薬害根絶フォーラムが福岡で初開催、HPVワクチン・薬害教育をテーマに討論
目次
薬害根絶フォーラムが福岡で初開催
全国薬害被害者団体連絡協議会(薬被連)が2017年10月15日、薬害根絶フォーラムを福岡で開催します。
薬害根絶フォーラムも1999年以来19回目の開催になりますが、福岡・九州で開催されるのは初めてになります。
日時:2017年10月15日(日)13時30分から16時45分
場所:九州大学医学部・百年講堂
福岡市東区馬出3丁目1番1号
主催:薬被連
協賛:日本薬剤師会、日本病院薬剤師会、福岡県薬剤師会、医薬品医療機器総合機構など
費用:入場無料・資料代500円・学生無料
事前申込:不要
薬被連とは
薬被連は、「薬害根絶」を目指して1999年10月22日、薬害被害者団体が結束して立ち上がった団体です(代表世話人・大阪HIV薬害訴訟原告団の花井十伍さん)。現在では、10薬害12団体が参加しています。
各団体から選任されている世話人は1~2か月に一度は集まって会議を行い、フォーラムの準備だけではなく、医学部・薬学部など薬害教育への講師派遣、厚労省や医薬品医療機器総合機構への申し入れ、薬害根絶デーの開催、文部科学省との交渉、各薬害裁判の傍聴支援など年間通じて様々な活動を行っています。
例えば2017年9月26日・27日は、広島大学薬学部が開催している「薬害被害者との合同合宿勉強会」に薬被連として協力。HIV、C型肝炎、スモン、サリドマイド、MMRワクチン、ヤコブ、陣痛促進剤の被害者と学生さんが2日間に渡って活発な意見交換をしました。
広島大学薬学部は「勉強会を通し、薬害の発生を防ぐためにどのように考え行動するか、学生が提案し、薬学にたずさわる者としての足場を固めていきます」と位置づけ、薬学科は全員参加としています。
そんな薬被連の加盟団体は以下の通りです。
薬害肝炎訴訟原告団
大阪HIV薬害訴訟原告団
東京HIV訴訟原告団
公益社団法人いしずえ(サリドマイド福祉センター)
MMR被害児を救援する会
スモンの会全国連絡協議会
京都スモン基金
薬害ヤコブ病被害者・弁護団全国連絡会議
陣痛促進剤による被害を考える会
薬害筋短縮症の会
イレッサ薬害被害者の会
HPVワクチン薬害訴訟全国原告団
薬害根絶フォーラムの歴史と意義
薬害根絶フォーラムは、その薬被連が結成された翌日である1999年10月23に第1回が開催され、声明を発表。
その後は、毎年、その時々のトピックを取り上げてフォーラムを開催してきました。
1999年の記念すべき声明は以下の通りです。
21世紀を迎えようとする今日、医薬品や医療の領域における国際化、高度化には、さらなる拍車がかかっている。このような現状については、国民の生活や健康に寄与する部分ばかりが強調され、ともすれば無批判な礼賛によって流されかねない。
しかし、かつてサリドマイド、スモン、HIV等多くの悲惨な薬害が引き起こされた歴史を抱えながら、現在もなお、ソリブジン、医原性CJDなど同様の薬害が繰り返される構造は何ら変わっていない。いや、むしろ更なる薬害惹起の危険性は増しつつあるとさえ言える。私たち薬害被害者団体は、自らの筆舌に尽くしがたい苦痛に満ちた薬害被害の体験を踏まえつつ、「薬害根絶」を念願し、それぞれに活動を行ってきた。薬害被害者は、厳しい被害に遭いながらも、決して、ただ悲嘆に明け暮れる道を選ぶことはなかった。それぞれの悲しみ、怒り、思いを「薬害根絶」実現の闘いに結集してきたのである。
本日、「薬害根絶」へ向けての願いは、団体の枠を越え、様々な被害の在り方の相違や世代の相違を越えて一つとなった。そして、全国薬害被害者団体連絡協議会への結集と薬害根絶フォーラムの開催は、全ての人々が有効で安全な医薬品の恩恵と医療サービスを享受することのできる社会の実現に向けた確実な第一歩となることは間違いない。
