吹田徳洲会病院がB型の患者にA型血液を誤って輸血し3日後に患者死亡、大阪地裁で500万円の和解成立
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医療法人徳洲会が500万円で訴訟上の和解
吹田徳洲会病院がB型の患者にA型血液を誤って輸血し、患者が3日後に死亡した医療事故について、2023年4月5日までに、大阪地裁で500万円の和解が成立しました。
病院側は血液型不適合輸血(異型輸血)と死亡という結果との間の因果関係は争っていたようです。和解金額は相当因果関係を前提とせずに、相当程度の可能性侵害による慰謝料認定とも思われます(なお具体的な事情、当事者の主張、裁判過程が不明ですのであくまで推認になります)。
血液型不適合輸血とは
ABO型不適合輸血は、赤血球製剤の不適合(major mismatch)で発生します。最も重要な輸血副作用とされています。
具体的には、O型の患者にO型以外の赤血球製剤を、A型の患者にB型あるいはAB型の赤血球製剤を、B型の患者にA型あるいはAB型の赤血球製剤を輸血した際に生じます。
輸血した不適合赤血球が患者の血漿中の赤血球抗体と結合し、血管内溶血を引き起こしたり、サイトカインが産出され,播種性血管内凝固症候群(DIC)・血圧低下・腎不全を引き起こします。
症状は、輸血開始後5〜15分ほどで発症し、発疹・悪寒・嘔吐・呼吸困難・血圧・頻脈・出血傾向などが認められます。
治療としては、腎不全への対処(即時対応、乏尿期対応、利尿期対応)、DICへの対処が主となります。
類似・同種の医療事故
公益財団法人日本医療機能評価機構が公表している医療安全情報でも、血液型不適合輸血については度々報告されています。
その中には患者取り違え、すなわち患者Aに予定していた輸血を、患者Bに投与した結果、血液型不適合輸血を引き起こした例も少なからずあります。
原因の一つとしては、照合に用いる認証システムを使用しなかったり、または不適切に使用したことが指摘されています。
裁判例
血液型不適合輸血によって患者に重大な障害が残ったケースは訴訟前に示談しているものも多いようであり、裁判例自体は多くありません。
例えば、岡山地裁昭和63年3月22日判決は、開腹手術に際し血液型不適合輸血をしたケースについて、患者の死亡との間の相当因果関係は認めませんでしたが、不適合輸血という不可全履行に対する損害として慰謝料400万円を認定しています。
2017年に血液型B型の女性=当時(67)=の手術でA型の血液を誤って輸血し死亡させたとして、夫ら遺族3人が施術した吹田徳洲会病院(大阪府吹田市)の担当医師らと雇用元の医療法人徳洲会(大阪市)に計約9500万円の損害賠償を求めた訴訟が、5日までに大阪地裁で和解した。病院側がミスを謝罪し、解決金500万円を支払う内容。
和解は3月28日付。病院側は血液管理マニュアルを見直し、輸血対象者の氏名のダブルチェックを徹底するなどの再発防止策を取るとしている。
訴状などによると、17年10月、大阪府内に住む女性が自転車で移動中に路上で倒れて病院に救急搬送され、胸部に大動脈解離が見つかった。同病院に転院し手術を受けた際、看護師が医師に他の患者用のA型血液を誤って渡し、280ミリリットルを輸血された後、容体が悪化し、3日後に死亡した。病院側は輸血ミスを公表したが、「死亡との因果関係はない」と説明していた。事故当時の運営法人だった沖縄徳洲会は21年に徳洲会に合併された。
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