薬害肝炎全国弁護団が全国一斉提訴、救済法期限1月15日を間近に迎えて
目次
迫る薬害肝炎被害の提訴期限
薬害肝炎全国弁護団は、2002年から2007年まで福岡地裁・大阪地裁・東京地裁・名古屋地裁・仙台地裁の5地裁にて国・製薬企業の責任を追及し、5地裁判決を得ました。
それを受けて2007年12月に当時の福田総理の政治決断を引き出し、そして2008年1月16日の薬害肝炎救済法(特別措置法)が公布・施行されて、全面解決への道筋が整いました。
その後、5弁護団の支部として、静岡、横浜、広島、島根、鳥取、岡山、奈良、香川、山口の各地裁を合わせた合計14地裁に追加提訴を継続してます。
薬害肝炎全国弁護団は鋭意追加提訴を継続してきましたが、いま診療録(カルテ)が保存されているにもかかわらず、調査を終えておらず被害者に投与の事実を告知していない医療機関が多数あります。
薬害肝炎全国原弁の要請を受けて、厚生労働省が特に政府系医療機関を中心に訪問して調査を即していますが、調査は遅々として進んでいません。
例えば、平成29年7月24日の厚労大臣協議の回答では、549の医療機関が確認作業を実施していないことが判明しています。
一方、薬害肝炎救済法では、施行された平成20年1月16日から起算して5年を経過する前に、訴訟を提起することが必要でした。
5年を迎えるところで、薬害肝炎全国原弁が延長を求めた結果、救済法は2012年9月14日に改正されて、「10年」に延長されました。
この一度延長された10年の期限が来年2018年1月15日に迫ったため、薬害肝炎全国原弁はさらに延長を求めているものです。
つまり今の法律のままでは、来年1月15日までに提訴しないと薬害肝炎の被害者であっても救済対象外とされてしまうのです。
薬害肝炎全国原弁は国会に対して救済法延長を求めてきており、この秋の臨時国会での法改正を求め続けていました。
ところが周知の通り、衆議院の解散、そして政府が秋に実質的な国会審議をしない方針であるため、漫然と薬害肝炎救済法の期限を迎えることになるわけです。
与野党議員とも法延長の必要性は理解しているにもかかわらず、このまま救済期限切れを迎えることは、国会、そして政府の怠慢のそしりは免れないでしょう。
薬害肝炎全国弁護団が全国一斉提訴
そこで2017年10月30日、薬害肝炎全国弁護団は、全国5地裁に被害者30名の追加提訴を行いました。
内訳は以下の通りです(なお薬害肝炎全国原弁の統計は、被害者数でカウントしており、被害者が死亡して遺族原告が複数いる場合も1名と数えています。原告数は40名になります)。
内訳は、東京地裁が15名(うちカルテ等医療記録のないケース6名)、横浜地裁が1名、大阪地裁11名(うちカルテ等医療記録のないケース3名)、名古屋地裁2名、福岡地裁1名(カルテ等医療記録のないケース1名)です。
薬害肝炎原弁は全国一斉提訴終了後、東京地裁の司法記者クラブで会見を行いました。
血液製剤によるC型肝炎感染患者を対象にした薬害肝炎救済法に基づく給付金の請求期限が来年1月15日に迫る中、薬害肝炎全国原告団が30日、東京都内で記者会見し、「救済が進んでいるとは到底言えない」として、法改正して請求期限を延長するよう求めた。
2000年に成立した救済法はウイルスに汚染された血液製剤フィブリノゲンなどを投与され、C型肝炎に感染した患者の救済が目的。原告団によると、これまで救済を受けたのは1万人超と推計される被害者の2割程度にとどまるという・・・
原告団の山口美智子代表は「期限を延長して一人でも多く救済してほしい」と訴えた(2017年10月30日付日経新聞)。
薬害肝炎被害の全国弁護団の相談窓口
薬害肝炎原弁は今後も法延長を求めるとともに被害救済を継続する予定です。
ご自分ないし家族(遺族含む)がC型肝炎患者であり(治療によってウイルス排除できた方も含む)、過去に(1964年から1994年の間)出血を伴う手術を受けた経験がある方は対象になる可能性があります。
九州 092-735-1193(平日10~12時、13~15時)
東京 03-5698-8592(平日10~16時)大阪 06-6315-9988(平日12~15時)
東北 022-224-1504(平日10~15時)
◆ 参考記事
「薬害肝炎救済法延長に向けた取組、7000名の被害者が未救済」(2017/3/26)
◆ 関連文献等
・製剤による感染者数の推計1万人以上(厚労省平成14年3月4日付け発表)
・平成6年依然のカルテ等存在医療機関1269施設(厚労省平成28年1月29日付け発表)