これを機として、以下の声明を発表する。一、国・製薬企業は、薬害発生の原因究明に全力を尽くし、その経緯を徹底して分析・検証せよ。
一、国・製薬企業は、医薬品が国民の健康と命を守るために提供されていることを再認識したうえで、徹底した情報開示を行え。
一、国・製薬企業は、私たちの被った被害の教訓を生かした薬害防止システムを早急に構築せよ。
一、国は、副作用被害者全てを対象とする無過失救済システムを創設せよ。
一、国は、「薬害根絶」へ向けて薬害発生の教訓を学校教育に反映させ、次世代のための糧とせよ。私たち全国薬害被害者団体連絡協議会は、「薬害根絶」を実現するべく、一致団結し、薬害防止システムを創出すべく、研究、提言、その他の活動に日々全力で取り組む。
福岡での第19回薬害根絶フォーラム
福岡で初開催される今回の薬害根絶フォーラムは、第1部薬害被害の実態報告として、「特集HPVワクチン薬害」を取り上げます。
第2部は徹底討論として「商品としての医薬品、薬害教育と消費者教育の重要性」を取り上げる予定にしています。
地元福岡からも薬害被害者として、薬害肝炎原告団代表の山口美智子さん、HPVワクチン被害者・原告の梅本美有さん、スモン被害者の古賀道子さん、サリドマイド被害者の高瀬春子さん、筋短縮症の徳山千鶴子さんが参加される予定です。
詳しい被害実態はフォーラム当日に是非直接聞いて欲しいのですが、一部取り上げてみたいと思います。
スモン被害者の古賀道子さんは昭和25年生まれで福岡県筑後市に在住です。
高校受験を控えた中学3年生の時、潰瘍性大腸炎を発症しました。そこでキノホルムという整腸剤を投与された結果、昭和41年にスモンを発症。高校の制服を着たのはたった4日間でした。歩行困難となり、失明するという被害を受けました。
スモン訴訟を闘っている当時、古賀道子さんは点字で詩に託して被害を訴えました(「薬害訴え 今日も待ちゆく~福岡スモン裁判の歩み」より)
アタシのカオ
コツコツコツ コツコツコツ
シンヤニヒビク テンジノオト
ノロノロト テンジヲサグル
イツシカ トメドモナクオチルナミダ
アー ナゼコンナニマデ クルシマナケレバナラナイノソーット ジブンノカオヲ ナデテミル
アレカラ10ネンタッタノニ
アタシノカオノキオクハ アノトキノママ
ジブンノカオサエ ミエナイツラサ
ダレカオシエテ アタシノカオヲドコヘイケバイイノ アタシハ
シロツエヲタタイテサケブ
マッスグダ マッスグダト ドコカデコエガスル
ヤミクモニムカッテ ワタシハススム
カスカナ ヒカリヲモトメテ
現在古賀道子さんは外出するのも介護がないと難しい状況ですが、当日は、やはりスモン被害者で福岡在住の草場佳枝さんが補助して登壇する予定にしています。
各団体への呼びかけ
現在、薬被連の皆さんが様々な団体・個人に参加を呼びかけているところです。
私も地元福岡開催ということから、薬害肝炎九州弁護団事務局長として、薬被連世話人の原告手嶋和美さんと一緒に参加を呼びかけさせて頂いています。
9月27日にはMMRから栗原敦さんが来られるのに合わせて、HPV被害者のお母さんである梅本邦子さん、スモンの草場佳枝さん、そして手嶋さんと一緒に福岡地方裁判所内の記者クラブにて会見を行ってきました。
開催が迫ってきましたが、ここまで多数の薬害被害者が福岡に一同に集うことは最初で最後になるかもしれません。
過去の薬害の教訓に学び、現在進行形の薬害を理解し、そして薬事行政に反映させて将来の薬害が発生しないように共有・連帯する機会にしたいと思います。
ぜひ皆さんも周りの方々に声をかけて一緒にご参加下さい。