬害肝炎解決2周年集会において医療講演会を行ってくださった榎本信幸医師(山梨大学消化器内科)の司会により、「新興・再興感染症との戦いの過去・現在・未来と日本のサイエンス」(満屋裕明 国立国際医療研究センター研究所)が行われました。
特別企画(肝がんゼロを目指した肝炎等克服政策研究の成果)
専門演題の他に、特別企画も複数行われました。
そのうち特別企画3では、長崎医療センター臨床研究センター肝臓内科の八橋弘医師らの司会で、「肝がんゼロを目指した肝炎等克服政策研究の成果(疫学,検査,連携,人材育成,人権,政策)」が行われました。
このセッションでは、東京肝臓友の会の米澤 敦子さんが、「様々な生活の場における肝炎ウイルス感染者の人権への望ましい配慮に関する研究班の活動報告」を行いました。
特別企画(肝炎医療コーディネーターのスキルアップを考える)
特別企画4では、「肝炎医療コーディネーターのスキルアップを考える~HCVが制御可能となった今~」として、兵庫医科大学の飯島尋子先生による基調講演があり、先進的に取り組まれている兵庫モデルについてお話がありました。
このセッションの第16演題「全国の肝炎医療コーディネーター養成研修会における患者会や患者団体の参加状況と養成研修会での先進的な取り組みに関して」では東京肝臓友の会の米澤敦子氏が報告。
薬害肝炎全国原告団の代表でもあり、患者会活動も行う及川綾子さんも、患者肝炎医療コーディネーターの取り組みの一環として、日常から取り組んでいる薬害講義の内容や、視聴された学生さんの感想などを、短い時間に凝縮されてスピーチしました。
会場は65名の部屋でしたが、席が足りず、立ち見や部屋の外での傍聴も多く、100名ほどの参加があるなど大盛況でした。
参加した薬害肝炎原告からは、「コーディネーター関連のセッションでは、工夫を凝らした様々な取り組みについて報告があり、中でも多職種連携にて取り組みを行っている事例報告があり、このような取り組みが全国に展開されればと思いました」という感想が寄せられています。
医療の学会は当然、専門的知見に基づく専門的な内容になります。その学会に患者が登壇して、自らの取り組みを発表して関係者と共有することは、ある意味画期的なことだと思います。
各地で日ごろから専門医医療講演会が行われたり、専門医とともに患者会活動が行われている肝臓分野ならではの取組の成果だと言えるでしょう。
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関連情報
一般社団法人日本肝臓学会
肝炎医療コーディネーターについて(厚生労働省)
肝炎医療コーディネーターマニュアル
薬害肝炎全国原告団