民法成年年齢の引下げ最終報告書
民法の成年年齢の引下げについての最終報告書(第2次案)が、法務省サイトにアップされました。
最終報告書を取りまとめる15回会議で配布された資料ですので、若干内容は変わるかもしれませんが、大枠はこれで分かります。25頁(末尾参考資料等をいれると39頁)ありますが、わかりやすい内容にまとまっています。
先日のエントリーで指摘した「他の法令への波及」という問題点については、次のように注釈で指摘しています。
なお、部会では、民法の成年年齢の引下げのみの検討を行い、その他の法令(未成年者飲酒禁止法、少年法等)については、年齢条項の見直しに関する検討委員会の決定に沿って、それぞれの法令を所管する府省庁・部局において検討が行われることと考えている。したがって、部会においては、民法の成年年齢の引下げがその他の法令に及ぼす影響については検討の対象としておらず、ここでいう民法の成年年齢の引下げは、未成年者飲酒禁止法や少年法等の年齢の引下げを含意するものではない(注2、3頁)。
「他の法令への波及効果」が、民法成年年齢引下げ議論に後ろ向きの影響を与えないように、慎重な書きぶりで予防線を張っていますが、国会等で審議される際には、他の法令に波及させるか否かは検討せざるを得ないでしょうし、事実上、議論を引き起こしますので注意が必要です。
18歳・19歳を成人として取引対象にすることによって拡大しかねない消費者被害対策としては、以下のように指摘しています。
ア 若年者の社会的経験の乏しさにつけ込んで取引等が行われないよう、取引の類型や若年者の特性(就労の有無、収入の有無等)に応じて、事業者に重い説明義務を課したり、事業者による取引の勧誘を制限する、イ 若年者の社会的経験の乏しさによる判断力の不足に乗じて取引が行われた場合には、契約を取り消すことができるようにする ウ 若年者が消費者被害にあった場合に気軽に相談できる若年者専用の相談窓口を消費生活センターに設ける エ 18歳、19歳の者には契約の取消権がないということを18歳、19歳の者に自覚させるような広報活動をする オ 特定商取引に関する法律7条3号、特定商取引に関する法律施行規則7条2号では、老人その他の者の判断力の不足に乗じて一定の取引をした場合には、主務大臣が販売業者に対して、必要な措置を指示することができる旨の規定が置かれているが、ここに「若年者」を付け加えるなどの意見がだされた(16頁17頁)。
ウ、エなどは、消費者3大被害者層(若年、高齢者、主婦)に共通な施策ですし、そもそもあまり実効性はないと思われます。
実務的なポイントは、イの規定内容になるでしょうか。
目次