古賀克重法律事務所ブログ

福岡県弁護士会所属弁護士 古賀克重(こが かつしげ)の活動ブログです。

電動キックボードで歩道を飲酒運転、福岡の大学院生を逮捕「大学でワインを4、5杯飲んだ」

電動キックボードを飲酒運転して大学院生を逮捕

 2024年6月13日午前1時半すぎ、大学院生の男性は、福岡市中央区唐人町の歩道を電動キックボードで通行。

 見かけた警察官が停車させたところ酒の臭いがし、基準値を超えるアルコールが検出され逮捕しました。

 男性は「大学で、仲間とワインを4~5杯飲んだ」などと話し、容疑を認めています。

電動キックボードとは

 電動キックボード(Electric Kick Scooter)の歴史は世界的に浅く、2018年頃からヨーロッパでまず普及が進みました。
 電動キックボードの発祥は、人力のキックボードです。子供のおもちゃとして1920年頃から発展してきました。

 電動キックボードが注目を集めたのはヨーロッパの観光地におけるシェアサービス。
 利用者が増え、その利便性とともに世界各国に広がっていきました。

 ただ注意すべきは電動キックボードのレンタルを禁止する動きもあること。例えば、パリでは住民投票を経て2023年9月1日から全面禁止になっています。

電動キックボートと道路交通法改正

電動キックボードの規制のポイント

 電動キックボードの法的な規制もヨーロッパで進みました。
 規制のポイントは、免許の有無、年齢、制限速度、走行場所、必要な装備などになります。
 各国によって細かな違いがあります。

道路交通法改正による電動キックボードの規制

 日本では2023年(令和5年)7月1日施行の道路交通法一部改正によって、電動キックボードの交通方法について規定が新設されました。

 まず、車体の大きさや構造が一定の基準に該当する電動キックボードについて「特定小型原動機付自転車」と規定されました。
 なお従来の原動機付自転車は、「一般原動機付自転車」に名称変更されています。

 次に、運転可能な主体についてです。
 運転免許は不要ですが、運転可能な者は16歳以上になりました。
 乗車用ヘルメット着用は努力義務にとどまっています。

 通行可能場所についてです。
 歩道・路側帯と車道の区別がある道路では、車道を通行することが原則です。車道では左側端に寄って通行しなければいけません。

電動キックボードの歩道通行は許されるか

 電動キックボードは、原則、車道を通行することが求められており、歩道を通行することはできません。

 例外的に、一定の基準を満たす電動キックボードは、「歩道通行可」と示す標識や標示のある歩道であれば通行することができます。

 一定の基準とは、歩道を通行する間、最高速度標示を点滅させること、その際、車体の構造上、時速6キロを超える速度を出せないものであること等になります。

 そして例外的に歩道を通行できるときにも、中央から車道寄りの部分を徐行すること、歩行者の通行を妨げそうなときは一時停止することが求められてます。

電動キックボードによる交通事故

 電動キックボードによる重大な事故は後を絶ちません。
 例えばパリでは2021年6月、電動キックボードに衝突された歩行者が死亡するという事故も発生しています。

 日本では、2023年7月の道路交通法改正から同年12月末までの半年間で、電動キックボードの交通違反は、全国で7130件に達するなど問題になっています。
 違反内容としては、通路区分違反、信号無視、一時不停止、酒気帯び運転などです。

 最近、自転車による交通事故が増加しており、相談や訴訟も増えています。電動キックボードも自転車以上に重大な事故を発生させる恐れがありますので、注意が必要になります。

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関連情報

特定小型原動機付自転車に関する交通ルール等について(警察庁)
電動キックボードに関する交通ルールを確認しましょう(政府広報オンライン)
特定小型原動機付自転車の交通ルールについて(福岡市)

投稿者プロフィール

弁護士 古賀克重
弁護士 古賀克重弁護士
弁護士古賀克重です。1995年に弁護士登録以来、患者側として医療過誤を取り扱っています。薬害C型肝炎訴訟の弁護団事務局長として2008年の全面解決を勝ち取りました。交通事故も幅広く手掛けており、取扱った裁判が多数の判例集で紹介されています。ブログではその主たる取扱い分野である医療過誤・交通事故について、有益な情報を提供しています。

弁護士 古賀克重

弁護士古賀克重です。1995年に弁護士登録以来、患者側として医療過誤を取り扱っています。薬害C型肝炎訴訟の弁護団事務局長として2008年の全面解決を勝ち取りました。交通事故も幅広く手掛けており、取扱った裁判が多数の判例集で紹介されています。ブログではその主たる取扱い分野である医療過誤・交通事故について、有益な情報を提供しています。