加温加湿器との併用による人工鼻の閉塞が5件報告、医療安全情報210号
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加温加湿器との併用による人工鼻の閉塞が5件報告
公益財団法人日本医療機能評価機構が、「医療安全情報」210号・20123年5月号を公表しました。
人工呼吸器を使用中に、加温加湿器と併用したことによって人工鼻が結露で閉塞し、換気困難になった事例が5件報告されています(集計期間:2019年1月1日~2024年3月31日)。
気管挿管や気管切開によって、患者が鼻を通さずに呼吸している場合、吸入気が外界の気温・湿度に近くなるため、気道内の環境が非生理的になって障害されやすくなります。
そのため長期にわたる場合は、「人工鼻フィルター(heat and moisture exchange filter)」や「加温加湿器」による積極的な加湿療法が適用となります。
一方において、人工鼻と加温加湿器の併用は禁忌とされています。
人口鼻は患者の呼気に含まれる熱と水分を補足することで、適切な湿潤環境を保持しています。それにもかかわらず、さらに加温加湿器で加湿してしまうと、過度な加湿になってしまうからです。
医療事故の背景としては、医療従事者が併用禁忌を認識していなかったことがあげられます。
また加温加湿器を使用する際に、人工鼻が装着されていることに気付かなかったケースもありました。
さらに人工鼻装着の患者に対して人工呼吸器回路を接続する際、加温加湿器も接続されていることに気付かなかったケースもあります。
1つめの事例
1つ目の事例は以下の通りです。
患者は、夜間のみ人工呼吸器を装着し、人工鼻を使用していました。
痰の粘稠度が高くなったため加温加湿器を接続した際、人工鼻が併用禁忌と知らず、外さなかったものです。
2日後、患者のEtCO2が50~60mmHg台に上昇したため、人工呼吸器回路を確認したところ、人工鼻が結露で閉塞していたことが判明したものです。
2つめの事例
2つ目の事例は、以下の通りです。
患者は、自宅で在宅用の人工呼吸器に加温加湿器を付けて使用していました。
入院のための搬送時、加温加湿器が外され人工鼻が装着されていました。入院後、家族が持参した加温加湿器を看護師が装着しましたが、この際、人工鼻が装着されていることに気付かなかったものです。
その後、看護師が人工呼吸器チェックリストに基づきチェックした際に、人工鼻を装着したまま加温加湿器を使用していたことに気付いたというものです。
再発防止のために求められること
事故が発生した医療機関では、人工鼻と加温加湿器は併用禁忌であることを周知すること、そして患者に加温加湿器の付いた人工呼吸器を装着する際、人工鼻が装着されていないことを確認することが取り組まれています。
人口呼吸における設定ミス、機器不全は患者に対して重大な後遺障害を与えかねませんので、基本的かつ重要な事例報告になっています。
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