古賀克重法律事務所ブログ

福岡県弁護士会所属弁護士 古賀克重(こが かつしげ)の活動ブログです。

ハンセン病訴訟

平成19年度ハンセン定期協議会

ハンセン病訴訟は、国と原告弁護団との間の基本合意書において、年に一度の定期協議が開催されることになっています。平成19年度の定期協議は、8月22日に開催されます。今年の協議すべき事項は下記の通りです。

平成19年度
「ハンセン病問題対策協議会」において協議すべき事項について

ハンセン病違憲国賠訴訟全国原告団協議会
全国ハンセン病療養所入所者協議会
ハンセン病違憲国賠訴訟全国弁護団連絡会

第1 謝罪・名誉回復について
1 今後も引き続き名誉回復措置を取ることを政府として表明されたい。
2 「ハンセン病を正しく理解する週間」について
毎年6月に行われている「ハンセン病を正しく理解する週間」を5月11日から23日に移し、名称及び内容を、統一交渉団と協議の上で、単なる啓発から謝罪名誉回復の内容に相応しいものに変更すること。

第2 社会復帰・社会内生活支援
1 基本方針の確認
平成13年7月23日付「基本合意書」ならびに入所歴なき原告に関する平成14年1月28日付「基本合意書」において確認された国の法的責任にもとづき、今後も,医療・介護制度等の改善・整備ならびに継続的・安定的な経済支援等を行ない、社会復帰の円滑化・容易化及び社会内生活の安定化を図ることに,最大限努力することを確認されたい。
2 医療体制の整備・充実
(1)ハンセン病療養所において退所者が、保険診療適用のもと、退所者給与金の支給停止を伴うことなく入院(所)治療を受けることができる制度を、受入体制の整った療養所から順次、早急に実現されたい。
(2)充実したハンセン病及び関連疾病の治療を可能とする医療機関(国立ハンセン病療養所を含む)の設置と医療体制の充実
3 総合的な社会内生活支援体制の確立
(1)地方自治体との連携の強化
(2)手帳制度(仮称)の導入
(3)偏見差別の解消と家族に対する支援

第3 在園保障
1 基本方針の確認
平成13年7月23日付「基本合意書」にうたわれている法的責任を踏まえ、入所者の意思に反して退所、転園させることなく、終生の在園を保障するとともに、社会の中で生活するのと遜色のない水準を確保するため入所者の生活環境及び医療の整備を行うよう最大限努めること。
2 医師定員の充足
13の療養所の医師定員数は144名であるが、現在4名の欠員が出ている。社会の中で生活するのと遜色のない水準の医療を行うためには、医師定員の充足は不可欠であるので、直ちに欠員を補充すること。
特に、駿河療養所は、内科医師が1名もいないため、日常の治療に多大な支障が出ており、厚生労働省の責任において直ちに補充されたい。
3 医療機能評価機構の受審
4 不自由者棟の看護状況

第4 真相究明等
1 歴史的建物等の保存・復元について
(1)ハンセン病政策の中でもとりわけ苛酷な歴史を持つ重監房については、草津楽泉園の重監房跡地に、当時使用されていたままの姿で復元ないし再現するよう求める。
(2)ハンセン病政策の歴史を伝える各施設内の建物・資料等については、国の責任において保存または復元のために必要な措置を講じられたい。
(3)上記に関する立案については、統一交渉団との協議をふまえて行い、平成20年度予算の確保につき最大限努力されたい。
2 ロードマップ委員会(再発防止検討会)の推進
3 国立ハンセン病資料館の充実と資料保存について
4 強制堕胎・胎児標本等に見られる非人間的扱いについての謝罪と名誉回復
全国ハンセン病療養所入所者協議会が必要不可欠とする「国および施設当局による直接の慰霊、謝罪の意の表明」については、堕胎児の数を調査した上、厚生労働大臣または副大臣が、胎児標本の有無にかかわらず全ての療養所を訪問して、関係者に対して謝罪の意を尽くされるよう求める。

第5 療養所の将来構想
ハンセン病療養所の将来構想の選択肢を広げるために、地域(地元医師会等)のコンセンサスが得られた療養所に関して、社会復帰者、地域住民の入院診療について健康保険法に基づく保険医療機関及び保険医の指定が受けられるよう必要な措置を講じられたい。(なお、外来診療については、昭和57年10月23日旧厚生省医務局国立療養所課発「国立ハンセン病療養所の保険医療機関及び保険医の指定について」があり、今回は、これを入院診療についても求めるものである。)

投稿者プロフィール

弁護士 古賀克重
弁護士 古賀克重弁護士
弁護士古賀克重です。1995年に弁護士登録以来、患者側として医療過誤を取り扱っています。薬害C型肝炎訴訟の弁護団事務局長として2008年の全面解決を勝ち取りました。交通事故も幅広く手掛けており、取扱った裁判が多数の判例集で紹介されています。ブログではその主たる取扱い分野である医療過誤・交通事故について、有益な情報を提供しています。

弁護士 古賀克重

弁護士古賀克重です。1995年に弁護士登録以来、患者側として医療過誤を取り扱っています。薬害C型肝炎訴訟の弁護団事務局長として2008年の全面解決を勝ち取りました。交通事故も幅広く手掛けており、取扱った裁判が多数の判例集で紹介されています。ブログではその主たる取扱い分野である医療過誤・交通事故について、有益な情報を提供しています。